7件 不当と認める国庫補助金 48,449,000円
私立学校施設整備費補助金(教育装置、ICT活用推進事業及び防災機能等強化緊急特別推進事業)(以下「補助金」という。)は、私立の大学、短期大学、高等専門学校及び専修学校の教育研究の充実と質的向上を図ることを目的として、学校法人等に対して、教育装置の整備、ICT活用推進事業、防災機能等強化緊急特別推進事業(学校施設耐震改修工事等)等に要する経費の一部を国が補助するものである。
補助金の交付額は、私立学校施設整備費補助金(私立学校教育研究装置等施設整備費(私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費))交付要綱(昭和58年文部大臣裁定)等によれば、教育装置については装置の整備に要する経費、ICT活用推進事業についてはICT装置の整備等に要する経費、防災機能等強化緊急特別推進事業については危険建物の防災機能強化のための非構造部材の耐震対策工事等に要する経費(以下、これらを「補助対象経費」という。)のそれぞれ2分の1以内の額とすることとされている。また、補助対象経費については次の①から⑤までのとおりとされている。
① 教育装置の整備については、私立大学等が行う教育に必要な機械、器具、その他の設備であって、当該設備を設置する建物その他の施設に関し施設工事を必要とする事業を行う場合に必要な経費とされている。
② ICT活用推進事業については、私立大学等が行う教育研究に必要な情報通信ネットワークの構築に要する光ケーブル等敷設工事、ICT装置、施設の改造工事及び既設のICT施設における冷房化工事に必要な経費とされている。ただし、附属病院等に置くものに係る経費やサーバに係る経費は補助の対象とならないこととされている。
③ 防災機能等強化緊急特別推進事業のうち学校施設耐震改修工事については、私立大学等が行う危険建物の防災機能強化のための耐震補強工事及び非構造部材の耐震対策工事に必要な工事費、実施設計費等の経費とされている。ただし、主として学生以外の者の利用に供する病院施設等に係る経費は補助の対象とならないこととされている。また、非構造部材の耐震対策のみを申請する場合、非構造部材である外壁の耐震対策工事については、当該建物の延べ床面積に対する100㎡以上の室の床面積の割合(以下「100㎡以上割合」という。)相当分の外壁の耐震対策に係る経費を補助の対象とすることとされている。そして、補助対象経費の算定に当たっては、外壁の耐震対策工事に係る事業費に100㎡以上割合を乗ずることとなっている。
④ 防災機能等強化緊急特別推進事業のうちバリアフリー化工事については、私立大学等が行う施設のバリアフリー化のための改造工事を行う場合に必要な経費とされている。
⑤ 防災機能等強化緊急特別推進事業のうちアスベスト対策工事については、石綿含有建材のうち、吹き付けられた石綿又は石綿を含む保温材、耐火被覆材若しくは断熱材に係る除去、封じ込め又は囲い込みなどのアスベスト対策のための施設工事等に係る経費とされている。
このほか、補助金の補助対象は交付内定以降に契約するなどして着手する事業であること、事業実施年度内に完了する事業であることなどとされている。
そして、学校法人等は、実績報告書等を文部科学省に提出し、同省は、その内容を審査することとなっている。
本院が、19学校法人において会計実地検査を行うとともに、10学校法人に資料の提出を求めてその内容を確認した上でウェブ会議システムを活用して説明を聴取するなどして検査を行ったところ、7学校法人において、次のような事態が見受けられた。
補助対象は事業実施年度内に完了する事業であることなどとされているのに、事業実施年度の翌年度以降(以下「後年度」という。)に効力が発生するため事業実施年度内に完了しているとは認められない後年度分のライセンス料を補助対象経費に含めるなどしていた。
附属病院等に置くものに係る経費やサーバに係る経費は補助の対象とならないことなどとされているのに、附属病院に置く機器の更改に係る設計費等及びサーバの導入に係る経費を補助対象経費に含めるなどしていた。
(ア) 非構造部材である外壁の耐震対策工事については、100㎡以上割合相当分の外壁の耐震対策に係る経費を補助の対象とすることとされ、外壁の耐震対策工事に係る事業費に100㎡以上割合を乗じて補助対象経費を算定することとなっているのに、①100㎡以上割合を乗じていなかったため、100㎡以上割合相当分の外壁の耐震対策に係る経費以外の補助の対象とならない経費を補助対象経費に含めていた。また、②耐震対策工事を実施しない部分を含む建物全体の外壁面積に100㎡以上割合を乗ずるなどしていたため、100㎡以上割合相当分の外壁の耐震対策に係る経費以外の経費が含まれていて補助対象経費が過大となっていた。
(イ) 実施設計費の実際の支払額が概算額より低額となっていたのに、誤って概算額に基づき補助対象経費を算定していたため、補助対象経費が過大となっていた。
補助対象は補助金の交付内定以降に着手する事業であることとされているのに、交付内定以降の事実と異なる日付を記載した請書の写しを実績報告書に添付して提出し、実際には交付内定前に着手していた事業を補助の対象としていた。
補助の対象とならない石綿含有建材の封じ込め工事を補助の対象としていた。
