• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第6 厚生労働省
  • 不当事項
  • 補助金

(11) 生活扶助費等負担金等が過大に交付されていたもの[11都府県](125)―(137)


13件 不当と認める国庫補助金 97,817,226円

生活扶助費等負担金、医療扶助費等負担金及び介護扶助費等負担金(以下、これらを合わせて「負担金」という。)は、生活保護法(昭和25年法律第144号)等に基づき、都道府県、市(特別区を含む。)又は福祉事務所を設置する町村(以下、これらを合わせて「事業主体」という。)が、生活に困窮する者に対して、最低限度の生活を保障するために、その困窮の程度に応じて必要な保護に要する費用(以下「保護費」という。)等を支弁する場合に、その一部を国が負担するものである。保護は、原則として世帯を単位としてその要否及び程度を定めることとなっている。そして、保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産や能力その他あらゆるものを活用することを要件としており、厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)、国民年金法(昭和34年法律第141号)等の生活保護法以外の他の法律又は制度による保障、援助等を受けることができる者等については極力その利用に努めさせることとなっている。

また、事業主体は、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず保護を受けた者から事業主体の定める額を返還させ、又は不実の申請等により保護を受けるなどした者からその費用の額の全部又は一部を徴収することができることなどとなっている(以下、これらの返還させ、又は徴収する金銭を「返還金等」という。)。

生活扶助等に係る保護費は、原則として保護を受ける世帯(以下「被保護世帯」という。)を単位として、保護を必要とする状態にある者の年齢、世帯構成、所在地域等の別により算定される基準生活費に、健康状態等による個人又は世帯の特別の需要のある者に対する各種加算の額を加えるなどして算定される最低生活費から、当該世帯における就労収入、年金の受給額等を基に収入として認定される額を控除するなどして決定されることとなっている。

負担金のうち保護費に係る交付額は、「生活保護費等の国庫負担について」(平成26年厚生労働省発社援0324第2号)等に基づき、次のとおり算定することとなっている。

  • 負担金の交付額
  • 国庫負担対象事業費
  • ×
  • 国庫負担率(3/4)
  • 国庫負担対象事業費
  • ア 費用の額
  • イ 返還金等の調定額
  • 不納欠損額
(注1)
後述及び参照

この費用の額及び返還金等の調定額は、それぞれ次のとおり算定することとなっている。

 費用の額は、次の①及び②の合計額とする。

① 生活扶助等に係る保護費の額

② 被保護者が医療機関で診察、治療等の診療を受けるなどの場合の費用について、その範囲内で決定された医療扶助及び介護扶助に係る保護費の額

 返還金等の調定額は、事業主体が被保護者等からの返還金等を地方自治法(昭和22年法律第67号)に基づき調定した額とする。

本院が、29都道府県の188事業主体において会計実地検査を行うとともに、2県の3事業主体(注2)から関係書類の提出を受けるなどして検査したところ、11都府県の13事業主体において、生活扶助等に係る保護費の額の算出に当たり、被保護世帯の世帯主等に年金受給権が発生していたにもかかわらず裁定請求手続が行われていなかったことから、当該世帯主等が年金を受給しておらず年金が収入として認定されていなかった事態等が見受けられた。このため、負担金計97,817,226円が過大に交付されていて不当と認められる。

(注2)
2県の3事業主体のうち1県の2事業主体は、会計実地検査を行った29都道府県の188事業主体のうち1県の2事業主体と重複している。

このような事態が生じていたのは、13事業主体において保護費の支給決定に当たり、被保護者の年金受給権に係る調査及び裁定請求手続に係る指導が十分でなかったこと、厚生労働省及び10都府県において適正な生活保護の実施に関する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

福井県敦賀市は、世帯Aの保護を平成27年3月に開始しており、30年3月から令和5年2月までの保護費の支給に当たり、世帯主Bからの届出に基づき収入を認定した上で、保護費の額を決定していた。

しかし、世帯主Bには平成20年8月に確定給付企業年金の老齢給付金、29年8月に国民年金の老齢基礎年金等に係る年金受給権が発生していたにもかかわらず、同市による年金受給権の調査及び裁定請求手続に係る指導が十分でなく、世帯主Bによる裁定請求手続が行われていなかったことから、世帯主Bは年金を受給していなかった。そして、本院の検査を踏まえて、同市が裁定請求手続に係る指導等を行った結果、世帯主Bは計5,231,898円の年金を遡及して受給した。

したがって、同市がこの額を収入として認定していれば、当該収入分の保護費計5,231,898円は支給の必要がなく、同額が過大に支給されており、これに係る負担金計3,923,923円が過大に交付されていた。

以上を部局等別・事業主体別に示すと、次のとおりである。

 
部局等
補助事業者等(事業主体)
年度
国庫負担対象事業費
左に対する国庫負担金交付額
不当と認める国庫負担対象事業費
不当と認める国庫負担金交付額
摘要
        千円 千円 千円 千円  
(125)
岩手県
宮古市
平成29~令和5 39,082 29,311 4,277 3,208 年金受給権の調査が十分でなかったものなど
(126)
宮城県
宮城県
平成29~令和3 20,691 15,518 3,389 2,542 年金受給権の調査が十分でなかったもの
(127)
東京都
板橋区
2~5 20,613 15,459 2,629 1,972 年金受給権の調査が十分でなかったものなど
(128)
福井県
敦賀市
平成29~令和5 17,246 12,935 10,632 7,974 年金受給権の調査が十分でなかったもの
(129)
長野県
長野市
平成29~令和6 77,833 58,375 15,329 11,496 年金受給権の調査が十分でなかったものなど
(130)
静岡県
島田市
元~5 9,040 6,780 7,231 5,423
(131)
愛知県
名古屋市
平成28~令和4 198,863 149,147 35,357 26,518 年金受給権の調査が十分でなかったもの
(132)
豊田市
平成30~令和4 12,406 9,304 5,918 4,438
(133)
滋賀県
大津市
平成29~令和5 77,209 57,906 14,515 10,886 年金受給権の調査が十分でなかったものなど
(134)
草津市
平成29~令和4 21,354 16,016 4,757 3,568
(135)
京都府
宇治市
平成28~令和4 86,740 65,055 13,503 10,127
(136)
熊本県
菊池市
平成30~令和5 25,828 19,371 7,418 5,563 年金受給権の調査が十分でなかったもの
(137)
大分県
別府市
平成29~令和4 26,373 19,780 5,462 4,096 年金受給権の調査が十分でなかったものなど
(125)―(137)の計 633,284 474,963 130,422 97,817