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  • 昭和61年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第4 文部省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

医学部附属病院に係る電気税及びガス税の納付について適正化を図るよう是正改善の処置を要求したもの


(2) 医学部附属病院に係る電気税及びガス税の納付について適正化を図るよう是正改善の処置を要求したもの

会計名及び科目 国立学校特別会計 (項)大学附属病院
部局等の名称 大阪大学
納付税額の概要 地方税法(昭和25年法律第226号)の規定に基づき、大阪市に納付した電気税及びガス税
納付税額の合計 22,899,491円(昭和60年度〜62年度6月)

 上記の医学部附属病院に係る電気税及びガス税の納付において、診療施設等で使用する電気又はガスのうち非課税の対象とすべきものが課税の対象とされていたため、電気税1537万余円及びガス税419万余円総額1956万余円が過大に支払われていた。
 すなわち、電気税及びガス税は、医学部附属病院の施設で使用する電気及びガスのうち直接教育又は学術研究の用に供するものに対しては課税することができないとされているが、非課税の対象とすべきものが課税対象に含まれていたのに、大阪市が決定した課税対象の範囲をそのまま受け入れたことにより多額な税額を納付していた。
 したがって、大阪大学において、課税対象又は非課税対象の把握に努めてそれを明確化し同市と折衝するなどして、納付税額の適正化を図る要がある。

 上記に関し、昭和62年12月2日に大阪大学長に対して是正改善の処置を要求したが、その全文は以下のとおりである。

医学部附属病院に係る電気税及びガス税の納付について

 貴大学では、医学の臨床教育及び研究を行うため、医学部附属病院(以下「大学病院」という。)に照明設備、空調設備のほか、各種の医療設備機器を設置し、毎年多量の電気又はガスを使用しており、電気は関西電力株式会社、ガスは大阪ガス株式会社との間にそれぞれ需給契約を締結して電気とガスの供給を受け、昭和60年度から62年度の6月までの間に電気料金は5億3004万余円(うち60年度分2億5384万余円、61年度分2億4135万余円及び62年度分3483万余円)、ガス料金は4億6707万余円(うち60年度分2億3876万余円、61年度分1億9381万余円及び62年度分3448万余円)総額9億9711万余円を支払っている。そして、関西電力株式会社及び大阪ガス株式会社に支払ったこれらの料金には、地方税法(昭和25年法律第226号)の規定に基づいて大阪市に納付する電気税とガス税とがそれぞれ含まれており、その納付額は電気税1742万余円(うち60年度分834万余円、61年度分793万余円及び62年度分114万余円)、ガス税547万余円(うち60年度分279万余円、61年度分224万余円及び62年度分42万余円)総額2289万余円となっている。

 電気税及びガス税は、地方税法等によれば、電気及びガスに対し、料金を課税標準として、その使用者に課するものであるが、学校教育法第1条の学校(これに附置する施設を含む。)において直接教育又は学術研究の用に供する電気及びガスに対しては、電気税及びガス税を課することができないこととされている。そして、学校の施設のうち寄宿舎、職員住宅、食堂、売店、保養所その他これらに類する厚生又は福祉のための施設及び大学附属病院の患者収容室、調理施設等以外の施設において使用する電気及びガスは、直接教育又は学術研究の用に供する電気及びガスに該当するとして非課税とされている。

 しかして、大学病院に係る電気税及びガス税の課税の対象となっている施設の使用実態と当該施設における電気及びガスの使用状況について調査したところ、次のとおり、適切とは認められない事態が見受けられた。

1 電気税について

 貴大学では、同市が大学病院の電気を使用する施設についてその使用実態と電力使用量を調査のうえ、課税対象施設の電力使用量の電力総使用量に対する率(以下「電気税課税対象率」という。)を68%と決定したことに基づき、これをそのまま受け入れて毎月基本料金と電力量料金の合計額に電気税課税対象率68%を乗じ、この額に税率5%を乗じて得た額を電気税として同市に納付していた。

 しかしながら、上記電気税課税対象率は他大学の場合と比べて高率になっていると思料されたので、課税対象となっていた施設の使用実態及びその電力使用量を調査したところ、非課税の対象とすべき診療施設等が課税対象に含まれていたので、これらの施設を除いて電気税課税対象率を算定すると8%程度となり、上記68%に比べて著しく開差が生じていると認められる。

 いま、仮に電力総使用量に対する電気税課税対象率を8%として電気税を修正計算すると、総額205万余円(うち60年度分98万余円、61年度分93万余円及び62年度分13万余円)となり、前記納付総額1742万余円はこれに比べて1537万余円(うち60年度分736万余円、61年度分700万余円及び62年度分101万余円)過大に支払われた計算となる。

2 ガス税について

 貴大学では、毎年度、11月1日から3月31日までの間、大学病院が給湯や暖房設備に使用したガスは、全量がガス税の課税対象(ガス税課税対象率100%)になるとして、基本料金と従量料金の合計額に税率2%を乗じて得た額をガス税として同市に納付していた。

 しかしながら、前記法令等から大学病院においては非課税の対象とすべき施設があると思料されたので、課税対象となっていた施設の使用実態及びそのガス使用量を調査したところ、前項の場合と同様の事態となっていたので、それに基づきガス税課税対象率を算定すると21%程度となり、上記100%に比べて著しく開差が生じていると認められる。

 いま、仮にガス総使用量に対するガス税課税対象率を21%とするなどしてガス税を修正計算すると、総額127万余円(うち60年度分64万余円、61年度分52万余円及び62年度分10万余円)となり、前記納付総額547万余円はこれに比べて419万余円(うち60年度分215万余円、61年度分171万余円及び62年度分31万余円)過大に支払われた計算となる。

 以上1及び2により電気税及びガス税の合計額を算出すると333万余円(うち60年度分162万余円、61年度分146万余円及び62年度分24万余円)となり、前記納付総額の合計2289万余円はこれに比べて1956万余円(うち60年度分951万余円、61年度分872万余円及び62年度分133万余円)過大に支払われた計算となる。

 このような事態を生じているのは、貴大学において、大学病院の施設について電気税及びガス税の課税又は非課税の対象範囲の把握に当たり、関係機関の見解及び他の大学病院における課税実例を参考にして検討すべきであったのに、これを十分行うことなく同市が決定した課税対象の範囲をそのまま受け入れたことなどによるものと認められる。

 ついては、今後とも多量の電気及びガスが使用され、これに係る電気税及びガス税も多額に上ることから、貴大学においては、大学病院の施設について課税対象又は非課税対象の把握に努めてそれを明確化し同市と折衝するなどして納付税額の適正化を図り、もって経費の節減を図る要があると認められる。

 よって、会計検査院法第34条の規定により、上記の処置を要求する。