• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第7 農林水産省
  • 不当事項
  • 補助金
  • (3) 工事の設計が適切でなかったもの

護床工の設計が適切でなかったもの[中国四国農政局](170)


(1件 不当と認める国庫補助金 21,640,543円)

 
部局等
補助事業者等
間接補助事業者等
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(170)
中国四国農政局
島根県
鹿足郡津和野町
(事業主体)
農業用施設災害復旧
3、4 23,574
(23,574)
23,267 21,925
(21,925)
21,640

津和野町は、令和3年8月の豪雨により被災した頭首工()の堰体の上流部及び底版部、護床ブロック(以下「ブロック」という。)等を復旧するために、津和野町瀧元地区において、堰本体工、護床工等を実施している。このうち護床工は、堰体の下流側の河床の洗掘を防止するために、1個当たり2.0tのブロック45個を新たに製作して設置するものである。

同町は、本件工事の設計を「農地・農業用施設・海岸等災害復旧事業の復旧工法2014年版」(平成26年9月農林水産省農村振興局防災課監修。以下「復旧工法」という。)等に基づき行うこととしている。そして、本件工事の設計業務を設計コンサルタントに委託し、設計図面、構造計算書等の成果品を検査して受領した上で、これらの成果品に基づき施工することとしていた。

復旧工法等によれば、護床工は、河床の洗掘を防止するために、河床の状況を考慮して必要な箇所に設けること、流水の作用に対して移動や転倒等して不安定な状態とならないことなどとされている。また、護床工としてブロックを設置する場合には、ブロックは流水力に抵抗し、安定している必要があるなどとされている。そして、ブロック1個当たりの必要な重量(以下「必要重量」という。)については、流水の作用に対して移動等しないよう、設計流速並びに水及びブロックの密度を基に、ブロック相互の連結の有無を考慮するなどして算出することになっている。

同町が受領した成果品のうち、構造計算書においては、護床工として設置するブロックの必要重量について、復旧工法等に基づき、ブロックを相互に鉄筋で連結する条件により0.47tと算出し、既設のブロックの重量を参考にするなどして必要重量を満たす2.0tのブロックを用いることとされていた。

しかし、同町が受領した成果品のうち、設計図面においては、ブロックを連結することが示されておらず、構造計算書の算出条件と整合していないのに、同町は、これを看過し、当該設計図面に基づき本件工事を請負人に発注していた。そして、本件工事の実施に当たり、請負人からブロックの連結の要否について問合せを受けたが、その要否を検討することなく、連結は不要と回答していた。このため、本件護床工は、ブロックが相互に連結されないまま、構造計算書の算出条件とは異なる条件で河床に設置されていた(参考図1参照)。

そこで、本件護床工のブロックの必要重量について、復旧工法等に基づき、ブロックを連結しない条件により改めて算出したところ、その必要重量は30.14tとなり、本件工事で設置したブロック2.0tは必要重量を満たしていなかった。このため、本件護床工は、設置したブロックが流水の作用により移動等し、河床が露出して洗掘されるおそれのある構造になっていた。現に、本件工事のしゅん工から1年10か月が経過した6年5月の会計実地検査時点で、本件工事で設置したブロックの多くが流水の作用により移動し、堰体下流部の河床が露出して洗掘されている状況となっていた(参考図2参照)。

したがって、本件護床工は、設計が適切でなかったため、ブロックが流水の作用により移動し、河床が露出して洗掘が進行することにより堰体等に損傷が生ずるおそれがあり、本件堰本体工、護床工等(工事費相当額21,925,577円、国庫補助対象事業費同額)は、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額21,640,543円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同町において、護床工の設計に対する理解が十分でなかったことなどによると認められる。

(注)
頭首工  河川から必要な農業用水を用水路に引き入れるための施設で、固定堰、護床工等から構成される。

(参考図1)

頭首工(しゅん工時点)の概念図

参考図1 頭首工(しゅん工時点)の概念図画像

(参考図2)

頭首工(会計実地検査時点)の概念図

参考図2 頭首工(会計実地検査時点)の概念図画像