• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第7 農林水産省
  • 不当事項
  • 補助金
  • (4) 工事の施工が適切でなかったもの

チーズ加工施設の施工が適切でなかったもの[中国四国農政局](173)


(1件 不当と認める国庫補助金 2,196,713円)

 
部局等
補助事業者等
間接補助事業者等
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(173)
中国四国農政局
有限会社赤松牧場
(事業主体)
国産乳製品等競争力強化対策事業費補助金
30 12,012
(10,584)
5,080 5,034
(4,576)
2,196

有限会社赤松牧場(香川県高松市所在。以下「会社」という。)は、新たに良質な牛乳からチーズを製造し収益力を強化するために、製造設備の生産性の向上を通じたコスト縮減や、付加価値の高い加工品の生産を支援することを目的とする国産乳製品等競争力強化対策事業費補助金の交付を受けて、同市において、柱、土台、筋交いなどの部材で骨組みを構成する木造軸組工法により、木造平屋建てのチーズ加工施設の建築等を実施している。

木造建築物は、建築基準法(昭和25年法律第201号)等に基づき、地震や風により生ずる全ての方向の水平力に対して安全であるように、柱と柱との間に筋交いなどを設置した耐力壁を張り間方向(注1)及び桁行方向(注1)に配置し、設計計算上の耐力壁の長さが水平力に対して必要な長さをそれぞれ上回るなど設計計算上安全な構造のものでなければならないこととなっている。そして、設計計算上耐力壁と認められるためには、耐力壁を構成する柱について、水平力により生ずる引抜力に抵抗するために、同法等に基づく告示「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」(平成12年建設省告示第1460号)等に基づき、耐力壁の種類、柱の位置等に応じて、必要な引抜耐力を有する金物等を選定して、梁、土台、基礎コンクリート等と接合する必要がある(参考図参照)。

しかし、会社が本件チーズ加工施設の施工を請け負わせた建設会社(以下「請負人」という。)は、耐力壁を構成する出隅の柱(注2)4本のうち1本について、8.5kNの引抜耐力を有する金物を使用して柱と梁等とを接合する必要があったのに、誤って5.3kNの引抜耐力を有する金物を使用して柱と梁等とを接合していた。

このように、梁等との接合が適切でない柱で構成された壁は設計計算上耐力壁とは認められないことから、改めて有効な設計計算上の耐力壁の長さを算出すると、張り間方向で5.7mとなり、水平力に対して必要な耐力壁の長さ7.36mを大幅に下回っていた。

したがって、本件チーズ加工施設(工事費相当額5,034,438円)は、施工が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額2,196,713円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、請負人が引抜耐力が不足している金物を使用して柱と梁等とを接合していたことにもよるが、会社において建築基準法等に基づいて適切な金物を使用して施工することについての理解が十分でなかったこと、中国四国農政局において会社に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

(注1)
張り間方向・桁行方向  一般的に建物の短辺方向を張り間方向といい、長辺方向を桁行方向という。
(注2)
出隅の柱  建物の外側の隅の柱

参考図

耐力壁の概念図

参考図 耐力壁の概念図画像