• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第6 厚生労働省
  • 不当事項
  • 補助金

(2) 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(新型コロナウイルス感染症対策事業及び新型コロナウイルス感染症重点医療機関体制整備事業に係る分)が過大に交付されていたもの[3府県](88)―(91)


4件 不当と認める国庫補助金 352,292,000円

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(新型コロナウイルス感染症対策事業及び新型コロナウイルス感染症重点医療機関体制整備事業に係る分)は、「令和2年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の交付について」(令和2年厚生労働省発医政0430第1号・厚生労働省発健0430第5号。以下「交付要綱」という。)等に基づき、新型コロナウイルス感染症患者(以下「コロナ患者」という。)等の入院病床の確保等について支援を行うことにより、公衆衛生の向上を図ることなどを目的として、国が都道府県に対して交付するものである。

このうち、新型コロナウイルス感染症対策事業は、コロナ患者等の病床確保、宿泊療養及び自宅療養の対応等を行うものとされている。また、新型コロナウイルス感染症重点医療機関体制整備事業(以下「重点医療機関体制整備事業」という。)は、新型コロナウイルス感染症重点医療機関(注1)(以下「重点医療機関」という。)に対して、コロナ患者専用の病床が空床となった場合や、専用病棟化のために休床とした病床がある場合に、空床確保に要する費用を支援するものであり、都道府県及び重点医療機関が実施することとされている(以下、新型コロナウイルス感染症対策事業のうちコロナ患者等の病床確保と重点医療機関体制整備事業を合わせて「病床確保事業」という。)。

病床確保事業の対象となる病床は、補助対象期間において、即応病床(注2)として確保された病床(以下「確保病床」という。)のうち空床となっている病床、及び休止病床(注3)となっている(参照)。

(注1)
新型コロナウイルス感染症重点医療機関  コロナ患者専用の病院や病棟を設定する医療機関として都道府県が指定する医療機関
(注2)
即応病床  コロナ患者等を受け入れる医療機関において、コロナ患者の発生、又はこれを受けた都道府県からの受入要請があれば、即時にコロナ患者の受入れを行うことについて都道府県との間で調整している病床
(注3)
休止病床  コロナ患者等を受け入れる医療機関において、看護職員等をコロナ患者等が収容される病棟に配置換えするために当該看護職員等が従来配置されていた病棟を閉鎖することや、感染予防の見地から多床室に収容するコロナ患者等を1名のみとして多床室の残りの病床を空床とすることなどのために、休床とする既存の病床

図 病床確保事業の対象となる病床

図 病床確保事業の対象となる病床画像

交付要綱等によれば、この交付金の交付の対象は、都道府県が行う事業及び市区町村や民間団体等で都道府県が適切と認める者が行う事業に対して都道府県が補助する事業に要する経費とされている。このうち、都道府県が補助する事業に係る交付金の交付額は、対象事業ごとに次のとおり算定することとされている。

① 所定の基準額と対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額を選定する。

② ①により選定された額と総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額に交付金の交付率(10分の10)を乗じて得た額と、都道府県が補助した額とを比較して少ない方の額を交付額とする。

そして、病床確保事業に係る①の基準額は、次のように算定することとされている。

確保病床については、確保病床分として定められた1日1床当たりの病床確保料の上限額に、コロナ患者等を受け入れるために空床としていた延べ病床数(以下「延べ空床数」という。)を乗ずるなどして算定する。

休止病床については、休止病床分として定められた1日1床当たりの病床確保料の上限額に、コロナ患者等を受け入れるために休止病床としていた延べ病床数(以下「延べ休止病床数」という。)を乗ずるなどして算定する。

また、患者の入院期間中であって空床でない日は診療報酬の支払対象となっており、交付要綱等において、病床確保料の対象とならないこととなっている。

そして、都道府県は、事業主体から提出された事業実績報告書等を審査した上で、交付金を原資とする補助金を事業主体に対して交付することとなっている。

本院が、3府県(注4)及び4事業主体において会計実地検査を行ったところ、次のア及びイの事態が見受けられた。

ア 3府県の3事業主体において、コロナ患者等の入院期間中であって空床でなかった日に係る病床数を延べ空床数や延べ休止病床数に含めていた。

イ 2県の2事業主体(注5)において、確保病床以外で空床となっている病床を延べ空床数に含めるなどしていた。

このため、交付金計352,292,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、4事業主体において延べ空床数や延べ休止病床数の確認が十分でなかったこと、3府県において事業実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

(注4)
3府県  大阪府、神奈川、山口両県
(注5)
イの2事業主体のうち1事業主体は、アの1事業主体と重複している。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

神奈川県小田原市は、令和2年度に、小田原市立病院の重点医療機関体制整備事業に係る病床確保料として、神奈川県から交付金を原資とする補助金(以下「県補助金」という。)3,375,402,000円(交付金交付額同額)の交付を受けていた。

しかし、同病院は、2年8月から、それまでの確保病床に替えて臨時に設置したコロナ患者専用の病棟にある病床を確保病床としてコロナ患者を受け入れることにしており、それまでの確保病床は確保病床ではなくなったのに、同月以降も、確保病床ではなくなった病床のうち空床となっている病床を延べ空床数に含めるなどしていた。

したがって、これら病床確保料の対象とはならない延べ2,683床を延べ空床数から除外するなどして、適正な県補助金の交付額を算定すると3,071,225,000円となり、県補助金の交付額3,375,402,000円との差額304,177,000円が過大となっていて、これに係る交付金304,177,000円が過大に交付されていた。

以上を部局等別・事業主体別に示すと、次のとおりである。

 
部局等
補助事業者等
間接補助事業者等
(事業主体)
年度
交付金交付額
不当と認める交付金交付額
注(1)
摘要
         
千円
千円
 
(88)
神奈川県
神奈川県
医療法人社団鵬友会
(湘南泉病院)注(2)
2~4
2,460,047
7,779
(89)
小田原市
(小田原市立病院)
2
3,375,402
304,177
(90)
大阪府
大阪府
独立行政法人労働者健康安全機構大阪労災病院
3
623,569
18,860
(91)
山口県
山口県
医療法人岩国みなみ病院
2
161,304
21,476
ア、イ
(88)―(91)の計
6,620,322
352,292
 
  • 注(1) 摘要欄のア及びイは、前記の事態に対応している。
  • 注(2) 令和6年4月1日以降は医療法人社団鵬友会ゆめが丘総合病院