• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第10 環境省
  • 不当事項
  • 補助金

二酸化炭素排出抑制対策事業費交付金(地域脱炭素移行・再エネ推進交付金)により整備した太陽光発電設備の設計が適切でなかったもの(221)


所管、会計名及び科目
内閣府、文部科学省、経済産業省及び環境省所管
エネルギー対策特別会計(エネルギー需給勘定)
(項)エネルギー需給構造高度化対策費
部局等
中国四国地方環境事務所
交付の根拠
予算補助
交付金事業者
岡山県
間接補助事業者
(事業主体)
岡山ガス株式会社
交付金事業
二酸化炭素排出抑制対策事業費交付金(地域脱炭素移行・再エネ推進交付金)
交付金事業の概要
地域を脱炭素化し、再生可能エネルギー等の導入を推進するため、自家消費型太陽光発電設備を設置等するもの
事業費
58,300,000円(令和5年度)
上記に対する交付対象事業費
50,482,000円
上記に対する交付金交付額
25,241,000円
不当と認める交付対象事業費
29,916,595円
不当と認める交付金相当額
14,958,297円

1 補助金等の概要

環境省所管の補助事業等は、地方公共団体、会社等が事業主体となって実施するもので、同省は、この事業に要する経費について、直接又は間接に事業主体に対して補助金等を交付している。

同省は、二酸化炭素排出抑制対策事業費交付金(地域脱炭素移行・再エネ推進交付金)交付要綱(令和4年環政計発第2203301号)等に基づき、2050年カーボンニュートラルの実現及び2030年温室効果ガス排出削減目標の達成に貢献することを目的として、地域脱炭素ロードマップ(令和3年第3回国・地方脱炭素実現会議決定)等に沿って脱炭素の基盤となる重点対策等の取組を意欲的に行う地方公共団体に対して、二酸化炭素排出抑制対策事業費交付金(地域脱炭素移行・再エネ推進交付金)を交付している。

そして、岡山県は、同交付金を財源として、一定規模以上の自家消費型太陽光発電設備等を県有施設に導入し、当該施設への電力供給を行うなどの事業主体に対し、自家消費型太陽光発電設備導入支援事業補助金(以下「間接補助金」という。)を交付している。

岡山ガス株式会社(以下「会社」という。)は、令和5年度に、間接補助金の交付を受けて、岡山県農林水産総合センター生物科学研究所(以下「研究所」という。)の敷地内で電気を発電し、発電した電気を研究所に供給することを目的として、太陽電池モジュール(注1)528枚を架台等に設置した太陽電池アレイ(注2)11基等で構成される自家消費型太陽光発電設備を設置する事業を事業費58,300,000円(補助対象事業費50,482,000円、間接補助金交付額25,241,000円、交付金相当額同額)で実施している。

会社は、太陽光発電設備の設計を発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令(令和3年経済産業省令第29号)等に基づき行うこととしている。同省令等によれば、太陽電池モジュールを支持する工作物は、地域ごとに想定される積雪荷重等の各種荷重に対し安定であることとされ、これらの荷重は、日本産業規格の「太陽電池アレイ用支持物の設計用荷重算出方法(JIS C 8955:2017)」(以下「荷重基準」という。)に規定する荷重とすることとされている。

(注1)
太陽電池モジュール  太陽の光エネルギーを電気エネルギーへ変換する太陽光発電設備を構成する部材の一つで、パネル状になっている。
(注2)
太陽電池アレイ  太陽電池モジュール及びそれを支持する工作物の総体

2 検査の結果

本院は、合規性等の観点から、太陽光発電設備の設計が適切に行われているかなどに着眼して、本件交付金事業を対象として、同県において、設計図書、応力計算書等の書類及び現地の状況を確認するなどして会計実地検査を行った。

検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

会社は、太陽光発電設備の設計に当たり、当該設備を設置する場所が整地された地面であることを前提として、基礎杭と一体となった長さ160cmの支柱を頂部の位置が設定された高さでそろうようにして地面に打設し、支柱の上部に斜材等で構成される架台を組み立て、架台の上に複数枚の太陽電池モジュールを設置することにより太陽電池アレイ11基を構築(太陽電池アレイ1基当たりの太陽電池モジュールは32枚から52枚、支柱は14本から20本)することとしていた。

その際、会社は、支柱を地面に140cm以上打設し、地面から支柱頂部までの長さ(以下「支柱頂部長」という。)を20cm以下とすれば、荷重基準に基づき算出した研究所が所在する地域の積雪荷重等により支柱に生ずる曲げ応力度(注3)が支柱の許容曲げ応力度(注3)205N/mm2を下回ることから、応力計算上安全であるとし、これにより施工することとしていた(参考図1参照)。

しかし、現地の状況を確認したところ、実際には、研究所の敷地は起伏が大きく整地されていない地面となっていて、現地の状況が設計の前提と異なっているにもかかわらず、支柱は、頂部の位置が一定の高さでそろうように地面に打設されていた。そのため、打設場所の地面の高さによって支柱頂部長は区々となっており、前記の太陽電池アレイ11基に係る支柱208本のうち146本は、支柱頂部長が20cmを上回っていた(参考図2参照)。

そこで、支柱頂部長が20cmを上回っていた146本の支柱について改めて応力計算を行ったところ、9基の太陽電池アレイに係る51本の支柱において、積雪荷重により支柱に生ずる曲げ応力度が最大で446N/mm2となり、許容曲げ応力度205N/mm2を大幅に上回っていて、応力計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。

したがって、太陽電池アレイ11基のうち9基の太陽電池アレイ(これらに係る事業費相当額29,916,595円、交付対象事業費相当額同額)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されておらず、積雪により倒壊するなどして発電することができなくなるおそれがある状態となっていて、これに係る交付金相当額14,958,297円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、会社において太陽光発電設備の設計に当たり設置箇所の地形等の状況の確認を十分行っていなかったこと、同県において会社に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

(注3)
曲げ応力度・許容曲げ応力度  「曲げ応力度」とは、材が曲げられたとき、曲がった内側に生ずる圧縮力又は外側に生ずる引張力の単位面積当たりの大きさをいい、その数値が設計上許される上限を「許容曲げ応力度」という。

(参考図1)

設計時の前提条件(断面図)

参考図1 設計時の前提条件(断面図)画像

(参考図2)

実際の設置状況の例(断面図)

参考図2 実際の設置状況の例(断面図)画像