• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第2 総務省
  • 不当事項
  • 補助金

(1) 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の交付対象事業費に対象とならない費用を含めるなどしていたもの[総務本省、9都道県](20)―(33)


14件 不当と認める国庫補助金 159,597,252円

新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(以下「交付金」という。)は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金制度要綱(令和2年府地創第127号等。以下「制度要綱」という。)等に基づき、コロナ禍における経済対策(注1)に掲げる新型コロナウイルスの感染拡大防止策等についての対応として、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに効果的、効率的で必要な事業を実施できるよう、地方公共団体が作成し、内閣府に提出して確認を受けた新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金実施計画(以下「実施計画」という。)に記載された事業に要する費用のうち地方公共団体が負担する費用に充てるために、国が交付するものである。

(注1)
コロナ禍における経済対策  「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(令和2年4月閣議決定)、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」(令和2年12月閣議決定)、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和3年11月閣議決定)、「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」(令和4年4月原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議決定)等

制度要綱等によれば、交付金の交付対象事業は、制度要綱に掲げる基準に適合する事業であって、実施計画を作成する地方公共団体が新型コロナウイルスの感染拡大の防止及び感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活の支援等を通じた地方創生に資する事業(経済対策に対応した事業)の実施に要する費用の全部又は一部を負担する事業等とすることとされている。また、当該地方公共団体が作成した実施計画に記載された交付金の交付対象事業が複数の府省で所管する国庫補助事業や地方単独事業で構成されている場合は総務省が交付行政庁となることとなっており、実際には、全ての実施計画に地方単独事業が含まれるなどしているため、同省が交付行政庁となっている。

そして、事業主体が都道府県である場合、総務本省は都道府県から実績報告書等の提出を受け、また、事業主体が市町村(特別区を含む。以下同じ。)である場合、都道府県は市町村から実績報告書等の提出を受け、それぞれ交付金の額の確定に当たってその内容を審査することとなっている。

本院が、22都道県及び338市町村において会計実地検査を行ったところ、4県及び10市、計14事業主体において、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

① 交付対象事業費に対象とならない費用を含めるなどしていたもの

 
部局等
交付金事業者等
(事業主体)
交付金事業
年度
交付対象
事業費
左に対す
る交付金
交付額
不当と認
める交付
対象事業費
不当と認
める交付
金相当額
          千円 千円 千円 千円
(20)
総務本省
福井県
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金
5
13,596 13,596 6,703 6,703
(21)
山梨県
3
118,396 118,396 5,500 5,500
(22)
沖縄県
4、5
520,081 520,081 11,300 11,300
(23)
北海道
登別市
2、3
13,966 9,420 6,941 6,941
(24)
東京都
町田市
4
57,517 57,517 5,322 5,322
(25)
岐阜県
関市
4
47,946 47,946 6,118 6,118
(26)
愛知県
知多市
4
17,503 15,700 2,198 2,198
(27)
福岡県
柳川市
4
102,850 102,850 1,067 1,067
(20)―(27)の計 891,857 885,507 45,152 45,152

8事業主体は、実施計画に記載した地方単独事業の実施に要する費用等の全部又は一部に交付金を充当しており、交付金事業の交付対象事業費を計891,857,630円であるなどとして、総務本省又は5都道県に実績報告書を提出し、総務本省又は5都道県による審査を経て、交付金の額の確定を受け、総務省から計885,507,647円の交付金の交付を受けていた。

しかし、交付金の交付対象とされたもののうち、実施計画に基づく事業に要する費用に該当しない費用及び実施計画において対象外とするとされている費用は、交付金の交付対象とは認められないことなどから、これらに係る交付金計45,152,654円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、7事業主体(注2)において交付対象事業費等の確認が十分でなかったこと、1事業主体(注3)において交付対象事業費等の算定に対する理解が十分でなかったこと、総務本省及び5都道県において交付金の額の確定時の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

