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  • 昭和60年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第1 総理府|
  • (防衛庁)|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

保有している弾薬を転用することにより予算を効果的に執行するよう改善きせたもの


保有している弾薬を転用することにより予算を効果的に執行するよう改善させたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)防衛本庁 (項)武器車両等購入費
昭和60年度国庫債務負担行為
(組織)防衛本庁(事項)弾薬購入
部局等の名称 要求部局 海上幕僚監部
(契約部局 調達実施本部)
購入物品 20mm回転式機関砲用りゅう弾
購入物品の概要 掃海艇等が機雷処理、自艦防御を目的として搭載している20mm回転式機関砲用の弾薬
契約金額 114,409,500円
契約の相手方 日本工機株式会社
契約 昭和60年10月 随意契約
支払 昭和61年9月

 上記の部局では、掃海艇等に搭載している20mm回転式機関砲用のりゅう弾の調達に代えて、護衛艦に搭載している高性能20mm機関砲用として保有しているりゅう弾を転用することにより、本件調達に係る予算1億1,440万余円を効果的に執行する要があると認められた。
 このような事態を生じたのは、海上自衛隊において、護衛艦に搭載している高性能20mm機関砲用の弾薬として新たに徹甲弾が開発されたことから、上記のりゅう弾を早期に徹甲弾に装備替えする方針を執っているのに、それが弾薬の調達に的確に反映されていなかったことによるもので、保有しているりゅう弾を転用するなどして、予算の効果的な執行に努める要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 海上自衛隊では、昭和54年度以前就役の掃海艇等に搭載していた20mm単装機関砲を、60年度から61年度にかけて20mm回転式機関砲に搭載替えすることとなったため、この20mm回転式機関砲用としてりゅう弾を60年度の国庫債務負担行為により114,409,500円で調達している。

 しかして、対艦ミサイルを至近距離で迎撃することを目的として護衛艦に搭載されている高性能20mm機関砲用の弾薬については、59年度まで掃海艇等の20mm回転式機関砲用と同一のものを調達してきていたが、60年度以降は、高性能20mm機関砲用として新たに開発された徹甲弾を使用することとした。このように、弾薬をりゅう弾から徹甲弾に装備替えしたのは、このりゅう弾の場合は至近距離まで飛来した対艦ミサイルの誘導部の破壊は期待できても爆薬が炸てんされている弾頭部の破壊までは期待できないのに対し、この徹甲弾の場合は対艦ミサイルの弾頭部に貫徹することによってミサイルそのものを自爆、消滅させることが期待できることによるものである。

 そこで、海上自衛隊では、60年度以降に就役する高性能20mm機関砲搭載の護衛艦には、当初からすべて徹甲弾を装備することとするほか、既就役の高性能20mm機関砲搭載の護衛艦についても、早急に徹甲弾に装備替えすることとし、徹甲弾の調達を60年度から始めている。一方、既就役の護衛艦用としてこれまで装備してきたりゅう弾については、そのまま保有していた。

 しかしながら、このりゅう弾は、リンク(注) を交換することによって20mm回転式機関砲用のものに転用が可能であり、20mm回転式機関砲用のりゅう弾については今後も引き続き整備していくのであるから、保有しているりゅう弾を20mm回転式機関砲用に逐次転用し、一方、20mm回転式機関砲用のりゅう弾を調達する代わりに徹甲弾を調達して、その整備促進を図り、予算をより効果的に執行するよう努めるべきであると認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、海上自衛隊では、61年11月に20mm機関砲用の弾薬の整備計画を定め、保有している高性能20mm機関砲用のりゅう弾を20mm回転式機関砲用に転用するなど、予算を効果的に執行する処置を講じた。

(注)  リンク 個々の弾薬を帯状に連結する金物