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  • 昭和62年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第14 日本電信電話株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善、の処置を講じた事項

2件以上の加入電話を有する加入者に対する通話料金等の事前案内書を一括して封書で郵送することなどにより郵便料金の節減を図るよう改善させたもの


(2) 2件以上の加入電話を有する加入者に対する通話料金等の事前案内書を一括して封書で郵送することなどにより郵便料金の節減を図るよう改善させたもの

科目

営業費用
部局等の名称

東京総支社、東京料金情報センタ

郵便物の概要

通話料金等を口座振替により支払う加入者に対する領収金額及び次回振替金額を記載したはがき大の事前案内書

郵便料金 1,924,375,000円(昭和62年度)

 上記の事前案内書の郵送に当たり、2件以上の加入電話を有する加入者(以下「複数加入者」という。)に対する事前案内書は、これらを一括して封書で行うことなどが可能であるのに、個別に郵送したため、郵便料金約4410万円が不経済になっていた。
 このような事態を生じているのは、これまで、複数加入者に対し一括して封書で郵送する方法の了解を得るための照会をほとんど行っていなかったことなどによるもので、当該郵送方法等を積極的に推進することとして郵便料金の節減を図る要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 東京総支社管内の東京料金情報センタ(以下「料金センタ」という。)では、同総支社管内の加入者のうち通話料金等を口座振替により支払う加入者に対して、料金業務総合システムにより、毎月、領収金額及び次回振替金額を記載したはがき大の事前案内書を作成し、郵送している。そして、昭和62年度における事前案内書の郵送通数は5144万余通となっており、これに係る郵便料金計19億2437万余円を支払っている。

 上記の事前案内書を複数加入者に郵送する方法として東京総支社は、〔1〕 加入電話ごとに作成した事前案内書をそのまま郵便はがきとして個別に郵送する方法(以下「個別送付」という。)、〔2〕 1枚の事前案内書に加入者の有する各加入電話に係る料金額を合算して記載するとともに、それらの内訳書を添付して封書で郵送する方法(以下「一括請求」という。)、〔3〕 加入電話ごとに作成した事前案内書を一括して封書で郵送する方法(以下「一括送付」という。)の3通りの方法を採用しているが、これらの中では一括請求又は一括送付が経済的な方法であり、個別送付は割高な方法となっている。

 しかして、加入電話はその利用種別により住宅用と事務用とに分類されるが、複数加入者が比較的多い事務用電話の加入者に対する事前案内書の郵送方法について、本院が調査したところ、次のとおり、適切でないと認められる事態が見受けられた。
 すなわち、料金センタで63年8月分の事前案内書を郵送した事務用の加入電話1,902,052件のうち1,283,052件が複数加入者に係るものであるが、このうち経済的な一括請求又は一括送付により郵送していたものは647,384件(このほとんどが一括請求によるものであった。)となっており、残りの635,668件については、割高な個別送付により行っている状況であった。

 しかして、前記のとおり、一括請求は、複数加入者に対し、1枚の事前案内書にその加入電話に係る料金額を合算し、それらの内訳書を添付して郵送する方法であって、加入者に郵送されるものが個別送付の場合とは大幅に異なっているため、加入者の了解が得られない場合も多いと思料され、現に、東京総支社で62年4月から6月にかけて事前案内書の郵送方法に関する照会を電話で行った結果によると、照会を行った複数加入者の27.9%に当たる加入者について了解が得られていない状況であった。これに対し、一括送付は、複数加入者に対し加入電話ごとの事前案内書を一括して封書で郵送する方法であり、郵送されるものは個別送付の場合と同一であるため、加入者の了解が得られやすく、早期に一括送付を実施することが可能であると思料され、現に、九州総支社で62年11月から12月にかけて照会した結果によると、照会を行った複数加入者(住宅用電話の加入者を含む。)の93.6%の了解が得られている。

 したがって、個別送付を行っている前記635,668件についても、東京総支社において、複数加入者に対して一括請求又は一括送付の照会を行い、その結果一括請求の了解が得られなかった場合は一括送付の了解を得るように努めるなどして事前案内書の経済的な郵送方法を推進し郵便料金の節減を図る要があると認められた。
 いま、仮に、料金センタで63年8月分として個別送付を行っている635,668件のうち93.6%(九州総支社における照会の結果、一括送付の了解が得られた加入者の割合)に相当する59万4千余件の事前案内書の郵送を複数加入者ごとに一括送付できることになるとして、62年度の郵便料金を計算すれば、個別送付を行っている事前案内書の郵便料金2億4136万余円は1億3807万余円となり、加入者の了解を得るための照会業務などの初度経費約3460万円及び封入するなどの作業において増加する費用約2450万円を考慮したとしても、約4410万円(63年度以降は毎年度約8390万円)が節減できたと認められた。

 このような事態を生じているのは、東京総支社において、これまで、加入者に対して一括請求の照会を行う際に併せて一括送付の照会を行うべきであったのに、これをほとんど行っていなかったことなどによると認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、東京総支社では、63年11月、一括請求又は一括送付の照会業務のための新たな複数加入者リストを作成し、同月から一括請求又は一括送付の照会を実施する処置を講じた。