• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第3 外務省
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

(1) 無償資金協力(食糧援助)等の贈与資金により調達した物品を売却するなどして回収した資金である見返り資金の残高等を適時適切に確認して、長期にわたり使用されていない見返り資金の早期の使用に向けた働きかけを行うことなどにより、更なる開発効果が速やかに発現されるなどするよう意見を表示したもの


会計名及び科目
一般会計 (組織)外務本省 (項)経済協力費
部局等
外務本省
見返り資金制度の概要
無償資金協力(食糧援助)等の贈与資金により、調達した物品を売却するなどして回収した見返り資金を経済社会開発に資する事業に使用するもの
検査及び調査の対象とした事業数並びにこれらの贈与額
15か国115事業 506億3100万円(平成4年度~29年度)
上記の事業に係る見返り資金のうち使用されておらず更なる開発効果が速やかに発現していない見返り資金に係る事業数及び残高
7か国31事業 11億5929万円(令和6年度末)

【意見を表示したものの全文】

見返り資金の使用状況等について

(令和7年10月22日付け 外務大臣宛て)

標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり意見を表示する。

1 見返り資金の概要

(1) 無償資金協力(食糧援助)等の概要

我が国は、国際社会の平和と発展に貢献し、これを通じて我が国の安全と繁栄の確保に資することを目的として、政府開発援助を贈与や貸付けなどの形態で実施している。

貴省及び独立行政法人国際協力機構(以下「機構」という。)が実施する政府開発援助のうち、無償資金協力は、開発途上地域の政府等又は国際機関に対して、返済の義務を課さないで資金を贈与することにより実施されるものである。そして、無償資金協力には、食糧不足に直面している開発途上地域の政府等に対して、米、小麦等の食糧を調達するための資金を贈与する無償資金協力(食糧援助)がある(注1)。また、過去には、食用作物の増産のための肥料や農業機械等を調達するための資金を贈与する無償資金協力(貧困農民支援)(平成17年度以前は無償資金協力(食糧増産援助))や、経済構造改善努力を推進する開発途上地域の政府等に対して、経済構造改善努力を推進するのに必要な資機材等を輸入するための資金を贈与するノン・プロジェクト無償資金協力(経済構造改善努力支援無償資金協力)(以下「ノン・プロ無償」という。)が実施されていた(注2)

(注1)
無償資金協力(食糧援助)は、昭和43年から開始され、平成20年9月までの閣議決定に基づく事業は貴省が、同年10月から22年4月までの間の閣議決定に基づく事業は機構が、同年5月以降の閣議決定に基づく事業は再び貴省がそれぞれ実施している。
(注2)
無償資金協力(食糧増産援助)は、昭和52年から開始された後、平成17年度に無償資金協力(貧困農民支援)に名称が変更され、20年9月までの閣議決定に基づく事業は貴省が、同年10月以降の閣議決定に基づく事業は当該事業が終了する27年3月まで機構がそれぞれ実施していた。
また、ノン・プロ無償は、昭和62年度から開始され、事業が終了する平成27年4月まで貴省が実施していた。

(2) 見返り資金制度の概要

我が国と援助の相手となる開発途上国の政府(以下「相手国政府」という。)との二国間における無償資金協力(食糧援助)(以下「KR」という。)、無償資金協力(食糧増産援助)及び無償資金協力(貧困農民支援)(以下、両者を合わせて「2KR」という。)並びにノン・プロ無償において、相手国政府が、贈与資金により調達した穀物、農業機械又は資機材を国内市場で売却するなどして回収した資金(以下「見返り資金」という。)を経済社会開発に資する事業に使用するという見返り資金制度を利用することが可能となっている(注3)

ア 見返り資金の目的

貴省が定めた「食糧援助(KR)にかかる見返り資金制度の運用に関するガイドライン」(平成24年6月外務省国際協力局制定)、「ノン・プロジェクト無償資金協力に係る見返り資金制度の運用に関するガイドライン」(平成21年8月外務省国際協力局制定)(以下、これらを合わせて「ガイドライン」という。)等によれば、見返り資金は、贈与資金による開発途上国の食糧不足の緩和、貧困削減等という開発効果に加え、開発途上国の経済社会開発のために使用することによる更なる開発効果が期待されるなどとされている。そして、見返り資金について、我が国の経済協力事業では適切な支援が困難な事業や、我が国の経済協力事業の円滑な実施等のための相手国政府負担分等に対する財源として活用させることとされている。

