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  • 昭和62年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第1 総理府|
  • (防衛庁)|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

F-15型要撃戦闘機用エンジンの構成品である主燃料ポンプ等を効率的に運用するよう改善させたもの


F-15型要撃戦闘機用エンジンの構成品である主燃料ポンプ等を効率的に運用するよう改善させたもの

会計名及び科目 一般会計 昭和62年度国庫債務負担行為
(組織)防衛本庁 (事項)装備品等整備
部局等の名称 航空自衛隊補給本部
要求部局 航空自衛隊第2補給処
契約部局 航空自衛隊第1補給処東京支処
契約名 ポンプ整備請負契約
契約の概要 F-15型要撃戦闘機用F100エンジンの構成品で、コア・エンジン及びアフターバーナーに燃料を圧送するなどの機能を有する主燃料ボンプ44個についてオーバーホール及びその部品の変更等を実施するもの
契約金額 89,248,000円
契約の相手方 石川島播磨重工業株式会社
契約 昭和63年2月 随意契約

 上記の各部局では、F-15型要撃戦闘機用エンジンの構成品である主燃料ポンプの交換間隔(以下「定期交換時間」という。)が延長されたのに、延長が決定される前に従前の定期交換時間に基づいて取り外し寄託保管中のものに延長された定期交換時間を適用せず、これらについてオーバーホール等を実施する契約(契約金額89,248,000円)を締結していて、適切を欠いていると認められた。
 このような事態を生じたのは、航空自衛隊において、定期交換時間が延長された場合における寄託保管中のものに対する当該延長の適用に係る取扱いについて規定が明確でなかったことなどによるもので、規定を明確にするなどして主燃料ポンプ等定期交換時間が定められた上記エンジンの構成品の効率的な運用を図る要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 航空自衛隊では、昭和63年2月に、F-15型要撃戦闘機用エンジンから取り外した主燃料ポンプについて、同自衛隊が定めた技術指令書「航空自衛隊航空機等整備基準」に基づき機能の維持、回復を図り再使用することなどを目的として、そのオーバーホール等の作業を上記契約の相手方(以下「会社」という。)に請負により行わせている。

 そして、同自衛隊が上記主燃料ポンプを定期交換するに当たっては、同自衛隊の技術指令書「検査要項」で定期交換時間が定められていることから、その使用時間が定期交換時間に到達した場合は当該主燃料ポンプをエンジンから取り外し、交換することになっている。そして、この主燃料ポンプの定期交換時間については、当初(58年2月)680時間としていたが、その運用実態等に基づき飛行の安全性に影響を及ぼすことはないと判断して、61年1月には1,000時間に、さらに同年12月には1,250時間に、それぞれ延長している。

 しかして、同自衛隊では、本件契約の対象となった主燃料ポンプ44個について、定期交換時間の到来により60年中に39個を、61年中に5個をエンジンから取り外し、オーバーホール等を実施するため、防錆処置を施すなどしたうえで会社に搬入し、寄託保管していた。そして、上記の定期交換時間の延長は、同自衛隊がこれらの主燃料ポンプ44個を取り外し寄託保管している間に行われたため、取り外し時点まのの使用時間は延長後の定期交換時間を大幅に下回っている状況であったにもかかわらず、同自衛隊では、これらについて、延長された定期交換時間を適用することなく、当初方針どおりオーバーホール等を実施することとし、本件契約を締結していた。

 しかしながら、定期交換時間の延長は飛行の安全性に影響を及ぼすことはないとの判断の下で実施されるものであって、定期交換時間の到来による交換は保管期間の長短等には左右されずに使用時間だけを基準として行われるものであり、また、定期交換時間の到来によりエンジンから取り外し寄託保管中のものは良好な状態で保管されていて性能、信頼性等の面で何ら問題はないのであるから、本件の44個の主燃料ポンプについて、延長された定期交換時間をそのまま適用することとして寄託保管先の会社から部隊等に戻し、延長後の定期交換時間に達するまで使用することとして、これらの効率的な運用を図る要があったのに、オーバーホール等の実施を決定し本件契約(契約金額89,248,000円)を締結したのは適切を欠いていると認められる。

 このような事態を生じたのは、同自衛隊において、主燃料ポンプ等定期交換時間が定められているエンジンの構成品について、定期交換時間の延長があった場合にはエンジンから取り外し寄託保管中のものに当該延長を適用する旨の規定を明確に定めていなかったことなどによるものであり、今後もエンジンの構成品については定期交換時間の延長が図られることが予想されるのであるから、規定を明確にするなどしてその効率的な運用を図る要があると認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、航空自衛隊では、63年11月、前記「航空自衛隊航空機等整備基準」に定期交換時間を延長した場合には寄託保管中のものに当該延長を適用することを明確にする規定を追加するなどし、主燃料ポンプ等エンジンの構成品の効率的な運用を図る処置を講じた。

(参考図)

(参考図)