• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第11 防衛省
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

(1) 使用できない状態となっていたⅠ型ドローンについて、総務大臣等の承認を受けて使用できる状態にするとともに、災害等の対処に使用するドローンの調達に係る仕様書の記載要領等を改正するなどして、総務大臣等の承認を受けるために必要な情報を適時かつ確実に把握するよう改善させたもの


会計名及び科目
一般会計 (組織)防衛本省 (項)武器車両等整備費
部局等
陸上幕僚監部、陸上自衛隊補給統制本部
契約名
UAV(災害用Ⅰ型)GDXS-11
契約の概要
人命救助活動に資する情報収集を行うなどして災害等に対処するために使用されるⅠ型ドローン20式(計40機)を調達するもの
契約の相手方
株式会社ミクニ
契約
令和2年3月 一般競争後の随意契約
契約金額
7480万円
上記のうち使用できない状態となっていたⅠ型ドローンに係る契約金額
7480万円

1 災害用ドローン等の概要

(1) 災害用ドローンの概要

陸上自衛隊は、「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)」(平成30年12月国家安全保障会議及び閣議決定)に基づき、大規模自然災害等への対処態勢を強化するために災害用ドローンを整備している。災害用ドローンは、電波を用いた遠隔操作等により飛行する無人航空機であり、迅速かつ的確な人命救助活動に資する情報収集を行うなどして災害等に対処するために使用されるものである。そして、災害用ドローンのうちUAV災害用Ⅰ型(注1)(以下「Ⅰ型ドローン」という。)は、陸上幕僚監部(以下「陸幕」という。)の要求に基づき、令和2年3月に、防衛装備庁が20式(1式当たりドローン2機、計40機)を調達する契約を株式会社ミクニ(以下「納入業者」という。)と契約金額7480万円で締結し、同年7月及び8月に5補給処(注2)に納入されている。

(注1)
陸上自衛隊が整備している災害用ドローンには、UAV災害用Ⅰ型のほかにUAV災害用Ⅱ型がある。
(注2)
5補給処  陸上自衛隊北海道、東北、関東、関西、九州各補給処

(2) 無線設備に係る総務大臣の承認及び防衛大臣の承認

ア 使用する周波数に係る総務大臣の承認

自衛隊がⅠ型ドローンのような移動体の無線設備(以下「移動局」という。)を使用する場合、防衛大臣は、自衛隊法(昭和29年法律第165号)に基づき、使用する周波数について総務大臣の承認を受けなければならないこととなっている。

イ 移動局の開設等に係る防衛大臣の承認

「自衛隊の電波の監理に関する訓令」(平成18年防衛庁訓令第34号)によれば、幕僚長等は、移動局を開設しようとするときは、移動局の開設について防衛大臣の承認を受けなければならず、防衛大臣の承認を受けなければ移動局の使用を開始してはならないことなどとされている(注3)(以下、この承認と、使用する周波数に係る総務大臣の承認とを合わせて「総務大臣等の承認」という。)。

(注3)
UAV災害用Ⅰ型については、総務大臣及び防衛大臣の承認が必要であるが、UAV災害用Ⅱ型については、電波法(昭和25年法律第131号)等の規定に基づく技術基準に適合するなどのため、これらの承認は不要となっている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、有効性等の観点から、Ⅰ型ドローンは災害等に対処できるものとなっているかなどに着眼して、防衛装備庁が調達したⅠ型ドローン20式を対象として、防衛省内部部局、防衛装備庁、陸幕及び陸上自衛隊補給統制本部(以下「補給統制本部」という。)において、契約書、仕様書等の関係書類を確認するとともに、方面総監部、補給処、各部隊等が所在する11駐屯地(注4)において、Ⅰ型ドローンの使用状況を確認するなどして会計実地検査を行った。

(注4)
11駐屯地  札幌、島松、仙台、霞ヶ浦、宇都宮、大宮、朝霞、宇治、伊丹、目達原、健軍各駐屯地

(検査の結果)

検査したところ、Ⅰ型ドローン20式(40機、契約金額7480万円)は、7年1月の会計実地検査時点で、使用する周波数等について総務大臣等の承認を受けておらず、2年7月及び8月に納入されて以降4年以上にわたって使用できない状態となっていた。

そこで、総務大臣等の承認を受けるための手続の実施状況を確認したところ、次のとおりとなっていた。

(1) 品質保証書による周波数情報の把握

陸幕は、Ⅰ型ドローン20式の調達に当たり、Ⅰ型ドローンが使用する周波数、空中線電力等の情報(以下「周波数情報」という。)が総務大臣等の承認を受けるために必要となることから、仕様書等において、試験成績書又は試験成績書の代用として品質保証書の提出を納入業者に求めていたが、品質保証書にどのような情報が必要かを具体的に仕様書等に記載していなかった。

そのため、納入業者は、2年7月及び8月にⅠ型ドローンを納入するに当たり、製造会社の社内の製品検査及び試験に合格したとする品質保証書を提出したものの、当該品質保証書には、周波数情報が記載されていなかった。

(2) 納入業者からの報告による周波数情報の把握

陸幕は、品質保証書に周波数情報が記載されていなかったことなどから、周波数情報の提供を納入業者に依頼した。これを受けて、納入業者は、周波数の測定を行うなどした上で、3年2月に、使用する可能性がある周波数の上限、中間及び下限の情報を測定結果等として補給統制本部に報告した。

しかし、補給統制本部は、納入業者が報告した上限、中間及び下限の三つの周波数が、Ⅰ型ドローンで使用する可能性がある全ての周波数であると誤って認識し、この認識に基づいて、総務大臣等の承認を受けるための手続が行われていた。そして、使用開始前に、納入業者が報告した三つの周波数以外の周波数をⅠ型ドローンが使用することが判明するなどした結果、Ⅰ型ドローンは使用できない状態となっていた。

このように、Ⅰ型ドローンについて、納入されて以降使用できない状態となっていて、災害等に対処できるものとなっていなかった事態は適切ではなく、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、陸幕及び補給統制本部において、災害等に対処するために使用されるⅠ型ドローン20式の調達に当たり、総務大臣等の承認を受けるために必要な周波数情報を適時かつ確実に把握することの重要性についての理解が十分でなく、仕様書等において、周波数情報が記載された書類が確実に提出されるようにしていなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

本院の指摘に基づき、陸幕は、次のような処置を講じた。

ア Ⅰ型ドローン20式について、周波数情報を把握するなどした上で、7年7月に総務大臣等の承認を受けて使用できる状態にした。

イ 災害等の対処に使用するドローンの調達に当たり、周波数情報を適時かつ確実に把握できるよう、7年7月に、災害等の対処に使用するドローンの調達に係る仕様書の記載要領等を改正し、契約相手方から周波数情報が記載された書類を提出させる時期や周波数情報の内容を具体的に明示して関係部署に対して周知するなどした。