イ 見返り資金の積立て

KR、2KR及びノン・プロ無償の実施に当たり、我が国と相手国政府との間で取り交わす交換公文、贈与契約及び事業実施に係る詳細手続に関する合意議事録によれば、物品の調達が効率的、円滑かつ適切に実施されるよう、相手国政府は貴省から推薦された団体(以下「調達代理機関」という。)と調達代理契約を締結して、調達代理機関は相手国政府に代わって物品を調達することとされている。

そして、相手国政府は、所定の積立期限(交換公文締結後2年等)までに、事業ごとに開設した相手国政府名義の銀行口座に見返り資金として、交換公文に基づく積立義務額以上の金額を積み立てることとなっている。

ウ 見返り資金の使用

見返り資金は、相手国政府に帰属するものの、我が国からの贈与資金により調達した物品を売却するなどして回収した資金であることから、貴省は、見返り資金の積立て及び使用について外交政策的に一定の関与を行うこととしている。そして、交換公文等によれば、不適切な用途への使用を防止するなどのために、相手国政府は、銀行口座の見返り資金を使用する際に、在外公館に対して見返り資金の使用に係る協議(以下「使途協議」という。)を行うこととされている。使途協議に当たり、相手国政府は、見返り資金の使用に係る申請を行い、在外公館は、申請内容を確認して検討し、貴省本省へ当該申請内容等の妥当性についての判断を求めた上で、見返り資金の使用を承認することとなっている。

(注3)
見返り資金を経済社会開発に資する事業に使用する期限は定められていない。

(3) 見返り資金の残高、使用状況等の確認

ガイドライン等によれば、在外公館は、使途協議に当たり、相手国政府の見返り資金の残高、使用状況等の確認を実施することとされている。

交換公文等によれば、在外公館は、KR、2KR及びノン・プロ無償について、原則として交換公文締結後5年間は、調達代理契約に基づき、調達代理機関から、銀行口座の残高証明書とともに、相手国政府の見返り資金の積立額及び積立義務額等(以下、これらを合わせて「積立額等」という。)の報告を半年ごとに受けることとされている。そして、在外公館は、調達代理機関から積立額等の最終報告を受けた後は、見返り資金の不正使用の防止、相手国政府による見返り資金の使途に係る適格性の確認等の観点から、相手国政府の銀行口座の見返り資金が全て使用されるまで、残高、使用状況等について、使途協議が行われるなどした際に確認することになっている。

(4) 見返り資金に関する過去の検査の状況

本院は、平成15年度決算検査報告において、ノン・プロ無償で積み立てられた見返り資金の状況等について、特定検査対象に関する検査状況として掲記しており、見返り資金の使用状況を相手国政府から報告させるなどして把握し、速やかに使用されているとは認められない場合には、見返り資金の使用により早期に効果が発現するよう相手国政府に働きかけをすることなどを所見として記述している。

2 本院の検査及び調査の結果

(検査及び調査の観点及び着眼点)

本院は、有効性等の観点から、KR、2KR及びノン・プロ無償で積み立てられた見返り資金は、相手国政府により適切に使用され、開発効果が速やかに発現しているか、また、調達代理機関から相手国政府の積立額等の最終報告を受けた後、在外公館において、見返り資金の残高、使用状況等を適切に確認しているかなどに着眼して検査及び調査を実施した。

(検査及び調査の対象及び方法)

本院は、15か国(注4)の事業のうち、貴省が保有している関係資料等によりKR、2KR及びノン・プロ無償に係る交換公文の締結状況が確認可能であった平成4年度から29年度(注5)までに交換公文を締結した115事業(贈与額計506億3100万円、うちKR64事業に係る贈与額計240億6100万円、2KR40事業に係る贈与額計168億7000万円及びノン・プロ無償11事業に係る贈与額計97億円)を対象として検査した。

検査に当たっては、貴省本省及び15か国を管轄する11在外公館(注6)のうち10在外公館(注7)において、見返り資金に係る関係書類等を確認して説明を聴取するなどして会計実地検査を行った。また、残りの1在外公館(注8)については、見返り資金の使用状況等について、ウェブ会議システムを活用して説明を聴取するなどして検査した。

また、調査に当たっては、貴省の職員の立会いの下に、相手国政府から協力が得られた範囲内で2か国(注9)の相手国政府の担当職員から説明を受けるなどした。さらに、相手国政府が保有している資料等で調査上必要なものがある場合は、貴省を通じて入手した。

