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  • 昭和62年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第10 労働省|
  • 昭和61年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

労働者災害補償保険の年金と厚生年金等との併給調整について


労働者災害補償保険の年金と厚生年金等との併給調整について

(昭和61年度決算検査報告参照)

 労働省が支給している労働者災害補償保険の各年金(以下「労災年金」という。)は、受給権者がその支給事由と同一の事由により厚生年金等の支給を受けることができるときには、受給権者からその旨を届出させるなどして、所定の調整率を乗じて減額(以下「併給調整」という。)することになっているが、受給権者がこの届出を適正に行っていないこと、労働基準監督署で受給権者の厚生年金等の受給状況等の調査確認を十分に行っていないこと、同省が労働基準監督署に対し非調整受給者についての調査確認の時期、方法を具体的に示していなかったことなどにより、併給調整が適正に行われず、労災年金が過払となっている事態が見受けられたので、同省において、労災年金の受給権者に厚生年金等の受給状況等についての届出を適正に行うよう周知徹底させ、労働基準監督署に支給決定時及びその後において厚生年金等の受給状況等について調査確認を十分に行うよう指導するとともに、非調整受給者に関するリストを作成し定期的に調査確認を行わせるなどの審査体制を確立し、労災年金の支給の適正化を図る要があると認め、昭和62年12月に是正改善の処置を要求した。

 これに対し、労働省では、本院指摘の趣旨に沿い、受給権者に対し文書の配布等により届出義務について周知徹底を図るとともに、63年3月に都道府県労働基準局長に対し通達を発して、労働基準監督署において、労災年金の支給決定に際しては、厚生年金保険等への加入状況及び厚生年金等の受給の有無を的確に把握し、厚生年金等を受給している者については所要の併給調整を行い、また、併給調整を行わなかった受給権者のうち、厚生年金保険等に加入していて将来厚生年金等を受給し併給調整の対象となる可能性のある者についてはそのリストを作成し、併給調整の要否を定期的に調査確認することとするなど、労災年金の支給の適正化を図る処置を講じた。