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  • 昭和60年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第13 日本電信電話株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

電話機等のリース、割賦販売制度の導入に伴いリース会社に売り渡した電話機等の代金等の収納業務を適切なものに改善させたもの


(1) 電話機等のリース、割賦販売制度の導入に伴いリース会社に売り渡した電話機等の代金等の収納業務を適切なものに改善させたもの

科目 営業収益
部局等の名称 日本電信電話株式会社
収納金の概要 電話機等のリース、割賦販売制度の導入に伴い、リース会社に売り渡した電話機等の代金及び取付け等の代行業務に要した費用等
収納額 60,153,260千円 (昭和60年度)
うち本院が調査した収納額
8,818,494千円 (昭和60年10月〜61年3月)

 上記の電話機等の販売代金、取付け等の代行業務に要した費用等の収納に当たり、決済事務の処理が適切でなかったため、収納が遅延し、その結果、資金の運用収益が約2010万円低額となっていた。
 このように収納が遅延しているのは、決済に必要なデータシートの送付が遅延しているなど収納管理が十分でなかったことによるもので、決済事務を迅速に行うとともに、収納管理体制を適切なものに改め、資金の効率的な運用を図る要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 日本電信電話株式会社では、昭和60年4月からピジネスホン、ホームテレホン等の端末機器(以下「電話機等」という。)の販売促進を図るなどのため、リース制度及び割賦販売制度を導入している。この制度は、顧客が電話機等のリース又は割賦払いによる購入を希望する場合には、希望する電話機等をリース会社に売り渡し、リース会社において顧客とリース又は割賦販売の契約を締結するというもので、リース会社との契約に基づき、電報電話局等(以下「電話局」という。)では、リース会社に代行して、顧客からの申込みの受付、契約、取付け等の業務を行っている。
 そして、リース会社との間における電話機等の販売代金、上記代行業務に要した費用及び代行手数料(以下「販売代金等」という。)の決済については、まず、電話局では、顧客との契約1件ごとに顧客名、販売代金等、取付け完了日等を記入したデータシートを作成の都度料金センタに送付し、送付を受けた料金センタでは、これを5日ごとにまとめてパンチ入力業者に送付して販売代金等の請求内容を磁気テープに記録させ、そのテープを取付け完了日の属する月の翌月の20日までにリース会社に送付することにより販売代金等の請求を行い、リース会社では、これを受けて電話機等の取付け完了日の属する月の翌々月の末日(以下「決済日」という。)に日本電信電話株式会社各支社に販売代金等を納入することになっており、各支社が60年度中に販売代金等としてリース会社から収納した額は計60,153,260千円となっている。

 しかして、東京西支社ほか69支社管内の武蔵府中電報電話局ほか217電話局(注) において取り扱った契約に係る販売代金等の収納額のうち、60年10月から61年3月までの間に各支社がリース会社から収納したもの30,417件分8,818,494千円について、その決済の実態を調査したところ、決済が所定の決済日から1箇月以上遅延しているものが、10,224件(調査件数の33.6%)分3,083,915千円(調査金額の34.9%)に上っていた。
 しかしながら、販売代金等のような収入金については、早期に収納することによりそれだけ長期間業務上の余裕金として運用できるものであり、上記のように販売代金等の決済が所定の決済日から1箇月以上も遅延していることは、ひいては資金の効率的な運用が妨げられることになり、適切でないと認められ、決済事務を迅速に行って販売代金等を早期に収納し、もって資金の効率的な運用を図る要があると認められた。
 いま、仮に、決済が1箇月以上遅延していた販売代金等3,083,915千円について、所定の決済日に収納し、60年度下半期の運用利回りの実績により1箇月間運用したとすれば、運用収益を約2010万円増収できた計算となる。

 このような事態を生じているのは、

(1) 電話局において、通話料等の請求については、自局の局番の属する料金群の計算期間(局番によってA群からF群の6料金群に分けられ、これを5日ずつずらしてそれぞれ1箇月の計算期間が設定されている。)の終了後所定の期限までに請求帳票類を料金センタに送付することになっていることから、データシートについてもこのように処理するものと誤解して上記請求帳票類と同時に料金センタに送付していたこと、

(2) 料金センタにおいて、データシートをいったん料金群ごとに整理して保管し、通話料等の請求事務の際に、該当する料金群のデータシートだけをパンチ入力業者に送付したり、リース会社への磁気テープの送付期限を考慮しないままデータシートをパンチ入力業者に送付したりしていたことなど販売代金等の決済の早期処理についての認識が十分でなく、収納管理が十分に行われなかったことによると認められる。

 上記についての本院の指摘に基づき、日本電信電話株式会社では、61年9月に「リース・割賦処理の改善について」の指示文書を発し、販売代金等の決済事務の迅速化、収納管理体制の整備など収納業務を適切なものに改め、資金の効率的な運用を図ることとする処置を講じた。

(注)  東京西支社ほか69支社管内の武蔵府中電報電話局ほか217電話局
(東京総支社) 東京西支社ほか7支社 武蔵府中電報電話局ほか22電話局
(関東総支社) 神奈川支社ほか7支社 川崎電報電話局ほか23電話局
(信越総支社) 長野支社ほか1支社 上田電報電話局ほか5電話局
(東海総支社) 愛知支社ほか4支社 豊川電報電話局ほか21電話局
(北陸総支社) 石川支社ほか2支社 金沢電話局ほか6電話局
(関西総支社) 京都地方支社ほか11支社 丹波柏原電報電話局ほか37電話局
(中国総支社) 広島支社ほか5支社 五日市廿日市電報電話局ほか17電話局
(四国総支社) 愛媛支社ほか3支社 宇和島電報電話局ほか11電話局
(九州総支社) 福岡中央支社ほか9支社 福岡西新電報電話局ほか29電話局
(東北総支社) 宮城支社ほか5支社 仙台榴ケ岡電話局ほか19電話局
(北海道総支社) 道央支社ほか5支社 室蘭電報電話局ほか17電話局