(注4)
15か国  アルメニア共和国、カンボジア王国、コモロ連合、ジブチ共和国、エクアドル共和国、エリトリア国、ガーナ共和国、インドネシア共和国、ケニア共和国、ラオス人民民主共和国、リベリア共和国、マダガスカル共和国、モンゴル国、シエラレオネ共和国、タンザニア連合共和国
(注5)
平成29年度までとすれば、調達代理機関からの積立額等の最終報告を受けた後、在外公館が見返り資金の残高等を確認することになってから相当期間(2年以上)が経過していることとなる。
(注6)
11在外公館  在インドネシア、在カンボジア、在モンゴル、在ラオス、在エクアドル、在アルメニア、在ガーナ、在ケニア、在ジブチ、在タンザニア、在マダガスカル各日本国大使館
(注7)
10在外公館  在インドネシア、在カンボジア、在ラオス、在エクアドル、在アルメニア、在ガーナ、在ケニア、在ジブチ、在タンザニア、在マダガスカル各日本国大使館
(注8)
1在外公館  在モンゴル日本国大使館
(注9)
2か国  アルメニア共和国、マダガスカル共和国

(検査及び調査の結果)

検査及び調査を実施したところ、次のような事態が見受けられた。

(1) 見返り資金の残高の状況、使用状況等

ア 見返り資金の残高の状況

検査の対象とした115事業は、令和6年度末時点で、いずれも見返り資金の積立期限から5年以上が経過している事業である。そして、KR、2KR及びノン・プロ無償の別に見返り資金の残高の状況をみると、表1のとおり、6年度末時点の残高が、KRについては5か国16事業の計4億7529万余円、2KRについては3か国6事業の計1億4728万余円、ノン・プロ無償については1か国9事業の計5億3671万余円となっており、計7か国(注10)31事業において相手国政府の口座に計11億5929万余円の残高がある状況となっていた(注11)

(注10)
7か国  アルメニア共和国、コモロ連合、エクアドル共和国、エリトリア国、マダガスカル共和国、シエラレオネ共和国、タンザニア連合共和国
(注11)
在外公館が把握していた残高のほか、本院が在外公館を通じて相手国政府に確認して把握した残高(リンク参照)を含んでいる。

表1 KR、2KR及びノン・プロ無償の交換公文締結年度別の見返り資金の残高の状況

事業別交換公文
締結年度
KR 2KR ノン・プロ無償
贈与額
(千円)
左の贈与額により調達
した物品を売却するな
どして回収した見返り
資金の令和6年度末時
点の残高等注(3)
贈与額
(千円)
左の贈与額により調達
した物品を売却するな
どして回収した見返り
資金の6年度末時点の
残高等注(3)
贈与額
(千円)
左の贈与額により調達
した物品を売却するな
どして回収した見返り
資金の6年度末時点の
残高等注(3)
贈与額
(千円)
左の贈与額により調達
した物品を売却するな
どして回収した見返り
資金の6年度末時点の
残高等注(3)
国数
注(1)
事業
見返り資
金残高
(千円)
国数
注(1)
事業
見返り資
金残高
(千円)
国数
注(1)
事業
見返り資
金残高
(千円)
国数
注(1)
事業
見返り資
金残高
(千円)
平成4年度 2,500,000 1 1 1,817 2,500,000 1 1 1,817
 5年度 350,000 1 1 19 350,000 1 1 19
 6年度 450,000 1 1 561 450,000 1 1 561
 7年度 1,500,000 1 1 3,853 1,500,000 1 1 3,853
 9年度 1,250,000 1,250,000
11年度 2,860,000 1 2 130 1,900,000 1 1 31 600,000 1 1 4,660 5,360,000 1 4 4,822
12年度 539,000 1,410,000 1 1 319 800,000 1 1 19,654 2,749,000 2 2 19,974
13年度 3,440,000 3,440,000
14年度 2,262,000 1,700,000 3,962,000
15年度 1,410,000 720,000 2,130,000
16年度 650,000 600,000 1 1 23,110 1,250,000 1 1 23,110
17年度 1,620,000 1 1 5,772 1,180,000 1,100,000 1 1 6,108 3,900,000 1 2 11,880
18年度 1,490,000 960,000 1 1 123,239 700,000 1 1 39,490 3,150,000 2 2 162,730
19年度 2,150,000 1 1 39,542 1,230,000 900,000 1 1 245,264 4,280,000 2 2 284,807
20年度 1,970,000 1,680,000 3,650,000
22年度 4,030,000 1 1 403 4,030,000 1 1 403
23年度 890,000 1 1 907 890,000 1 1 907
24年度 1,320,000 2 2 3,044 1,320,000 2 2 3,044
25年度 1,210,000 2 2 38,349 1,210,000 2 2 38,349
26年度 470,000 2 2 140,593 300,000 1 1 141,576 770,000 3 3 282,169
27年度 230,000 1 1 1,552 1,300,000 1 1 74,287 1,530,000 2 2 75,840
28年度 490,000 2 2 207,978 490,000 2 2 207,978
29年度 470,000 1 1 37,018 470,000 1 1 37,018
24,061,000 5 16 475,294 16,870,000 3 6 147,281 9,700,000 1 9 536,714 50,631,000 7 31 1,159,290
  • 注(1) 国数の計は純計である。
  • 注(2) 見返り資金額は、各在外公館が令和6年度末の残高として把握した額を、同年度末に適用される出納官吏事務規程(昭和22年大蔵省令第95号)第16条に規定する外国貨幣換算率(以下「出納官吏レート」という。)等により、邦貨額に換算したものである。
  • 注(3) 政情不安、治安情勢の悪化等により、相手国政府から回答がなかったものは含まれていない。

