• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第3 外務省
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

在外公館庁舎等の境界塀等の修繕工事について、台帳図面等を用いて土地の境界等を確認することを会計事務の手引きなどに定めるなどして、境界塀等が土地の境界内に適切に設置されるよう改善させたもの


会計名及び科目
一般会計 (組織)在外公館 (項)在外公館共通費
部局等
外務本省、7在外公館
境界塀等の修繕工事の概要
在外公館庁舎等の周囲に設置されている塀、フェンス、門衛所等の修繕を行うもの
検査の対象とした境界塀等の修繕工事に係る契約数及び契約金額
27契約 9844万余円(令和3年度~5年度)
上記のうち土地の境界等を確認しなかったことなどにより、土地の境界の外に境界塀等を設置した工事に係る契約数及び契約金額相当額
3契約 1482万円(令和3、4両年度)

1 在外公館における境界塀等の修繕工事の概要

外務省には、外務省設置法(平成11年法律第94号)に基づき、特別の機関として、大使館や総領事館等の在外公館が置かれている。在外公館は、海外で我が国を代表して外交関係の処理に携わり、情報収集・対外発信等の分野で重要な役割を果たすとともに、邦人保護、日本企業の支援等の活動を行っている。

そして、外務省は、在外公館の庁舎、在外公館長の公邸等(以下「在外公館庁舎等」という。)を設置しており、在外公館庁舎等の周囲には塀、フェンス等の境界塀、門衛所等(以下「境界塀等」という。)を設置するなどして警備対策を行っている。

在外公館庁舎等や境界塀等を設置するに当たっては、これらを設置する土地を取得するなどの必要があり、在外公館は、取得した当該土地等を固有財産等として管理している。「国有財産事務の手引き(在外公館用)」(平成24年11月外務省大臣官房在外公館課)等により、在外公館は、国有財産台帳等のほか、国有財産等を取得した際の契約書の図面等に基づき作成され、土地の境界等が示された図面(以下「台帳図面」といい、国有財産等を取得した際の契約書の図面等と合わせて「台帳図面等」という。)を備えることとなっている。

在外公館庁舎等の境界塀等の修繕工事は、緊急事態、テロ等を念頭に置いた警備対策強化等のために、毎年度、複数の在外公館で実施されている。

在外公館庁舎等の新築、修繕、改築等の工事(以下「営繕工事」という。)は、在外公館の会計等を担当する官房班等が所掌しているが、このうち境界塀等の警備に関わる修繕工事については、在外公館の警備を担当する警備班等が所掌しており、「在外公館用会計事務の手引き(改訂版)」(平成27年3月外務省大臣官房会計課。以下「会計事務の手引き」という。)等に基づき、おおむね次の手順により実施することとなっている。

① 警備班等は、複数の現地業者に見積書、工事平面図等を作成させる。

② 警備班等は、外務本省(以下「本省」という。)が定めた所定の申請様式(以下「申請様式」という。)に修繕工事の概要を記入し、契約書案、見積書、工事平面図、国有財産台帳等を添付するなどして、在外公館内において官房班等の決裁を経る。

③ 在外公館は、本省において在外公館庁舎等の警備対策等に関する事項を所掌する在外公館課警備対策室(以下「警備対策室」という。)に申請を行う。

④ 在外公館からの申請を受けて、警備対策室が工事内容、警備に係る必要事項等を確認した後、本省において在外公館庁舎等の営繕工事等に関する事項を所掌する在外公館課営繕室等の決裁を経て、警備対策室が当該申請を承認する。

⑤ 在外公館は、境界塀等の修繕工事を現地の業者に請け負わせて実施する。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、合規性等の観点から、在外公館における境界塀等の修繕工事は台帳図面等を踏まえた適切なものとなっているかなどに着眼して、令和3年度から5年度までに7在外公館(注1)において実施された境界塀等の修繕工事に係る契約27件(契約金額計9844万余円)を対象として、本省及び6在外公館(注2)において、契約書、工事図面等の関係書類を確認するなどして会計実地検査を行うとともに、1在外公館(注3)からウェブ会議システムを活用して工事の状況等について説明を聴取するなどして検査した。

