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  • 昭和62年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第3 沖縄振興開発金融公庫|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

マンション購入資金の貸付けを受けて購入したマンションの第三者への賃貸等の防止を図るよう改善させたもの


マンション購入資金の貸付けを受けて購入したマンションの第三者への賃貸等の防止を図るよう改善させたもの

科目 住宅資金貸付金
部局等の名称 沖縄振興開発金融公庫本店
貸付けの根拠 沖縄振興開発金融公庫法(昭和47年法律第31号)
貸付種別 マンション購入資金の貸付け
貸付金の内容 民間業者が分譲する新築マンションを購入する者に対して貸し付ける資金
貸付件数 80件
貸付金の合計額 694,200,000円

 上記80件の貸付けにおいて、貸付けを受けた者(以下「借入者」という。)が、マンション購入資金の貸付けを受けて購入したマンション(以下「貸付対象マンション」という。)に自ら居住するという貸付条件に違反して、これを第三者に賃貸したり、会社事務所等非住宅用に使用したりなどしていて、これらに係る不適切な貸付金額は合計6億9420万円となっていた。
  このような事態を生じているのは、借入者の不誠実にもよるが、沖縄振興開発金融公庫(以下「公庫」という。)及び公庫から業務の委託を受けた金融機関(以下「受託金融機関」という。)において、貸付けの審査に当たり、借入申込者が自ら居住するために住宅を必要としているか否かについての審査が十分でなかったこと、貸付後のマンションの居住状況の把握をしていなかったこと、貸付契約の内容が借入者の不誠実な行為を十分抑制するものになっていなかったことなどによるもので、速やかに審査体制及び貸付後の管理体制を整備するとともに契約内容を変更するなどして、貸付対象マンションの第三者への賃貸等の防止に努める要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 公庫では、住宅資金の貸付業務の一環として、民間業者が新築したマンションで、かつ、公庫が定めた基準に該当するものを購入する者に対し、昭和50年度以降、マンション購入資金の貸付けを行っているが、この資金は公庫から貸付けを受けなければ住宅の取得ができない者が沖縄県において自ら居住するためにマンションを購入する場合に貸し付けられるものであり、自ら居住することが貸付条件となっており、借入者がこれに違反し、公庫から貸付金の返済の請求を受けたときは、直ちにその全額を償還しなければならないこととなっている。
 しかして、本院が63年中に、公庫が58年度から62年度までの間に貸し付けたマンション購入資金1,877件貸付金額172億4875万円のうち、1,128件貸付金額104億3480万円について、貸付対象マンションの居住状況を実地に調査したところ、次のとおり、借入者が上記の貸付条件に違反していて、貸付けが適切とは認められないものが80件貸付金額6億9420万円見受けられた。

(1) 貸付対象マンションを第三者に譲渡していたもの

10件

貸付金額

71,800,000円

   
(2) 貸付対象マンションを第三者に賃貸していたもの

63件

貸付金額

562,400,000円

   
(3) 貸付対象マンションを会社事務所等非住宅用として使用していたもの
7件 貸付金額

60,000,000円

 このような事態を生じているのは、借入者の不誠実にもよるが、公庫及び受託金融機関において、貸付けの審査に当たり、借入申込者が申込時の住宅状況、勤務先等からみて貸付対象マンションに自ら居住しないおそれがあるのに、この点についての審査が十分でなかったこと、公庫において、貸付後の管理に当たり居住状況を実地に調査することを受託金融機関に対し具体的に指示していなかったこと、貸付契約条項に借入者の不誠実な行為を抑制するための違約金制度を採り入れていなかったことなどによると認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、沖縄振興開発金融公庫では、前記80件の貸付けについて繰上償還の措置を講ずるとともに、第三者への賃貸等の防止を図るため、63年10月、受託金融機関あてに審査上留意すべき項目などを定めた「個人向融資(購入系)に係る目的外使用の防止策について」等の通達を発して公庫及び受託金融機関で適切な審査を行うこととし、また、実態調査要領を定めて貸付対象マンションの居住状況について受託金融機関に実地に調査を行わせることとするなど審査体制及び貸付後の管理体制を整備強化し、貸付契約に違約金の制度を採り入れるなどの処置を講じた。