• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第2節 団体別の検査結果
  • 第1 日本私立学校振興・共済事業団
  • 不当事項
  • 補助金

私立大学等経常費補助金の経理が不当と認められるもの[日本私立学校振興・共済事業団](238)(239)


科目
(助成勘定)交付補助金
部局等
日本私立学校振興・共済事業団
補助の根拠
私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)
事業主体
2学校法人
補助の対象
私立大学等における専任教職員の給与等教育又は研究に要する経常的経費
上記に対する事業団の補助金交付額
12,108,112,000円(令和元年度〜5年度)
不当と認める事業団の補助金交付額
14,083,000円(令和元年度〜5年度)

1 補助金の概要

(1) 補助金交付の目的

日本私立学校振興・共済事業団(以下「事業団」という。)は、私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)に基づき、国の補助金を財源として、私立大学等(注)を設置する学校法人に私立大学等経常費補助金(以下「補助金」という。)を交付している。補助金は、私立大学等の教育条件の維持及び向上並びに学生の修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立大学等の経営の健全性を高め、もって私立大学等の健全な発達に資することを目的として、私立大学等における専任教職員の給与等教育又は研究に要する経常的経費に充てるために交付されるものである。

(注)
私立大学等  私立の大学、短期大学及び高等専門学校

(2) 補助金の額の算定

事業団は、私立大学等経常費補助金交付要綱(昭和52年文部大臣裁定)等に基づき、補助金の額を算定する資料(以下「算定資料」という。)として、各学校法人に補助金交付申請書とともに次の資料等を提出させている。

ア 申請年度の5月1日現在の専任教員等の数、専任職員数及び学生数に関する資料

イ 学校法人会計基準(昭和46年文部省令第18号)に基づき作成した前年度決算の学生納付金収入、教育研究経費支出、設備関係支出等に関する資料

そして、事業団は、算定資料に基づき、私立大学等経常費補助金配分基準(平成10年日本私立学校振興・共済事業団理事長裁定)等に定める方法により、補助金の額を算定している。

(3) 一般補助

事業団は、次のアからウまでの方法により、私立大学等における経常的経費に対する一般補助の額を算定することとなっている。

ア 経常的経費を専任教員等給与費、専任職員給与費、教育研究経常費等の経費に区分して、経費区分ごとに専任教員等の数、専任職員数、学生数、教育研究補助者の数等に所定の補助単価を乗ずるなどして補助金の基準額を算定する。

イ 各私立大学等の教育研究条件の整備状況等を勘案して、補助金の重点的な配分を行うために、収容定員に対する在籍学生数の割合、学生納付金収入に対する教育研究経費支出と設備関係支出との合計額の割合等に基づいて増減率を算定する。

ウ アで算定した経費区分ごとの基準額に、イで算定した増減率を乗ずるなどの方法により得られた金額を合計して、一般補助の額とする。

そして、アのうち教育研究補助者の数については、補助金の算定の対象となる要件(以下「補助要件」という。)として、ポスト・ドクター等の区分ごとに、職務内容、資格等に係る基準が定められている。また、これらの教育研究補助者に共通する補助要件として、私立大学等との間に雇用契約があり、その賃金を「職員人件費(兼務職員)」で会計処理していることが必要とされている。

(4) 特別補助

上記のほか、私立大学における学術の振興及び私立大学等における特定の分野、課程等に係る教育の振興のために特に必要があると認められるときは、補助金を増額して交付すること(以下「特別補助」という。)ができることとなっている。

特別補助の対象となる項目の一つとして、「大学間連携等による共同研究」がある。これは、特定の研究課題について産業界等又は国内外の大学等と組織的な共同研究環境を整備し、1研究課題当たりの所要経費が大学にあっては100万円以上、短期大学及び高等専門学校にあっては60万円以上の共同研究を実施している私立大学等に対して、当該共同研究に係る所要経費の金額区分に応じて定められた額の増額を行うものである。そして、事業団が定めた所要経費に関する調査票の記入要領等によれば、「大学間連携等による共同研究」の算定の対象となる経費は、当該共同研究の遂行等に直接必要な教育研究経費支出、人件費支出(兼務職員給)及び設備関係支出であり、管理経費支出は含まないこととされている。

2 検査の結果

本院は、合規性等の観点から、一般補助における教育研究補助者等の数は適切に算定されているか、特別補助の算定の対象となる経費は適切に算定されているかなどに着眼して、事業団が令和元年度から5年度までに補助金を交付している658学校法人のうち19学校法人において、算定資料等の書類により会計実地検査を行った。

検査したところ、2学校法人は、事業団に提出した算定資料において、それぞれ、一般補助について賃金を「職員人件費(兼務職員)」で会計処理しておらず教育研究補助者の補助要件を満たしていないポスト・ドクターを算定の対象に含め、又は特別補助のうちの「大学間連携等による共同研究」について管理経費支出を所要経費に含めていたのに、事業団は、これらの誤った算定資料に基づいて補助金の額を算定していた。このため、補助金計14,083,000円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、2学校法人において補助金の制度を十分に理解していなかったこと、事業団においてこれらの学校法人に対する指導及び調査が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

学校法人立教学院は、一般補助において、事業団に提出した算定資料に、立教大学における令和元年度から5年度までに係る算定の対象とした教育研究補助者のうちポスト・ドクターの人数を元年度7人、2年度7人、3年度6人、4年度7人、5年度10人と計上していた。

しかし、上記ポスト・ドクターのうち、元年度2人、2年度2人、3年度2人、4年度2人、5年度1人については、独立行政法人日本学術振興会が同大学の研究者に対して交付した科学研究費補助金により人件費が賄われていて、同学校法人が賃金を「職員人件費(兼務職員)」で会計処理していないことから、補助要件を満たしていなかった。

したがって、算定の対象とならない教育研究補助者を除外して算定すると、同学校法人に対する適正な補助金の額は、元年度2,113,349,000円、2年度2,137,247,000円、3年度2,354,710,000円、4年度2,114,372,000円、5年度2,303,028,000円、計11,022,706,000円となり、元年度1,696,000円、2年度1,716,000円、3年度1,925,000円、4年度1,087,000円、5年度836,000円、計7,260,000円が過大に交付されていた。

以上を事業主体別に示すと次のとおりである。

 
事業主体
(本部所在地)
年度
補助金交付額
不当と認める補助金額
摘要
      千円 千円  
(238)
学校法人朴沢学園
(仙台市)
3
332,218 4,000
特別補助において算定の対象とならない経費が含まれていたもの
(仙台大学)
 
4
364,211 2,027
 
5
381,717 796
 
小計
1,078,146 6,823
(239)
学校法人立教学院
(東京都豊島区)
2,115,045 1,696
一般補助において算定の対象とならない教育研究補助者が含まれていたもの
(立教大学)
 
2
2,138,963 1,716
 
3
2,356,635 1,925
 
4
2,115,459 1,087
 
5
2,303,864 836
 
小計
11,029,966 7,260
(238)(239)の計 12,108,112 14,083