(注2)
7事業主体  福井、山梨、沖縄各県、登別、町田、関、知多各市
(注3)
1事業主体  柳川市

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例1>

沖縄県は、令和4、5両年度に、同県が制定した補助金交付要綱(以下「県交付要綱」という。)に定める補助事業(以下「県補助事業」という。)を実施した観光事業者等に対する補助金(以下「県補助金」という。)計369,207,000円を含めて沖縄県観光事業者事業継続・経営改善サポート事業を事業費計520,081,737円(交付金充当経費同額)で実施したとして、総務本省に実績報告書を提出し、総務省から交付金の交付を受けていた。

県交付要綱等によれば、県補助事業の実施に要した費用の精算が事業期間外となった場合には当該費用は県補助金の補助の対象とならないこととされている。

しかし、観光事業者等が県補助事業の実施に要した費用には、精算が事業期間外となったため県補助金の補助の対象とならない費用計11,300,000円が含まれていた。

したがって、同県がこれらの観光事業者等に対して交付した県補助金計11,300,000円は交付金の交付対象とは認められず、これに係る交付金同額が過大に交付されていた。

② 交付対象事業費を過大に精算していたもの

 
部局等
交付金事業者等
(事業主体)
交付金事業
年度
交付対象
事業費
左に対す
る交付金
交付額
不当と認
める交付
対象事業費
不当と認
める交付
金相当額
          千円 千円 千円 千円
(28)
総務本省
神奈川県
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金
5
159,397 159,397 91,791 91,791
(29)
宮城県
岩沼市
5
13,192 7,670 4,070 4,070
(30)
神奈川県
相模原市
5
55,750 27,875 5,868 5,868
(31)
鎌倉市
4
9,748 7,311 4,061 4,061
(32)
長野県
小諸市
5
55,039 43,223 1,541 1,541
(33)
岡山県
岡山市
5
48,871 48,871 7,111 7,111
(28)―(33)の計 341,997 294,347 114,444 114,444

6事業主体は、実施計画に記載した地方単独事業の実施に要する費用の全部若しくは一部又は国の補助事業(文部科学省又は厚生労働省が所管する事業)において地方公共団体が一部を負担することとされている費用に交付金を充当しており、交付金事業の交付対象事業費を計341,997,308円であるなどとして、総務本省又は4県に実績報告書を提出し、総務本省又は4県による審査を経て、交付金の額の確定を受け、総務省から計294,347,229円の交付金の交付を受けていた。

しかし、交付対象事業費等について、実際の光熱費の高騰分ではなく、実施計画に記載した見込みの光熱費の高騰分等を実績報告書に計上していたこと、国の補助事業の実績報告書に基づく金額等を交付金の実績報告書に計上すべきところ、それとは異なる金額を過大に計上するなどしていたことにより、交付金計114,444,598円が過大に精算されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、3事業主体(注4)において交付対象事業費等の算定に対する理解が十分でなかったこと、3事業主体(注5)において交付対象事業費等の確認が十分でなかったこと、総務本省及び4県において交付金の額の確定時の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

(注4)
3事業主体  神奈川県、小諸、岡山両市
(注5)
3事業主体  岩沼、相模原、鎌倉各市

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例2>

神奈川県は、令和5年度に、県有施設等においてコロナ禍における原油価格・物価高騰等により光熱費が高騰したため、光熱費の対3年度比の高騰分に交付金を充当することにより適切な維持管理を図ることなどを目的として、県立障害福祉施設入所児者処遇費等11事業を事業費計159,397,000円(交付金充当経費同額)で実施したとして、総務本省に実績報告書を提出し、総務省から交付金の交付を受けていた。

しかし、同県が提出した実績報告書等を確認したところ、11事業の全てについて、実際の光熱費の対3年度比の高騰分ではなく誤って実施計画に記載した見込みの光熱費の高騰分等が計上されており、事業費が過大に計上されていた。そこで、上記の11事業について実際の5年度における光熱費の対3年度比の高騰分に基づきそれぞれの適正な事業費を算定すると計67,605,214円となる。

したがって、前記の事業費159,397,000円との差額91,791,786円(交付金充当経費同額)が過大に精算されていた。

(20)―(33)の計 1,233,854 1,179,854 159,597 159,597