• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第2節 団体別の検査結果
  • 第9 独立行政法人国際協力機構
  • 不当事項
  • 物件

長期派遣前訓練の参加者等に貸与するタブレット端末の調達数量の算定に当たり、訓練の参加者数に関する削減方針等を考慮して適切な調達数量となるよう見直しを行っていなかったため、調達数量が過大となっていたもの[独立行政法人国際協力機構青年海外協力隊事務局二本松青年海外協力隊訓練所](244)


科目
(一般勘定)(項)国内連携事業関係費
部局等
独立行政法人国際協力機構青年海外協力隊事務局二本松青年海外協力隊訓練所
契約名
JICA二本松訓練用タブレット端末の調達業務
契約の概要
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う長期派遣前訓練期間中の非集合型の講座に活用するなどのためにタブレット端末を調達するもの
契約の相手方
株式会社日立システムズ
契約
令和3年1月 一般競争契約
調達数量及び支払額
250台 31,061,800円(令和2年度)
過大となっていた調達数量及び支払額相当額
124台 13,677,100円

1 JICA海外協力隊の長期派遣前訓練の概要等

(1) JICA海外協力隊の長期派遣前訓練の概要

独立行政法人国際協力機構(以下「機構」という。)は、独立行政法人国際協力機構法(平成14年法律第136号)に基づき、開発途上地域の経済等の開発等への協力活動を志望する個人の募集(以下「JICA海外協力隊の募集」という。)、選考、訓練等の業務を行っている。そして、機構は、これらの業務を実施するために、独立行政法人国際協力機構組織規程(平成16年規程(総)第4号)に基づき、青年海外協力隊事務局(以下「事務局」という。)、その附置機関である二本松青年海外協力隊訓練所(以下「二本松訓練所」という。)等を設置している。

事務局が毎年度策定しているJICA海外協力隊派遣前訓練基本方針(以下「基本方針」という。)によれば、派遣期間が1年以上の長期派遣者を対象とする派遣前訓練(以下「長期派遣前訓練」という。)は、二本松訓練所等での集団合宿により毎年度に3回程度、各回70日程度実施することとされている。そして、長期派遣前訓練の参加者は、毎年春及び秋のJICA海外協力隊の募集に応じて選考に合格した者であり、長期派遣前訓練開始の約3か月前におおよその参加者数が判明する。

また、令和2年6月に策定された2年度の基本方針によると、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえ、長期派遣前訓練については、2年度中の実施見込みが立たないため、3年4月以降に延期することとなっていた。

(2) タブレット端末の調達の概要

二本松訓練所は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、長期派遣前訓練期間中に非集合型の講座に活用するなどのためにタブレット端末250台を調達することとし、2年5月に、会計細則(平成18年細則(経)第5号)等に基づき、タブレット端末の調達に係る支出予算の執行計画を事務局に提出している。250台の内訳は、長期派遣前訓練の参加者1人当たり1台を貸与するための二本松訓練所の収容定員に相当する204台と、スタッフ、講師又は予備のための46台になっている。

そして、二本松訓練所は、同年12月に、タブレット端末250台を調達する旨の決裁を二本松訓練所内において行い、3年1月に、株式会社日立システムズとの間で、「JICA二本松訓練用タブレット端末の調達業務」に係る契約を契約額31,061,800円で締結し、同年3月にタブレット端末250台の納品を受けている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

本院は、経済性等の観点から、タブレット端末の調達数量は適切に算定されているかなどに着眼して、本件契約の支払額31,061,800円を対象として、二本松訓練所等において、契約書、仕様書等の関係書類を確認するなどして会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

ア 長期派遣前訓練の参加者数の見通し

二本松訓練所における長期派遣前訓練については、2年6月に策定された2年度の基本方針によると、2年度中の実施見込みが立たないため、3年4月以降に延期することとなっていた。

その後、2年11月に事務局が策定した「2020年11月合格者向け説明事項」において、3年度の長期派遣前訓練における1回当たりの参加者数については、150人程度を70人から80人程度とする削減方針が示され、二本松訓練所は、タブレット端末の調達に係る決裁を行った2年12月より前に、この削減方針を把握していた。

また、当時はJICA海外協力隊の募集等が中止されていたことなどから、この時点で長期派遣前訓練の参加者数が増加するとの見通しは立てにくいものとなっていた。

二本松訓練所は、このような状況になっていたにもかかわらず、長期派遣前訓練の参加者に貸与するタブレット端末の調達数量について、二本松訓練所の収容定員に相当する204台のままとしていて、見直しを行っていなかった。

イ タブレット端末の貸与の状況

長期派遣前訓練の参加者に貸与するものとして調達した204台に係る実際の貸与台数は、3年度については最大で58台と低調となっており、4年4月から6年11月の会計実地検査時点までの間についてみても、最大で80台にとどまっていた。

ウ タブレット端末の調達に要した期間等

長期派遣前訓練の参加者数は、訓練開始の約3か月前に判明するが、タブレット端末の調達に要した期間等については、2年12月末にタブレット端末の調達に係る決裁を行ってから3年3月の納品までの約3か月となっており、訓練開始に間に合うようソフトウェアのインストール等も完了された状態で納品されるなどしていた。

これらのことから、タブレット端末の調達後、仮に長期派遣前訓練における1回当たりの参加者数が増加して80人を上回る者に貸与する必要が生じたとしても、参加者数が判明した時点で追加して調達すれば訓練開始に間に合うため、長期派遣前訓練の参加者に貸与するタブレット端末の3年1月時点での調達数量は80台で足りたと認められる。

したがって、本件契約で調達したタブレット端末250台のうち長期派遣前訓練の参加者に貸与する204台と80台との差である124台が過大に調達されており、これに係る支払額相当額13,677,100円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、二本松訓練所において、タブレット端末の調達数量の算定に当たり、長期派遣前訓練の参加者数に関する削減方針等を考慮して適切な調達数量となるよう見直すことの必要性についての認識が欠けていたことなどによると認められる。