• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第2 総務省
  • 不当事項
  • その他

特別交付税の額の算定に当たり、特定財源として国庫補助金を控除していなかったこと、算定の対象とならない経費を含めていたこと、他の算定事項で算定した経費を重複して含めていたことなどにより、特別交付税が過大に交付されていたもの[総務本省](35)―(49)


所管、会計名及び科目
内閣府、総務省及び財務省所管
交付税及び譲与税配付金特別会計 (項)地方交付税交付金
部局等
総務本省
交付の根拠
地方交付税法(昭和25年法律第211号)
交付先
県1、市9、町4、村1
特別交付税交付額
21,350,166,000円(令和2年度~6年度)
過大に交付された特別交付税の額
259,923,000円(令和2年度~6年度)

1 特別交付税の概要

総務省は、地方交付税法(昭和25年法律第211号)に基づき、普通交付税の算定方法によっては捕捉されなかった特別の財政需要があるなどの地方団体に特別交付税を交付している。

特別交付税の額の算定方法は、特別交付税に関する省令(昭和51年自治省令第35号。以下「省令」という。)において、特別の財政需要として算定の対象となる事項(以下「算定事項」という。)ごとに定められている。算定事項には、空き家対策に要する経費(以下「空き家対策経費」という。)、移住・定住対策に要する経費(以下「移住定住経費」という。)、地方創生の推進に要する経費(以下「地方創生経費」という。)、原油価格高騰対策に要する経費(以下「高騰対策経費」という。)等がある。

地方交付税法等に基づき、都道府県は当該都道府県に該当する算定事項ごとに特別交付税の額の算定に用いる資料等(以下「算定資料」という。)を作成して総務省に提出することとなっている。また、市町村は当該市町村に該当する算定事項ごとに算定資料を作成して都道府県に提出することとなっており、都道府県は管内市町村から提出された算定資料の審査を行って総務省に送付することなどとなっている。そして、同省は、都道府県から提出され、又は送付された算定資料により、各地方団体に交付すべき特別交付税について、額を算定して決定し、交付することとなっている。

省令、算定資料の記載要領等(以下「省令等」という。)によれば、特別交付税の額の算定は都道府県又は市町村が負担する額に基づくことなどとされ、算定の対象となる経費が算定事項ごとに定められている(以下、特別交付税の額の算定の対象となる都道府県又は市町村が負担する額について、都道府県が負担する額を「都道府県負担額」、市町村が負担する額を「市町村負担額」という。)。そして、地方創生経費については、地方創生推進交付金(以下「交付金」という。)を受けて施行する事業に要する経費のうち、交付金の交付額及び地方債を起こすことができる事業に係る経費を除いた額から、更に交付金以外の国庫補助金等の特定財源等を控除した額を都道府県負担額又は市町村負担額とすることなどとされている(参照)。また、移住定住経費については、移住希望者等に対する情報発信等に要する経費から、高騰対策経費については、公共施設等における燃料費の高騰により増加した経費等の原油価格高騰対策に関する取組に要する経費から、それぞれ国庫補助金等の特定財源等を控除した額を都道府県負担額又は市町村負担額とすることなどとされている。

そして、省令等によれば、算定資料の記載に当たり、他の算定事項において特別交付税が措置される経費については、これを重複計上しないよう除外することとされている。

図 特別交付税の額の算定に係る概念図(地方創生経費の例)

図 特別交付税の額の算定に係る概念図(地方創生経費の例)画像

2 検査の結果

本院は、合規性等の観点から、特別交付税の額が適正に算定されているかなどに着眼して、総務本省、13道県及び19道県の134市町村において、令和2年度から6年度までの間に交付された特別交付税を対象として、算定資料等を確認するなどして会計実地検査を行った。

検査の結果、1県(注1)及び10道県の14市町村(注2)において、算定資料の作成に当たり、特定財源として国庫補助金を控除していなかったこと、算定の対象とならない経費を含めていたこと、他の算定事項で算定した経費を重複して含めていたことなどにより、1県及び14市町村に交付された特別交付税計21,350,166,000円のうち計259,923,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、1県及び10道県の14市町村において省令等の理解、算定資料の確認等が十分でなかったこと、8道県(注3)において市町村の算定資料の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

