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  • 昭和59年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第4 沖縄振興開発金融公庫|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

農林漁業資金の管理、回収に係る事務処理について改善させたもの


農林漁業資金の管理、回収に係る事務処理について改善させたもの

科目 貸付金
部局等の名称 沖縄振興開発金融公庫本店
受託金融機関 沖縄県信用農業協同組合連合会
貸付けの根拠 沖縄振興開発金融公庫法(昭和47年法律第31号)
貸付金の種類 農林漁業資金
貸付けの内容 農地の取得、造成等を行う農業者等に転貸する長期資金の貸付け
貸付件数 259件
貸付金の合計額 1,782,434,450円(昭和46年度〜58年度)

 上記259件の農林漁業資金の貸付けにおいて、貸付けを受けた農業協同組合が、転貸先の農業者等から受領した期限前弁済金を借用証書の規定どおりの償還をすることなく保有していて、不適切な貸付金額は昭和60年2月末現在で合計約1億9080万円となっていた。

 このような事態は、沖縄振興開発金融公庫において農業者等からの期限前弁済の状況を把握していなかったり、受託金融機関に対し貸付金の管理について十分な指導を行っていなかったりしていたこと、農業協同組合において本件貸付制度についての理解が十分でなかったことなどによるもので、このような事態を速やかに是正することはもとより、管理体制の整備を図るとともに受託金融機関に対する指導を強化するなどして、農林漁業資金の管理、回収の適正化を図る要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)
 沖縄振興開発金融公庫(以下「公庫」という。)では、沖縄県において、農地等の取得、造成等を行う農業者、土地改良区等(以下「農業者等」という。)及びこれら農業者等に対して転貸を行う農業協同組合(以下「農協」という。)等に対し、直接に又は金融機関に業務を委託して農林漁業資金の貸付けを行っており、その貸付条件は、貸付利率が年3.5%から7.15%、償還期限が12年以内から45年以内の低利かつ長期のものとなっている。そして、昭和60年3月末現在における同資金の貸付残高は490億5219万余円(琉球政府から承継した貸付金5億5440万余円を含む。)に上っており、このうち沖縄県信用農業協同組合連合会(以下「県信連」という。)に業務を委託し、転貸のための資金(以下「転貸資金」という。)を農協に対して貸し付けているものの残高は115億5094万余円となっている。

 上記の県信連扱いの転貸資金は、農協が、県信連を通じて公庫から資金を借り入れ、この借入条件と同一の条件で農業者等に貸し付けているもので、農協は、農業者等から期限前弁済があった際には借用証書の特約条項の規定に従って受入日から2週間以内に県信連へ償還し、県信連は、農協からの入金日を起算日として3営業日(県信連八重山支所扱い分は5営業日)以内に公庫へ回金することとなっている。

 しかして、貸付先である53農協における本件の転貸資金の管理、回収状況について調査したところ、30農協においては、農業者等から離農等の理由により期限前弁済を受けているのに、これを県信連に上記特約条項の規定どおりに償還することなく保有していて、適切を欠いていると認められるものが60年2月末現在で貸付け259件について貸付額190,804,734円(このうちには、保有期間が1年以上の長期にわたっているものが約1億2100万円ある。)見受けられた。

 このような事態を生じたのは、公庫及び県信連において農業者等から農協への期限前弁済の状況を把握できる体制が整備されていなかったこと、公庫の県信連に対する貸付金の管理、回収についての指導が十分でなかったこと、また、農協における本件貸付制度についての理解が十分でなかったことなどによると認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、沖縄振興開発金融公庫では、農協が保有していた前記の弁済金について直ちに回収の措置を執るとともに、60年9月に県信連及び農協に対し通達を発して、期限前弁済の状況を的確に把握できるよう四半期ごとに報告書を提出させる体制を整備し、本件貸付けについての事務処理体制の整備と借用証書の特約条項の周知徹底を図るなど、農林漁業資金の管理、回収の適正化のために必要な処置を講じた。