• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第9 国土交通省
  • 不当事項
  • 補助金
  • (1) 工事の設計が適切でなかったもの

橋りょうの橋座部の設計が適切でなかったもの[群馬県](197)(198)


(2件 不当と認める国庫補助金 91,182,414円)

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(197)
群馬県
群馬県
社会資本整備総合交付金(広域連携)等
2、3 198,375
(197,868)
91,695 159,483
(159,328)
72,512
(198)
安中市
社会資本整備総合交付金(道路)
2、3 37,619
(37,619)
18,809 37,339
(37,339)
18,669
(197)(198)の計 235,994
(235,487)
110,505 196,823
(196,667)
91,182

群馬県は、安中市東上秋間(ひがしかみあきま)地内において、一般県道恵宝沢原貝戸(えぼざわはらがいと)線のバイパス新設工事の一環として一級河川秋間川の河道を付け替えることに伴い、当該河川に架かる市道秋642号線の外城橋(がじょうはし)を新橋(橋長36.5m、幅員10.0m、1径間)に架け替えるために、下部構造として橋台1基(以下「A1橋台」という。)の築造、上部構造としてプレストレストコンクリート桁(以下「PC桁」という。)の製作、架設等を実施している。

同県及び安中市は、本件工事の実施に当たり、費用負担等に関する協定を締結している。そして、本件工事は、県道のバイパス新設工事の一環として河川の河道を付け替えることに伴って実施するものであることから、協定によれば、同県が同市の管理している外城橋の架け替えを実施し、工事の完了後、新橋は同市に帰属することとされている。また、工事の費用については、同県及び同市が協定に基づき決められた額をそれぞれ負担することとされている。

同県は、本件橋りょうの設計を「道路橋示方書・同解説」(平成24年版。社団法人日本道路協会編。以下「示方書」という。)等に基づき行うこととしている。そして、本件工事の設計業務を設計コンサルタントに委託し、設計図面、設計計算書等の成果品を検査して受領した上で、この成果品に基づき施工することとしていた。

示方書によれば、支承部を設置する橋台等の橋座部は、地震発生時に損傷が生じやすい箇所であるため、支承部から作用する水平力に対して十分な耐力(注1)を有するように設計することとされている。そして、橋座部の耐力は、コンクリートが負担する耐力(以下「コンクリート耐力」という。)に補強鉄筋が負担する耐力(以下「鉄筋耐力」という。)を加えて算定することができることとされている。

また、水平力を受けるためのアンカーバーを設置する場合、コンクリート耐力は、コンクリートの抵抗面(注2)の面積に基づき算定し、鉄筋耐力は、橋座部に橋軸方向に配筋された鉄筋のうちコンクリートの抵抗面にまたがる補強鉄筋の断面積に基づき算定することとされている。そして、アンカーバーを取り付ける位置と補強鉄筋の量について、鉄筋耐力が橋座部の耐力の5割程度以下となるように設定することとされている(注3)

同県は、A1橋台の支承部について、橋台とPC桁との水平方向の変位を拘束する固定支承として、PC桁の配置等を踏まえて、アンカーバー(長さ1.67m、径75mm)9本を橋座部の橋軸直角方向の中心及び両端部付近の3か所に3本ずつ橋座部に垂直に埋め込むとともに、上部構造の重量等の鉛直力を受けるためのゴム製支承4個を橋座部に設置していた(参考図参照)。そして、橋座部の耐力の照査について、アンカーバー3本ごとに作用する橋軸方向の水平力を2,170kNと算定するとともに、コンクリート耐力を605kN、鉄筋耐力を1,738kN、橋座部の耐力を2,434kNとそれぞれ算定し、橋座部の耐力が水平力を上回ることから、所要の安全度が確保されるとして設計し、これにより施工していた。

しかし、示方書によれば、アンカーバーを取り付ける位置と補強鉄筋の量について、鉄筋耐力が橋座部の耐力の5割程度以下となるように設定することとされているのに、鉄筋耐力1,738kNは、コンクリート耐力605kNに鉄筋耐力1,738kNを加えた橋座部の耐力2,343kNの7割超となっていた。なお、橋座部の耐力は2,343kNとなるのに、同県は誤って2,434kNとしていた。

そこで、改めて、コンクリート耐力を605kNとしたまま、鉄筋耐力が橋座部の耐力の5割となるように鉄筋耐力をコンクリート耐力と同じ605kNと設定して算定すると、橋座部の耐力は、コンクリート耐力605kNと鉄筋耐力605kNを合計した1,210kNとなり、水平力2,170kNを大幅に下回っていて、設計計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。

したがって、A1橋台の橋座部は設計が適切でなかったため、A1橋台及びこれに架設されたPC桁等(工事費相当額計196,823,000円)は、地震発生時において所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額計91,182,414円(群馬県に係る交付金相当額計72,512,837円、安中市に係る交付金相当額18,669,577円)が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。

(注1)
耐力  構造物、部材等の外力に対する耐荷力
(注2)
コンクリートの抵抗面  次図のように、アンカーバーの中心から側方及び下方へ45度の広がりを考慮した三つの面

コンクリートの抵抗面の概念図画像

(注3)
示方書によれば、載荷実験において、橋座部の耐力のうち補強鉄筋の負担割合が最大でも5割程度であったことによるとされている。

参考図

橋りょうの概念図

参考図 橋りょうの概念図画像