(注1)
7在外公館  在インドネシア、在ラオス、在英国、在ギリシャ、在セルビア各日本国大使館、在香港、在ホーチミン両日本国総領事館
(注2)
6在外公館  在インドネシア、在ラオス、在英国、在ギリシャ、在セルビア各日本国大使館、在ホーチミン日本国総領事館
(注3)
1在外公館  在香港日本国総領事館

(検査の結果)

検査したところ、7在外公館のうち在香港日本国総領事館(以下「総領事館」という。)において、次のような事態が見受けられた。

(1) 境界塀等の改修工事の経緯

総領事館の警備班は、総領事公邸(以下「公邸」という。)の土地の周囲にある平成11年3月に改修したフェンスや照明(以下「フェンス等」という。)が腐食するなどしていたことから、フェンス等を改修する工事(以下「フェンス等改修工事」という。)を6期に分けて複数年度にわたって実施することを計画して、総領事館内及び本省内の決裁を経て、警備対策室から承認された。

そして、総領事館は、6期のうち2期分のフェンス等改修工事(以下「当初工事」という。)について、令和3年12月から4年11月までの間に、3件の随意契約(契約金額計138万香港ドル(邦貨換算額1932万余円))により業者に請け負わせて実施した。

しかし、5年2月に現地当局から、当初工事において改修したフェンス等が公邸の土地の境界の外に設置されているおそれがあるとの連絡があり、土地の境界等を確認したところ、フェンス等及び門衛所等が土地の境界の外に設置されていることが明らかとなった。

そして、総領事館は、同年11月から6年3月までの間に、当初工事で改修したフェンス等の大部分及び門衛所等を撤去して、土地の境界内に移設するなどの工事(以下「移設等工事」という。)を2件の随意契約(契約金額計183万香港ドル(邦貨換算額3297万余円))により業者に請け負わせて実施していた。

(2) 境界塀等の修繕工事における土地の境界等の確認の状況

総領事館における当初工事の実施手順等について確認したところ、警備班は、当初工事の申請に当たり、土地の境界が正しく示された台帳図面等を用いて土地の境界等を確認しておらず、また、台帳図面等を業者に見せることなく、現場を確認させて工事平面図等を作成させていた。さらに、総領事館内及び本省内の決裁過程においても、台帳図面等と、申請様式に添付されている工事平面図等との照合による土地の境界等の確認が行われていなかった。

そして、当初工事の改修対象となった既存のフェンス等の大部分が土地の境界の外に設置されていたことから、工事平面図等に記載されたフェンス等の大部分が土地の境界の外となっていた。

これらのことから、当初工事で改修したフェンス等の大部分(契約金額相当額1482万余円)が土地の境界の外に設置され、移設等工事を実施する結果となっていた。

そこで、会計事務の手引きなどを確認したところ、在外公館庁舎等の境界塀等の修繕工事を実施する際に、台帳図面等を用いて土地の境界等を確認するとともに、台帳図面等に基づいて工事平面図等を作成させるなどの手順が定められておらず、また、決裁過程において、台帳図面等と工事平面図等との照合により土地の境界等を確認する体制が整備されていなかった。

このように、外務省において、在外公館庁舎等の境界塀等の修繕工事が台帳図面等を踏まえて適切に実施されるように工事の手順を定めておらず、また、これについて確認を行う体制を整備していなかったことなどから、フェンス等が土地の境界の外に設置されていた事態は適切ではなく、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、外務省において、在外公館庁舎等の境界塀等の修繕工事を実施するに当たり、台帳図面等を用いて土地の境界等を確認することなどの必要性についての理解が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

本院の指摘に基づき、外務省は、海外で重要な役割を果たす在外公館の警備対策強化等のために、在外公館庁舎等の境界塀等の修繕工事を実施する際に、境界塀等が土地の境界内に適切に設置されるよう、次のような処置を講じた。

ア 会計事務の手引きなどを改訂して、在外公館において、在外公館庁舎等の境界塀等の修繕工事を実施するに当たり、台帳図面等を用いて土地の境界等を確認すること、台帳図面等に基づいて業者に工事平面図等を作成させることなどを定めた。

イ 在外公館において土地の境界等を確認したことについて記載する欄を申請様式に設けるとともに、申請様式に台帳図面を添付することとするなどして、在外公館内及び本省内における決裁の際に、台帳図面と工事平面図等とを照合して土地の境界等を確認する体制を整備した。

ウ ア及びイの内容について、7年8月に全ての在外公館に対して通知を発して周知した。