そして、これらの7か国31事業の見返り資金11億5929万余円について、積立期限後の経過年数別に残高の状況をみたところ、表2のとおり、積立期限から20年以上経過している事業の残高が2か国10事業の計3104万余円(7か国31事業の見返り資金の残高の2.7%)、15年以上20年未満が経過している事業の残高が2か国5事業の計1億1402万余円(同9.8%)、10年以上15年未満が経過している事業の残高が4か国6事業の計3億7286万余円(同32.2%)、5年以上10年未満が経過している事業の残高が4か国10事業の計6億4135万余円(同55.3%)となっていた。

表2 積立期限後経過年数別の見返り資金の残高の状況

見返り資金の積立期限後
の経過年数
事業別
20年以上
(20年~29年)
15年以上
20年未満
10年以上
15年未満
5年以上
10年未満
KR 国数 1 2 2 4 5
事業数 2 2 4 8 16
見返り資金残高(千円) 130 45,315 4,356 425,492 475,294
2KR 国数 2 1 1 3
事業数 4 1 1 6
見返り資金残高(千円) 930 23,110 123,239 147,281
ノン・
プロ
無償
国数 1 1 1 1 1
事業数 4 2 1 2 9
見返り資金残高(千円) 29,986 45,599 245,264 215,864 536,714
国数
注(1)
2 2 4 4 7
事業数 10 5 6 10 31
見返り資金残高(千円) 31,048
(2.7%)
114,024
(9.8%)
372,860
(32.2%)
641,356
(55.3%)
1,159,290
(100.0%)
  • 注(1) 国数の計は純計である。
  • 注(2) 見返り資金額は、各在外公館が令和6年度末の残高として把握した額を、同年度末に適用される出納官吏レート等により、邦貨額に換算したものである。
  • 注(3) 計欄には、31事業の見返り資金の残高に対する割合を括弧書きしている。

イ 見返り資金の使用状況等

6年度末時点で見返り資金の残高がある7か国31事業に係る使途協議の状況を確認したところ、7か国28事業の見返り資金計8億6136万余円については、6年度末時点から直近5年間において使途協議が行われていないことなどから、直近5年間は相手国政府により使用されていないと認められた。このうち、2か国4事業の見返り資金計5億0758万余円については、積立て後一度も使途協議が行われていないことなどから、相手国政府により一度も使用されていないと認められた。

そして、在外公館等を通じて相手国政府に、見返り資金の使途協議を行っていない理由を確認したところ、相手国政府は、見返り資金の口座の存在を把握していないなどして、見返り資金の使用計画がなかったなどとしていた。

このように、6年度末時点における7か国31事業の見返り資金の残高11億5929万余円は、積立期限後5年以上が経過していて、長期にわたり使用されておらず、中には、積立期限後20年以上が経過しているものや、積立て後一度も使途協議が行われていないものが見受けられる状況となっており、見返り資金による更なる開発効果が速やかに発現していないと認められた。

(2) 見返り資金の残高等の確認及び早期の使用に向けた相手国政府に対する働きかけの状況

ア 在外公館等による見返り資金の残高、使用状況等の確認状況

交換公文等によれば、原則として交換公文締結後5年間は、調達代理機関が相手国政府の見返り資金の口座を把握して、見返り資金の積立額等を在外公館に対して報告することとされている。そして、調達代理機関から積立額等の最終報告を受けた後は、在外公館が相手国政府の見返り資金の銀行口座を把握した上で、相手国政府の見返り資金の残高、使用状況等について、使途協議が行われるなどした際に確認することになっている。

