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  • 昭和62年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第9 郵政省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

郵便局等において業務連絡用に使用するファクシミリの借料を適切なものとするよう改善させたもの


郵便局等において業務連絡用に使用するファクシミリの借料を適切なものとするよう改善させたもの

会計名及び科目 郵政事業特別会計 (項)業務費
部局等の名称 東京、関東、北陸、北海道各郵政局
契約名 ファクシミリ借入契約
契約の概要 郵便局等に業務連絡用として配備するファクシミリの借入れ
契約金額 昭和62年度 14,464,237円
昭和63年度 193,741,956円
契約の相手方 東芝総合リース株式会社ほか2会社
契約 昭和63年1月〜2月 指名競争契約、指名競争後の随意契約、随意契約

  上記ファクシミリの借入れにおいて、借料月額が適切でなかったため、借料が約5100万円割高になっていた。
  このような事態を生じたのは、郵政本省において、地方郵政局等に対しファクシミリの借入れに係る必要経費の予算を示達するに当たり、機器の借料の月額単価が高額に過ぎたこと及び地方郵政局等においても、その借入れに当たり、市場の実態について調査、検討が十分でなかったことによるもので、経済的な借入契約を締結し、もって借料の節減を図る要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

  郵政省では、郵便局等にニューメディア機器を配備して、事務の合理化・効率化、顧客に対するサービスの向上等を図るため、東京ほか10郵政局(注1) 及び沖縄郵政管理事務所(以下「地方郵政局等」という。)に対し、「ニューメディア機器の試行配備等について」(昭和62年郵官企第123号。以下「通達」という。)を発し、普通郵便局等に業務連絡用に使用するファクシミリ等の配備を指示するとともに必要経費の予算を示達しており、この施策は今後も引き続き実施することが予定されている。

 上記通達では、昭和62年度におけるファクシミリの借入れについて、その性能として最大B4版の原稿が送受信できること、同報機能(注2) 、親展機能(注3) 及び自動受信機能を有することなどの基本的な仕様を定め、借料の月額単価を27,900円/月・台と設定して、当該借入れに係る必要経費の予算を地方郵政局等に示達しており、これを受けて各地方郵政局等では、一般市販品の中から通達に定められた仕様を満足する製品を選定し、63年1月から2月までの間に東芝総合リース株式会社ほか10会社と借入契約を締結して全国の普通郵便局等に4,363台のファァクシミリを配備しており、62年度の借料は3078万余円、63年度の借料年額は4億3956万余円となっている。

  しかして、本件ファクシミリの借入契約について調査したところ、借り入れた機器の借料月額は最低5,980円/月・台から最高13,600円/月・台までとなっていて、地方郵政局等の間において著しい開差が生じており、信越、東海、近畿、中国、四国、九州及び東北の7地方郵政局では、5,980円/月・台から8,250円/月・台と比較的近似した借料月額で借入契約を締結しているのに対し、他の東京、関東、北陸、北海道及び沖縄の5地方郵政局等の借料月額は10,225円/月・台から13,600円/月・台と上記7地方郵政局の借料月額を大幅に上回った高額なものとなっている状況であった。

  しかしながら、本件ファクシミリは配備された郵便局等における使用目的及び必要とされる仕様はいずれも同一であるのに、このうち、借入数量が少ないなどの事情で高額になっていると思料される沖縄郵政管理事務所を除き、他の4地方郵政局については、借入数量、機器の機能からみて上記7地方郵政局に比べて高額な借料月額になる格別の理由も認められず、上記のように割高な借料月額によって契約を締結しているのは適切とは認められない。
  いま、仮に上記7地方郵政局における借料月額のうちの最高額8,250円/月・台によって上記4地方郵政局が契約したとしてその借料を計算すると、62年度の借料支払額1446万余円は1073万余円、63年度の借料年額1億9374万余円は1億4622万余円となり、それぞれ約370万円、約4750万円、計約5100万円の開差を生ずる計算となる。

 上記についての本院の指摘に基づき、郵政省では、地方郵政局等に対し、63年度におけるファクシミリの配備について63年9月に、市場の実態に即した借料の月額単価で算定した予算を示達するとともに、同年11月に、通達、指示文書を発し、地方郵政局等において的確な市場動向の把握に努め、また、他の地方郵政局等と積極的な情報の交換を行うなどして適正な予定価格を設定するよう指示するなどの処置を講じた。

(注1)  東京ほか10郵政局  東京、関東、信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、東北、北海道各郵政局

(注2)  同報機能  1回の操作で同一の通信文を複数のあて先に送信することができる機能

(注3)  親展機能  暗証番号を用いて特定の相手方との間で通信文を送受信することができる機能