これらの結果、補助金計48,449,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、1学校法人において補助事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、1学校法人において補助対象経費についての確認が十分でなかったこと、5学校法人において補助対象経費についての理解が十分でなかったこと、同省において実績報告書等に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例1(ウ(ア)①の事態)>
学校法人埼玉医科大学は、令和元年度に防災機能等強化緊急特別推進事業のうち学校施設耐震改修工事として「埼玉医科大学本部棟外壁脱落防止整備事業」を実施しており、危険建物の防災機能強化のための非構造部材の耐震対策工事に要する経費を対象として、補助対象経費を43,310,832円(補助金21,655,000円)と算定していた。
しかし、補助対象経費の算定に当たっては、100㎡以上割合相当分の外壁の耐震対策に係る経費を補助の対象とすることとされているのに、同法人は、事業費に100㎡以上割合である16.30%を乗ずることなく、当該建物の延べ床面積のうち病院施設等を除いた床面積の割合である59.07%を乗じていた。このため、補助対象経費には100㎡以上割合相当分の外壁の耐震対策に係る経費以外の補助の対象とならない経費31,359,477円が含まれていた。
したがって、上記の31,359,477円を除外して適正な補助対象経費を算定すると11,951,355円(補助金5,975,000円)となり、補助金15,680,000円が過大に交付されていた。
<事例2(エの事態)>
学校法人立教学院は、令和5年度に防災機能等強化緊急特別推進事業のうちバリアフリー化工事である「4号館1階自動扉設置工事」について、5年6月1日に補助金の交付内定を受けていた。
その後、同法人は、同年7月3日に工事請負契約を締結し事業費3,960,000円(補助対象経費同額)で実施したとして、補助金1,980,000円の交付を受けていた。
しかし、同法人は、実際には交付内定前の同年4月19日に工事請負契約を締結しており、交付内定以降の事実と異なる日付を記載した請書の写しを実績報告書に添付して文部科学省に提出していた。
したがって、本件事業は補助の対象とならず、補助金1,980,000円は交付の必要がなかった。
以上を事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 |
補助事業者 等 (事業主体) |
補助事業 |
年度 |
補助対象経費 |
左に対する 国庫補助金 交付額 |
不当と認める補助対象経費 |
不当と認める国庫補助金 |
摘要 |
|
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
| (66) | 文部科学本省 |
学校法人富澤学園 |
アスベスト対策工事(東北文教大学1号館2号館外壁等改修工事)等 |
4 |
13,775 | 6,887 | 13,775 | 6,887 | 補助の対象とならない石綿含有建材の封じ込め工事を補助の対象としていたもの(オの事態) (東北文教大学、東北文教大学短期大学部) |
| (67) | 同 | 学校法人国際医療福祉大学 |
学校施設耐震改修工事(小田原C外壁修繕工事)等 |
元、3 |
60,993 | 30,496 | 29,420 | 14,711 | 耐震対策工事を実施しない部分を含む建物全体の外壁面積に基づき算定した補助対象経費が過大となっていたもの(ウ(ア)②の事態) (国際医療福祉大学) |
| (68) | 同 | 学校法人埼玉医科大学 |
学校施設耐震改修工事(埼玉医科大学本部棟外壁脱落防止整備事業) |
元 |
43,310 | 21,655 | 31,359 | 15,680 | 100㎡以上割合相当分の外壁の耐震対策に係る経費以外の補助の対象とならない経費を補助対象経費に含めていたもの(ウ(ア)①の事態) (埼玉医科大学) |
| (69) | 同 | 学校法人立教学院 |
バリアフリー化工事(4号館1階自動扉設置工事) |
5 |
3,960 | 1,980 | 3,960 | 1,980 | 補助金の交付内定前に着手していた事業を補助の対象としていたもの(エの事態) (立教大学) |
| (70) | 同 | 学校法人大阪医科薬科大学 |
ICT活用推進事業(全学ネットワーク環境更改事業) |
4 |
50,200 | 25,100 | 9,827 | 4,914 | 補助の対象とならない附属病院に置く機器の更改に係る設計費等を補助対象経費に含めていたもの(イの事態) (大阪医科薬科大学) |
| (71) | 同 | 学校法人純真学園 |
学校施設耐震改修工事(本館6~7階特定天井改修工事)等 |
3 |
181,280 | 90,639 | 2,310 | 1,155 | 実施設計費の概算額に基づき算定した補助対象経費が過大となっていたもの(ウ(イ)の事態) (純真学園大学、純真短期大学) |
| (72) | 同 | 学校法人九州学園 |
教育装置(マルチメディア教育システム)、ICT活用推進事業(マルチメディア情報システム) |
3 |
83,162 | 41,580 | 6,244 | 3,122 | 補助の対象とならない後年度分のライセンス料等を補助対象経費に含めていたもの(ア及びイの事態) (福岡女子短期大学) |
| (66)―(72)の計 | 436,682 | 218,337 | 96,896 | 48,449 | |||||