そこで、調達代理機関からの積立額等の最終報告を受けた後、在外公館において、相手国政府の見返り資金の残高、使用状況等を適切に確認しているかについてみたところ、11在外公館のうち4在外公館においては、担当者の交代等の際に関係資料の引継ぎがなされなかったことなどにより、相手国政府の見返り資金の銀行口座の一部の存在を把握しておらず、当該口座における見返り資金の残高、使用状況等を確認していなかった。

そして、貴省本省においても、相手国政府の見返り資金の残高、使用状況等を把握する体制が整備されておらず、見返り資金の残高、使用状況等を確認していない在外公館に対して、適時適切に確認するよう指示していなかった。

そこで、4在外公館を通じて相手国政府に見返り資金の残高を確認したところ、表3のとおり、在外公館が存在を把握していなかった相手国政府の銀行口座の残高は、KRについては4か国14事業の計1億3239万余円、2KRについては2か国5事業の計2404万余円、ノン・プロ無償については1か国7事業の計2億7179万余円、計5か国26事業の計4億2823万余円となっていた。

表3 在外公館が口座の存在を把握していなかった相手国政府の見返り資金の残高等

事業別 在外公館名 国名 事業数 見返り資金の令和6年度
末時点の残高(千円)
KR 在マダガスカル
日本国大使館
コモロ連合注(1) 7 15,095
マダガスカル共和国 4 42,921
在ガーナ日本国大使館 シエラレオネ共和国注(1) 2 34,838
在タンザニア
日本国大使館
タンザニア連合共和国 1 39,542
小計 14 132,398
2KR 在アルメニア
日本国大使館
アルメニア共和国 1 319
在マダガスカル
日本国大使館
マダガスカル共和国 4 23,722
小計 5 24,041
ノン・
プロ
無償
在マダガスカル
日本国大使館
マダガスカル共和国 7 271,794
小計 7 271,794
計(4在外公館 5か国) 26 428,235
  • 注(1) 在外公館が設置されておらず、近隣国に設置された在外公館が当該国を兼轄している。
  • 注(2) 見返り資金額は、各在外公館が令和6年度末の残高として把握した額を、同年度末に適用される出納官吏レート等により、邦貨額に換算したものである。

イ 見返り資金の早期の使用に向けた相手国政府に対する働きかけの状況

貴省本省は、使途協議が行われて、貴省本省から見返り資金の使用に係る申請内容等の妥当性についての判断を在外公館に伝達する際に、在外公館に対して相手国政府の見返り資金の今後の使用見込みを確認することとしており、ガイドライン等では明確になっていないものの、その際には、在外公館に対して見返り資金の早期の使用を相手国政府に対して促すよう指示しているとしている。

一方、7か国31事業の見返り資金計11億5929万余円について、使途協議が行われていない場合の在外公館における見返り資金の使用に向けた相手国政府に対する働きかけについてみたところ、見返り資金の早期の使用を促すなどの働きかけを行っている在外公館は確認できなかった。

(改善を必要とする事態)

貴省が実施したKR、2KR及びノン・プロ無償において積み立てられた見返り資金について、長期にわたり使用されておらず、見返り資金による更なる開発効果が速やかに発現していない事態は適切ではなく、改善の要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、貴省において、次のことなどによると認められる。

ア 在外公館において、相手国政府の見返り資金の残高、使用状況等を適切に確認することの必要性の認識が欠けていたこと

イ 相手国政府の見返り資金について、長期にわたり使用されておらず開発効果が発現しないままとなっているのに、在外公館から相手国政府に対して見返り資金の早期の使用に向けた働きかけを行っていないこと

ウ 貴省本省において、相手国政府の見返り資金の残高、使用状況等を把握する体制が整備されていないこと

3 本院が表示する意見

見返り資金については、KR、2KR及びノン・プロ無償の贈与資金による開発途上国の食糧不足の緩和、貧困削減等という開発効果に加え、開発途上国における経済社会開発のために使用することによる更なる開発効果の発現が期待されるなどしている。

ついては、貴省において、相手国政府の見返り資金が適切に使用され、見返り資金による更なる開発効果が速やかに発現されるなどするよう、次のとおり意見を表示する。

ア ガイドラインを改訂するなどして、在外公館が相手国政府の見返り資金の残高、使用状況等を適時適切に確認して、長期にわたり使用されておらず、使用される予定がない見返り資金を把握した場合は、相手国政府に対して見返り資金の早期の使用に向けた働きかけを行うよう、明確に定めて在外公館に周知徹底すること

イ 貴省本省において、在外公館が行う見返り資金の残高、使用状況等の確認の状況について、適時適切に把握する体制を整備するとともに、見返り資金の早期の使用に向けた働きかけを在外公館に対して指示することとすること