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  • 昭和61年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第10 労働省|
  • 不当事項|
  • 保険給付

雇用保険の特定求職者雇用開発助成金の支給が適正でなかったもの


(95) 雇用保険の特定求職者雇用開発助成金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目  労働保険特別会計(雇用勘定) (項)雇用安定等事業費
部局等の名称  東京都ほか6府県(支給庁)
新宿公共職業安定所ほか8公共職業安定所(支給決定庁)
支給の相手方  10事業主
特定求職者雇用開発助成金の支給額の合計  15,062,766円

 上記の10事業主に特定求職者雇用開発助成金15,062,766円を支給しているが、支給決定に当たって申請に対する調査確認が十分でなかったため、6,698,633円が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。これを都府県ごとに集計して掲げると別表 のとおりである。
 これは、北海道ほか24都府県(支給決定庁札幌公共職業安定所ほか247公共職業安定所)において2,342事業主に対して支給した2,520,826,394円について本院が調査した結果である。

(説明)
 特定求職者雇用開発助成金は、雇用保険(前掲の「雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの」の説明参照 )で行う事業のうちの雇用安定事業の一環として、55歳以上65歳未満の高年齢者など就職が特に困難な者(以下「特定求職者」という。)の雇用機会の増大を図るため、特定求職者を雇用した事業主に対して当該雇用労働者に支払った賃金の一部を助成するもので、公共職業安定所の紹介により事業主が特定求職者を新たに常用労働者として雇い入れたことなどが支給要件となっており、その支給対象期間は雇入れ後1年又は1年6箇月、支給率は支給対象期間に支払った賃金の4分の1、3分の1又は2分の1となっている。そして、その支給の決定は、公共職業安定所が事業主から提出された申請書に記載されている当該雇用労働者の氏名、生年月日、雇用年月日、支払賃金額等を審査して行い、これに基づいて各都道府県が支給することとなっている。

 しかして、特定求職者雇用開発助成金の支給決定の適否について検査したところ、前記の248公共職業安定所のうち新宿公共職業安定所ほか8公共職業安定所において、111事業主のうち10事業主について、事業主が誠実でなかったなどして、既に雇用している者を新たに雇用したこととしているものなど申請書の記載内容が事実と相違しているものがあったにもかかわらず、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行ったなどのため、これに基づいて東京都ほか6府県が上記10事業主に対して支給した15,062,766円のうち6,698,633円が不適正に支給されていた。

(別表)

都府県名 公共職業安定所 本院が調査した事業主数 不適正受給事業主数 左の事業主に支給した特定求職者雇用開発助成金 左のうち不適正特定求職者雇用開発助成金
東京郡 新宿 18 1 千円
4,280
千円
668
神奈川県 横須賀 8 1 2,002 1,670
大阪府 大阪西 14 1 1,033 506
山口県 下関 14 1 1,209 722
愛媛県 今治ほか1 30 2 2,276 1,447
鹿児島県 川内ほか1 17 3 3,489 913
沖縄県 沖縄 10 1 769 769
 計 9箇所 111 10 15,062 6,698