(1件 不当と認める国庫補助金 6,900,000円)
|
部局等
|
補助事業者等
|
間接補助事業者等
|
補助事業等
|
年度
|
事業費
国庫補助対象事業費
|
左に対する国庫補助金等交付額
|
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
|
不当と認める国庫補助金等相当額
|
|
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
| (174) |
東北農政局
|
福島県
|
白河市
(事業主体) |
農業水路等長寿命化・防災減災
|
3 | 6,920 (6,900) |
6,900 | 6,920 (6,900) |
6,900 |
白河市は、老朽化が進んだため池について、雨水を貯留させないようにすることにより、堤体の決壊等による下流域の人家等への浸水被害を防止するために、白河市に所在する西三坂山池地区において、隣接する2か所のため池(以下、上流側のため池を「上流側ため池」、下流側のため池を「下流側ため池」という。)の機能を廃止する工事を実施している。
この工事は、上流側ため池に流入する雨水を下流側ため池に流下させるための上流側ため池の堤体の開削、下流側ため池に流入するなどした雨水を既設の水路に排水させるための排水路(内空断面の幅400mm、高さ400mmの鉄筋コンクリート製の開水路、延長174m)の設置等を行うものである(参考図参照)。
ため池廃止工事については、廃止するため池に雨水を貯留させないようにするために、流入する雨水を十分に排水できるよう適切に計画し、設計基準等を適用して設計を行う必要がある。そして、全国的に実施している同種のため池廃止工事では、「土地改良事業計画設計基準及び運用・解説 設計「水路工」」(平成26年3月農林水産省農村振興局整備部設計課監修。以下「基準」という。)等に基づき、新たに設置する水路等により流下させることができる流量(以下「流下能力」という。)が、廃止するため池に流入する雨水の流量として設計上考慮される最大の流量(以下「設計洪水流量」という。)を上回るよう、水路等の断面等の設計が行われている。
同市は、本件工事の計画に当たり、上流側ため池の堤体を開削することにより、上流側ため池に流入する雨水を下流側ため池に流下させることとしていた。
しかし、同市は、上流側ため池の堤体の開削により、下流側ため池に流入する雨水がその分増加することとなる一方で、下流側ため池からの排水は下流側ため池に従来設置されている排水管(直径100mmの塩化ビニール管、延長2.5m)のみを経由して行われることとなるのに、この排水管については、老朽化に伴う更新のみを行うこととしていて、雨水を十分に排水できるよう計画するなどしていなかった。このため、本件工事の実施後において、下流側ため池に雨水が貯留するおそれがある状況となっていた。
そこで、基準等に基づき、排水管の流下能力が設計洪水流量を上回っているかについて確認したところ、排水管の流下能力は0.005m3/sとなっていて、設計洪水流量0.264m3/sを大幅に下回っており、両ため池に流入する雨水を十分に排水することができない状況となっていた。
したがって、本件工事(工事費6,920,100円)は、計画が適切でなかったため、下流側ため池に流入する雨水の十分な排水が行われず、下流側ため池に雨水が貯留して堤体の決壊等により下流域の人家等への浸水被害が生ずるおそれがあり、工事の目的を達しておらず、これに係る交付金交付額6,900,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において、本件工事の計画に当たり、下流側ため池に流入する雨水を十分に排水させて、雨水を貯留させないようにする必要があることについての認識が欠けていたことなどによると認められる。
本件工事の概念図