(注1)
1県  佐賀県
(注2)
10道県の14市町村  北海道岩見沢、名寄、宮城県気仙沼、富谷、秋田県潟上、静岡県伊豆、愛知県清須、福岡県古賀、熊本県天草各市、北海道茅部郡森、群馬県利根郡みなかみ、滋賀県犬上郡豊郷、高知県吾川郡いの各町、北海道余市郡赤井川村
(注3)
8道県  北海道、宮城、秋田、群馬、静岡、愛知、滋賀、高知各県

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例1>

佐賀県は、令和3年度に、高騰対策経費の算定資料の作成に当たり、都道府県負担額を199,000,000円として、高騰対策経費に係る算定額を含む特別交付税3,458,110,000円の交付を受けていた。

しかし、同県は、3年度の算定資料の作成に当たり、上記の都道府県負担額199,000,000円のうち179,000,000円について、国庫補助金を充当することとしていたのに、誤って特定財源として控除すべき当該国庫補助金を控除していなかったなどのため、高騰対策経費に係る都道府県負担額179,000,000円が過大となっていた。

したがって、適正な都道府県負担額に基づいて特別交付税の額を算定すると、3,368,610,000円となることから、特別交付税89,500,000円が過大に交付されていた。

<事例2>

群馬県利根郡みなかみ町は、令和2年度に、地方創生経費の算定資料の作成に当たり、市町村負担額を18,650,000円として、地方創生経費に係る算定額を含む特別交付税339,592,000円の交付を受けていた。

しかし、同町は、2年度の交付金事業として実施した公共施設整備事業が、地方創生経費の算定の対象とならない地方債を起こすことができる事業であったにもかかわらず、同事業に係る経費を誤って地方創生経費の算定の対象としていたため、地方創生経費に係る市町村負担額17,500,000円が過大となっていた。

したがって、適正な市町村負担額に基づいて特別交付税の額を算定すると、325,592,000円となることから、特別交付税14,000,000円が過大に交付されていた。

以上を道県別・交付先別に示すと、次のとおりである。

 
道県名
交付先
算定事項
年度
特別交付税
交付額
過大に交付さ
れた特別交付
税の額
摘要
          千円 千円  
(35)
北海道
岩見沢市
地方創生経費
3~5
6,004,220 8,295
算定の対象とならない経費を含めていたもの
(36)
名寄市
5
1,385,145 54,433
(37)
茅部郡森町
移住定住経費
4
334,134 4,043
国庫補助金を控除していなかったもの
高騰対策経費
5
252,094 3,660
 
小計
586,228 7,703  
(38)
余市郡赤井川村
地方創生経費
5
114,756 5,280
算定の対象とならない経費を含めていたもの
(39)
宮城県
気仙沼市
4、5
2,108,811 12,760
(40)
富谷市
2、5
733,188 5,062
(41)
秋田県
潟上市
高騰対策経費
5
629,739 36,250
国庫補助金を控除していなかったもの
(42)
群馬県
利根郡みなかみ町
地方創生経費
2
339,592 14,000
算定の対象とならない経費を含めていたもの
(43)
静岡県
伊豆市
空き家対策経費
5、6
1,650,599 4,848
他の算定事項で算定した経費を重複して含めていたもの
(44)
愛知県
清須市
地方創生経費
3、4
546,975 2,345
算定の対象とならない経費を含めていたもの
(45)
滋賀県
犬上郡豊郷町
高騰対策経費
4
338,021 1,407
国庫補助金を控除していなかったもの
(46)
高知県
吾川郡いの町
地方創生経費
3
499,674 2,530
算定の対象とならない経費を含めていたもの
(47)
福岡県
古賀市
移住定住経費
4
300,285 3,310
国庫補助金を控除していなかったもの
(48)
佐賀県
佐賀県
高騰対策経費
3
3,458,110 89,500
国庫補助金を控除していなかったなどのもの
(49)
熊本県
天草市
4
2,654,823 12,200
国庫補助金を控除していなかったもの
(35)―(49)の計 21,350,166 259,923