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  • 昭和63年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 郵政省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

防犯通報装置を構成する各機器の購入及び取付けを適切なものとするよう改善させたもの


防犯通報装置を構成する各機器の購入及び取付けを適切なものとするよう改善させたもの

会計名及び科目 郵政事業特別会計(項)業務費
部局等の名称 東京、関東、信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、東北、北海道各郵政局、沖縄郵政管理事務所
契約名 防犯通報装置購入契約
契約の概要 局舎延べ面積が300m2 未満の特定郵便局に設置する防犯通報装置を構成する機器38,353個の購入
契約金額 1,323,098,470円
契約の相手方 株式会社田村電機製作所ほか5会社、財団法人電気通信共済会
契約 昭和63年8月〜12月 指名競争契約

 上記の契約において、購入した機器のうち3,526個購入価額約1870万円は、仕様が適切でなかったため購入が過大になっていたと認められ、また、423個購入価額約540万円は、取付箇所が適切でないため防犯通報装置の各機器の機能が効果的に発現されていないと認められた。
 このような事態を生じているのは、設置対象の郵便局ごとに作成する設置局別仕様書を当該局舎の構造等に適合したものとするために必要な具体的指針を郵政本省で明示していなかったことなどによるもので、防犯通報装置の設置に当たり、各機器の取付けを局舎の構造等に対応した適切なものとするよう改善する要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)
 郵政省では、特定郵便局の防犯対策として、従来、自動防犯ベル装置、異常通報装置及び防犯カメラ装置を設置しているが、昭和61年度にこれら装置の制御器を一体化し、機能及び操作性を向上させた新型の防犯通報装置(以下「防犯装置」という。)を開発し、従来の装置の耐用年数が経過したものから順次更新している。この防犯装置は制御器、防犯カメラ、熱線探知器、集音マイク、防犯スイッチ、押ボタン、セットスイッチ及び警報ベルの各機器によって構成されているものであり、郵政省ではこれら機器の設置基準を「防犯警報装置の設置等について」(昭和63年秘庁第197号。以下「通達」という。)に定めている。これを受けて東京郵政局ほか10郵政局(注) 及び沖縄郵政管理事務所(以下「地方郵政局等」という。)では、63年度において、管内に所在する局舎延べ面積300m2 未満の特定郵便局2,502局に設置するために、防犯装置(機器総数38,353個)を総額1,323,098,470円で購入している。
 しかして、地方郵政局等において設置した防犯装置を構成する各機器の取付箇所について調査したところ、次のとおり、適切とは認められない事態が見受けられた。

(1) 金庫、制御器を警戒するための熱線探知器は、金庫と制御器が1個の熱線探知器の警戒範囲内に入る場合には1個取り付ければ足りるのに、一律に2個取り付けるなどしていたために不要な箇所に取り付けられているなどしていて、ひいては購入が過大となっている熱線探知器が315個、

(2) 取付箇所が適切でないため、制御器がその警戒範囲内に入っておらず防犯装置の検知機能が効果的に発現されていない熱線探知器が119個見受けられた。このほか、防犯装置の機器のうち集音マイクほか4種類の機器についても購入が過大となっていたり、取付箇所が適切でなかったりしている事態が見受けられ、結局、購入した上記6種類の機器のうち1,776局に係る3,526個購入価額約1870万円については購入が過大であったと認められ、また、314局に係る423個購入価額約540万円については、防犯装置の各機器の機能が効果的に発現されていないと認められた。
 このような事態を生じているのは、通達では、地方郵政局等が防犯装置を設置する局舎の構造等を考慮して効果的な防犯対策となるよう設置局別仕様書を作成することとなっているが、機器の取付けについては、標準的な取付箇所、個数等を定めているだけで、機器の取付目的、取付箇所、個数等についての具体的指針を明示していなかったため、地方郵政局等では、局舎の多様な構造等に適合した効果的な設置局別仕様書を作成することが困難となっていて、設置局別仕様書を作成していなかったこと、作成しても、局舎の構造等を考慮せずに、管内の局に一律に同数の機器を取り付けることとしていたことなどによると認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、郵政省では、平成元年11月に通達の一部を改正し、地方郵政局等に対し防犯装置を適切かつ経済的に設置するために必要な機器の取付けについての具体的指針を示し、局舎の構造等に適合した設置局別仕様書の作成を行うよう指示するなどの処置を講じた。

(注)  東京郵政局ほか10郵政局 東京、関東、信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、東北、北海道各郵政局