• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第6 厚生労働省
  • 不当事項
  • 補助金

(3) 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関設備整備事業に係る分)が過大に交付されていたもの[2府県](92)―(97)


6件 不当と認める国庫補助金 32,222,000円

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関設備整備事業に係る分)は、「令和2年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の交付について」(令和2年厚生労働省発医政0430第1号・厚生労働省発健0430第5号。以下「交付要綱」という。)等により、国の依頼に基づき都道府県が確保した新型コロナウイルス感染症患者等の入院医療を提供する医療機関において、入院患者に対する医療を提供する中で病床及び医療資器材の不足が生じ、迅速かつ適切な医療の提供ができなくならないようにするために、必要な病床及び医療資器材等についてあらかじめ整備し、医療体制の強化を図ることを目的として、国が都道府県に対して交付するものである。

交付要綱等によれば、この交付金の交付の対象は、都道府県が行う事業及び民間団体等で都道府県が適切と認める者が行う事業に対して都道府県が補助する事業に要する経費とされている。このうち、都道府県が補助する事業に係る交付金の交付額は、次のとおり算定することとされている。

① 所定の基準額と対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額を選定する。

② ①により選定された額と総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額に交付金の交付率(10分の10)を乗じて得た額と、都道府県が補助した額とを比較して少ない方の額を交付額とする。

また、本件事業の整備対象設備等は、新設・増設に伴う初度設備を購入するために必要な需要品(消耗品)及び備品購入費、人工呼吸器及び附帯する備品、個人防護具(マスク等)、簡易陰圧装置、簡易ベッド、体外式膜型人工肺及び附帯する備品並びに簡易病室及び附帯する備品とされており、整備対象設備等の種類ごとに補助上限額(人工呼吸器及び附帯する備品については1台当たり5,000,000円等)が定められている。そして、厚生労働省は、人工呼吸器に附帯する備品とは、人工呼吸器を使用するに当たり必要不可欠なものであるとしており、生体情報モニタは、これに該当しないため交付金の交付対象とはならない。

都道府県は、医療機関から提出された事業実績報告書等を審査した上で、交付金を原資とする補助金を医療機関に対して交付することとなっている。

本院が、2府県(注)及び3医療機関において会計実地検査を行うとともに、38医療機関については関係書類の提出を受けるなどして検査したところ、大阪府の5事業主体において、人工呼吸器及び附帯する備品における1台当たりの補助上限額を超えて交付金が算定されていたため、また、山口県において、国の交付金の交付対象とならない設備等に係る整備費用を対象経費の実支出額に含めていたことにより、4医療機関に係る対象経費の実支出額が過大に算定されていたため、交付金計32,222,000円が過大に交付されており、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、山口県及び5事業主体において制度の理解が十分でなかったこと、大阪府において事業実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

(注)
2府県  大阪府、山口県

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例1>

医療法人徳洲会八尾徳洲会総合病院(以下「八尾徳洲会病院」という。)は、令和2年度に、人工呼吸器及び附帯する備品を購入したなどとして、大阪府から交付金を原資とする同府の補助金52,022,000円(交付金交付額同額)の交付を受けていた。

しかし、八尾徳洲会病院は、交付要綱等に基づき、人工呼吸器及び附帯する備品1台ごとに対象経費の実支出額と1台当たりの補助上限額とを比較する方法によるべきであったのに、誤って、購入した10台の対象経費の実支出額計41,884,920円と1台当たりの補助上限額5,000,000円に購入台数10台を乗じた額50,000,000円とを比較する方法によっていた。このため、10台のうち4台(対象経費の実支出額1台当たり6,462,500円、計25,850,000円)については、1台当たりの補助上限額を超えて交付金が交付される結果となっていた。

したがって、人工呼吸器及び附帯する備品1台ごとに対象経費の実支出額と1台当たりの補助上限額とを比較するなどして、適正な交付金の交付額を算定すると46,172,000円となり、前記交付金の交付額52,022,000円との差額5,850,000円が過大に交付されていた。

<事例2>

山口県は、令和2年度から4年度の各年度に、本件事業について、36医療機関に対して、交付金等を原資とする補助金(以下「県補助金」という。)を計1,257,351,000円交付しており、これに係る分として、国から交付金1,245,468,000円の交付を受けていた。同県は、県補助金の交付額の算定に当たっては、人工呼吸器と併せて整備した生体情報モニタも、人工呼吸器に附帯する備品として交付対象になるとしており、4医療機関における県補助金の交付額計54,712,000円(交付金交付額同額)には、生体情報モニタに係る整備費用計16,492,000円が含まれていた。

しかし、生体情報モニタは、人工呼吸器に附帯する備品には該当しないことから、国の交付金の交付対象とはならない。このため、交付金の交付額の算定に当たっては、生体情報モニタの整備費用を対象経費の実支出額から控除する必要があったのに、同県は、上記の生体情報モニタに係る整備費用16,492,000円を控除していなかった。

したがって、交付金の交付対象とならない生体情報モニタの整備費用を対象経費の実支出額から除くなどして、4医療機関に係る適正な交付金の交付額を算定すると38,220,000円となり、前記交付金の交付額54,712,000円との差額16,492,000円が過大に交付されていた。

以上を部局等別・事業主体別に示すと、次のとおりである。

 
部局等
補助事業者等
間接補助事業者等
年度
交付金交付額
不当と認める交付金交付額
摘要
         
千円
千円
 
(92)
大阪府
大阪府
医療法人錦秀会(阪和住吉総合病院)
(事業主体)(注)
3
43,609
1,026
1台当たりの補助上限額を超えて交付金が交付されていたもの
(93)
独立行政法人国立病院機構大阪医療センター
(事業主体)
2
155,636
1,990
(94)
学校法人関西医科大学(関西医科大学総合医療センター)
(事業主体)
2
58,252
1,830
(95)
八尾市(八尾市立病院)
(事業主体)
3
57,282
5,034
(96)
医療法人徳洲会(八尾徳洲会総合病院)
(事業主体)
2
52,022
5,850
(97)
山口県
山口県
(事業主体)
2~4
1,245,468
16,492
交付の対象とならない設備等に係る整備費用を対象経費の実支出額に含めていたもの
(92)―(97)の計
1,612,269
32,222
 

(注) 令和4年6月1日以降は医療法人錦秀会阪和記念病院