• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第7 農林水産省
  • 不当事項
  • 補助金
  • (4) 工事の施工が適切でなかったもの

水路工の施工が適切でなかったもの[九州農政局](172)


(1件 不当と認める国庫補助金 9,800,305円)

 
部局等
補助事業者等
間接補助事業者等
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(172)
九州農政局
熊本県
菊池郡菊陽町
(事業主体)
水利施設等保全高度化
4、5 44,449
(39,000)
19,500 19,600
(19,600)
9,800

菊陽町は、菊陽町大字原水地区において、既存の水路が土水路であること、流下能力が低いことなどから、これらを解消するために水路工、プレキャストボックス工等を実施している。このうち水路工は、プレキャスト鉄筋コンクリート製のL型ブロック(以下「L型ブロック」という。)を用いた水路を、延長計64.6m(内空断面の幅2.0m、高さ2.0m)にわたり設置するなどしたものである(参考図参照)。

同町は、水路工等の設計を「土地改良事業計画設計基準及び運用・解説 設計「水路工」」(平成26年3月農林水産省農村振興局整備部設計課監修。以下「基準」という。)等に基づき行っており、基準等によれば、鉄筋コンクリートにおいては、土圧等の外力に対して鉄筋とコンクリートとが一体となって働く必要があることから、鉄筋は、その強度を十分に発揮させるために、鉄筋端部がコンクリートから抜け出さないよう、コンクリート中に確実に定着しなければならないとされている。また、鉄筋の継手を行う場合、鉄筋相互を接合する継手又は鉄筋端部を重ね合わせる継手(以下「重ね継手」という。)によることとされており、重ね継手による場合、鉄筋を重ね合わせる長さは、所定の計算式により算出される長さ以上でなければならないなどとされている。

同町は、水路の設計において、二つのL型ブロックを左右向かい合わせに配置して側壁及び底版の一部とし、その間(幅680mm)を鉄筋で連結した上でコンクリートを打設して、底版の一部(以下「底版コンクリート」という。)とすることとし、底版コンクリートの鉄筋の配筋については、重ね継手によることとしていた。すなわち、左右に設置するL型ブロックの底版には、あらかじめ水路の横断方向に390mm突出するように張出鉄筋(径13mm)が埋め込まれており、これら左右の底版から突出した張出鉄筋に加えて、別の鉄筋(径13mm、長さ680mm。以下「底版鉄筋」という。)を底版コンクリートに配置することとしていた。そして、これらの張出鉄筋及び底版鉄筋を重ね合わせる長さを、基準等に基づき所定の計算式により算出される長さとなる390mmとしていた(参考図の拡大図参照)。

しかし、水路の施工状況を確認したところ、請負人は底版鉄筋を底版コンクリートに配置しておらず、底版コンクリートの鉄筋の配筋は、左右のL型ブロックから突出した張出鉄筋のみを100mm重ね合わせただけの状態となっていた。

このため、水路の底版コンクリートの鉄筋を重ね合わせた長さ(100mm)は、基準等に基づき所定の計算式により算出した390mmに比べて著しく不足しており、鉄筋がコンクリート中に確実に定着していないことから、底版コンクリートは、鉄筋とコンクリートとが一体となって働くことができず、土圧等の外力に対応できない状態となっていた。

したがって、本件水路工(工事費相当額計19,600,612円)は、施工が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっていて、これに係る国庫補助金相当額計9,800,305円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同町において、請負人が設計と相違して施工していたのに、これに対する監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。

参考図

水路工の概念図

参考図 水路工の概念図画像