東京航空局(以下「東京局」という。)は、令和2年4月、3年3月及び4年3月に、京浜急行電鉄株式会社に対して、国有財産法(昭和23年法律第73号)に基づき、東京局が管理しているトンネル(延長計2,159m。以下「本件トンネル」という。)及び本件トンネルに係る土地等の行政財産の使用を許可して、2年度から5年度までの各年度に本件トンネル等を使用させている。
国土交通本省及び東京局は、行政財産で国以外の者に使用させるもの(本件トンネル等を含む。以下「使用許可財産」という。)の使用料について、「国が管理する空港等において国以外の者に土地等を使用させ又は収益させる場合の使用料について」(平成18年財理第4030号財務省理財局長通達)等に基づき、次のように算定することとしている。
① 国土交通本省は、5か年度に1回、不動産鑑定評価基準(平成14年7月国土交通事務次官通知)に準拠して使用許可財産の賃料を算出する鑑定評価(以下「使用料調査」といい、使用料調査により算出する賃料を「調査賃料」という。)を不動産鑑定評価会社等(以下「鑑定会社」という。)に委託して実施する。
② 使用料調査の委託に当たり、東京局は、使用許可財産のうちトンネル等の工作物の取得年月日、前年度末現在の国有財産台帳価格から消費税相当額を控除した額(以下「税抜き台帳価格」という。)等を記載した工作物一覧等(以下「物件資料」という。)を作成し、国土交通本省を通じて鑑定会社に提供する。
③ 鑑定会社は、物件資料に記載された工作物の取得年月日等を基に価格変動率(注1)及び期待利回り(注2)を算出し、これらを税抜き台帳価格に乗ずるなどして調査賃料を算出する。そして、調査賃料等を報告書に記載して国土交通本省に提出する。
④ 東京局は、鑑定会社が国土交通本省に提出した報告書に基づき、調査賃料に消費税相当額を加算するなどして、使用料調査を実施した年度の次年度の使用料を算定する。
⑤ 東京局は、使用料調査を実施しない年度については、調査賃料の変動率を求める調査(以下「変動率調査」という。)を実施して、調査賃料に変動率調査で得られた変動率を乗ずるなどして次年度の使用料を算定する。
国土交通本省は、元年度に、2年度の使用料を算定するための使用料調査を鑑定会社に委託して実施しており、東京局は、本件トンネルの取得年月日を平成16年9月15日、税抜き台帳価格を4,922,576,629円と記載するなどした物件資料を作成し、国土交通本省を通じて鑑定会社に提供している。
そして、鑑定会社は、物件資料に記載された取得年月日等を基に価格変動率を1.22、期待利回りを0.0508とそれぞれ算出し、これらを税抜き台帳価格に乗ずるなどして本件トンネルの調査賃料を220,700,746円と算出している。
東京局は、本件トンネルの調査賃料に本件トンネルに係る土地等の調査賃料を合算した上で消費税相当額を加算するなどして、令和2年度の本件トンネル等の使用料を算定するとともに、3年度から5年度までの使用料については、調査賃料に変動率調査で得られた変動率を乗ずるなどして、2年度から5年度までの本件トンネル等の使用料を計2,284,022,057円と算定している。
本院は、合規性等の観点から、使用料の算定が適切に行われているかなどに着眼して、本件トンネル等の使用料を対象として、東京局において、鑑定会社から提出された報告書、物件資料、国有財産台帳等の関係書類を確認するとともに、国土交通本省において、使用料調査の実施状況を確認するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
東京局は、国土交通本省が元年度に使用料調査を委託して実施するに当たり、本件トンネルの取得年月日を平成16年9月15日と記載するなどした物件資料を作成し、国土交通本省を通じて鑑定会社に提供していた。
しかし、国有財産台帳等により本件トンネルの取得年月日を確認したところ、東京局が物件資料に記載していた16年9月15日は記載誤りであり、正しくは10年3月11日であった。
そこで、本件トンネルについて、国有財産台帳に記載された正しい取得年月日に基づき算出した価格変動率1.18及び期待利回り0.0566を税抜き台帳価格に乗ずるなどして令和2年度の調査賃料を修正計算すると236,097,581円となり、鑑定会社が算出した調査賃料220,700,746円はこれに比べて15,396,835円過小となっていた。
したがって、本件トンネル等の使用料について、正しい取得年月日により算出した調査賃料等に基づいて2年度から5年度までの各年度の使用料を修正計算すると、適正な使用料は計2,359,213,112円となり、東京局が算定した本件トンネル等の使用料2,284,022,057円はこれに比べて75,191,055円低額となっていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、東京局において、本件トンネル等の使用料の算定に当たり、物件資料を作成する際に国有財産台帳等の基礎資料の確認が十分でなかったことなどによると認められる。