• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第2節 団体別の検査結果
  • 第6 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
  • 不当事項
  • 物件

動的核偏極装置の管理が適切に行われておらず、一度も使用されないままとなっていて、所期の目的を達していなかったもの[国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構](241)


科目
機械装置
部局等
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
契約名
前臨床用大口径7テスラ・高速高感度MRI装置の開発および導入
契約の概要
MRI装置の更新及び動的核偏極装置等の整備を実施するもの
契約の相手方
ブルカージャパン株式会社
契約
平成30年6月 一般競争契約
支払
令和2年3月
支払額
609,027,660円(令和元年度)
所期の目的を達していなかった動的核偏極装置に係る支払額相当額
24,226,281円(令和元年度)

1 契約等の概要

(1) 契約の概要

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(以下「機構」という。)は、平成30年6月に、「前臨床用大口径7テスラ・高速高感度MRI装置の開発および導入」について、ブルカージャパン株式会社に履行期限を31年3月として契約額624,456,000円で請け負わせて実施している。そして、機構は、履行期限後の令和2年2月に検収を行った上で、同年3月に遅滞料15,428,340円を相殺して609,027,660円を支払っている。

本件契約は、放射線医学総合研究所(3年4月以降は量子医科学研究所)において、既存のMRI装置の老朽化に伴う事故や装置停止等による研究活動に対するリスクに対応するとともにMRI装置の高感度化等を実現して同装置を使用した高度化研究を実施するために、MRI装置の更新や同装置の感度を向上させる造影剤を作成する装置(以下「動的核偏極装置」という。)等の整備を実施するものである。

(2) 財産管理に係る規程等の概要

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構会計規程(28(規程)第3号。以下「規程」という。)によれば、機構は、その財産について、常に良好な状態において管理し、所有の目的に応じて、最も効率的に運用することとされている。

また、機構における固定資産の管理及び手続について定めた固定資産管理細則(28(細則)第61号)によれば、資産供用課長は、自己の供用する固定資産を不用とする場合は、資産管理主管課長に不用決定の要求を行うこととされている。

そして、同細則等によれば、資産管理主管課長は、資産供用課長に命じて、1会計年度につき1回、固定資産が事業の用に供されていることなどを確認すること(以下、この確認を「固定資産の確認」という。)、資産供用課長は、固定資産の確認の結果を資産管理主管課長に報告すること、固定資産が事業の用に供されていない場合は転用照会又は処分の手続を行うこととされている。

2 検査の結果

本院は、合規性、有効性等の観点から、本件契約により整備された装置が規程等に基づき適切に管理されているか、有効に使用されているかなどに着眼して、本件契約を対象として、機構本部において、契約書、仕様書等の関係書類及び装置の管理や使用の状況を確認するなどして会計実地検査を行った。

検査したところ、動的核偏極装置について、次のような事態が見受けられた。

MRI装置を管理する放射線医学総合研究所の機能分子計測グループは、元年10月に、既存のMRI装置の撤去作業を行った。その際、既存のMRI装置からヘリウムガスを排出するための排気弁が閉塞していたため、配管の一部が破裂してヘリウムガスが噴出し、撤去作業に立ち会っていた機構職員が負傷するなどの事故が発生した。

機構によると、本件契約により整備する動的核偏極装置は、液体ヘリウムを注入して使用する装置であるため、同グループは、同種事故の再発防止のために必要な対策を検討しようとしたものの、動的核偏極装置の目視及び操作マニュアル等の確認にとどまり、対策の検討まで至らなかったとのことであった。そして、2年12月には、同グループが属する量子医学・医療部門において、動的核偏極装置を一度も使用しないまま今後も使用しないことを決定し、その後、動的核偏極装置を使用せずにMRI装置を使用した研究を実施していた。

また、同部門では、この決定に当たり固定資産管理細則に基づく不用決定の要求を行っておらず、固定資産の確認においても、動的核偏極装置は本件契約により更新したMRI装置と一体として事業の用に供している旨を報告していた。その結果、動的核偏極装置が使用されていない状況が、資産管理主管課長である財務部財務課長等に報告されていなかった。

したがって、動的核偏極装置は、規程等に基づく管理が適切に行われておらず、一度も使用されないままとなっていて、MRI装置を使用した高度化研究を実施するという所期の目的を達しておらず、これに係る支払額相当額24,226,281円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、機構において、整備した装置を所期の目的に従って適切に使用すること及び規程等に基づき適切に管理することについての認識が著しく欠けていたこと、これらについての職員に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。