• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第6 厚生労働省
  • 不当事項
  • 補助金

(10) 生活困窮者就労準備支援事業費等補助金(介護技能評価試験等実施事業分)が過大に交付されていたもの[厚生労働本省](124)


1件 不当と認める国庫補助金 8,653,332円

生活困窮者就労準備支援事業費等補助金(介護技能評価試験等実施事業分)(以下「補助金」という。)は、在留資格「特定技能」の創設等により、今後増加が見込まれる外国人介護人材の受入環境の整備を推進することを目的として、介護分野における1号特定技能外国人の送り出しを行う外国等において、介護の技能水準を評価するための試験等を実施する介護技能評価試験等実施事業(以下「本件事業」という。)を実施する法人(以下「事業実施法人」という。)に対して、国が事業の実施に必要な経費の一部を補助するものである。

令和元年度生活困窮者就労準備支援事業費等補助金(民間団体実施分)交付要綱(令和元年厚生労働省発社援0516第8号。以下「交付要綱」という。)等によれば、本件事業の対象経費は、事業実施法人が行う事業の実施に必要な経費とされている。また、補助金の交付額は、交付要綱等に定める基準額と対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額と、総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額(ただし、千円未満の端数は切捨て)を国庫補助所要額として算定し、同額を交付することとされている。

事業実施法人は、本件事業に係る収入及び支出について証拠書類を整理し、かつ補助金の額の確定の日の属する年度の終了後5年間保管しておかなければならないなどとされている。そして、本件事業が完了したときは、本件事業に要した経費等を記載した事業実績報告に関係書類を添えて厚生労働大臣に提出することとされており、厚生労働省は、その内容を審査することとなっている。

本件事業の事業実施法人が事業の実施に当たり支払う経費が課税仕入れに該当する場合には、事業実施法人は、当該経費の支払先に対しては消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)額を含む額を支払うことになるが、消費税の確定申告に際して課税仕入れに係る消費税額を仕入税額控除(注)した場合には、本件事業で支払った経費に係る消費税額を実質的に負担していないことになる。このため、交付要綱等によれば、事業実施法人は、補助事業完了後に、消費税の確定申告により補助金に係る仕入控除税額が確定した場合(仕入控除税額が0円の場合を含む。)は、速やかに厚生労働大臣に報告しなければならないとされており、補助金に係る仕入控除税額がある場合には、当該仕入控除税額を国庫に返還しなければならないこととされている。

(注)
仕入税額控除  課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除すること

本院が、厚生労働本省及び事業実施法人であるプロメトリック株式会社(以下「事業主体」という。)において、会計実地検査を行ったところ、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
年度
国庫補助金交付額
不当と認める国庫補助金相当額
        千円 千円
(124)
厚生労働本省
プロメトリック株式会社
元、2
380,456 8,653

事業主体は、事業の実施に必要となる給料、備品購入費、旅費等の経費を事業実績報告に計上し、令和元、2両年度の国庫補助所要額を元年度183,004,000円、2年度197,452,000円、計380,456,000円として、これにより同額の補助金の交付を受けていた。

しかし、元、2両年度の総事業費に含まれていた備品購入費等は、事業主体が証拠書類を適切に整理し、保管しておらず、本件事業に要した経費と確認できなかった。また、事業主体は、事業実施期間外に支出していて本件事業の実施に必要な経費とは認められない旅費等を元、2両年度の総事業費に計上していた。これらのことなどから、国庫補助所要額が元年度1,769,000円、2年度2,273,000円、計4,042,000円過大に算定されていた。

また、事業主体は、元、2両年度の総事業費に、課税仕入れに係る消費税額を含めて算定しており、補助事業完了後の消費税の確定申告により、本件事業の補助金に係る仕入控除税額が確定していたことから、交付要綱等に基づき、当該仕入控除税額を、厚生労働大臣に報告して国庫に返還する必要があったのに、これを行っていなかった。

したがって、事業実績報告に計上された国庫補助所要額から前記の過大算定額を控除して、本件事業の補助金に係る仕入控除税額を算定すると、元年度2,202,689円、2年度2,408,643円、計4,611,332円となり、同額を国庫に返還する必要があると認められた。

以上のことから、補助金が元年度3,971,689円、2年度4,681,643円、計8,653,332円過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、事業主体において本件事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、補助事業における消費税の取扱いについての理解が十分でなかったこと、厚生労働省において事業実績報告の審査、仕入控除税額の報告についての確認及び事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。