• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第2節 団体別の検査結果
  • 第14 独立行政法人中小企業基盤整備機構本部
  • 不当事項
  • 補助金

(1) ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金が過大に交付されていたなどのもの[独立行政法人中小企業基盤整備機構本部](247)―(251)


5件 不当と認める機構の補助金 37,382,667円

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下「ものづくり補助金」という。)は、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等の事業を実施する中小企業・小規模事業者等に対して、事業に要する経費の一部について、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「機構」という。)の補助金の交付を受けた全国中小企業団体中央会(以下「中央会」という。)が補助するものである。中央会は、事業主体が中央会からものづくり補助金の交付を受けて実施する事業(以下「ものづくり補助事業」という。)に係る確定検査等の事務を各都道府県の中小企業団体中央会(以下「受託事業者」という。)に委託している。

中央会が制定した「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金交付規程」(令和2年3月制定)等において、ものづくり補助事業は、事業の主たる課題の解決そのものを他社へ外注又は委託する事業に該当しない事業であることなどが要件となっている。また、補助対象事業費は、ものづくり補助事業の対象として明確に区分できる経費であること、交付決定日以降に発注を行い、ものづくり補助事業の実施期間内に納品、検収、支払等を完了したものに限ることなどとなっている。

そして、ものづくり補助事業により取得し、又は効用の増加した財産のうち、取得価格等が単価50万円(税抜き)以上の機械、器具及びその他の財産は、処分(補助金の交付の目的に反する使用、譲渡、交換、貸付、担保に供する処分、廃棄等をいう。以下同じ。)を制限する財産(以下「処分制限財産」という。)となっており、事業主体が、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)等を準用した期間(以下「処分制限期間」という。)内において処分制限財産を処分しようとするときは、あらかじめ中央会の承認を受けなければならないこととなっている。また、事業主体が処分制限期間内に処分制限財産を処分した場合、中央会は、当該処分制限財産の残存簿価相当額に補助率を乗ずるなどした額を納付させることなどとなっている。

本院が、中央会及び155事業主体において、172事業のものづくり補助事業を対象に会計実地検査を行ったところ、5事業主体が実施した5事業において、次のアからウまでの事態が見受けられた。

ア 納品を受けていないのに納品を受けたとするとともに、実際に要した額を超える事業費を記載するなどした虚偽の実績報告書等を提出するなどしていて、ものづくり補助金が過大に交付されていた事態(2事業主体、2事業、ものづくり補助金交付額計17,661,110円(機構の補助金相当額同額))

イ 導入した機械装置を専ら他社に使用させて事業計画書に記載されている事業を自ら実施しておらず、補助の対象とならない事態(1事業主体、1事業、ものづくり補助金交付額10,000,000円(機構の補助金相当額同額))

ウ 処分制限財産が無断で、補助金の交付の目的に反して使用され、また、廃棄されるなどしていた事態(2事業主体、2事業、ものづくり補助金交付額計9,721,557円(機構の補助金相当額同額))

これらのため、ものづくり補助金計37,382,667円(機構の補助金相当額同額)が過大に交付されるなどしていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、ア及びイの計3事業主体において補助事業の適正な執行に対する認識が著しく欠けていたこと、ウの2事業主体において処分制限財産の処分に係る手続を適正に行う必要があることについての理解が十分でなかったこと、受託事業者における5事業主体に対する指導等が十分でなかったのに、中央会において受託事業者に対する指導及び監督が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例1(アの事態)>

株式会社DG TAKANO(以下「DG TAKANO社」という。)は、令和6年9月に、洗剤を使用せず少水量で汚れを落とせる食器を多様な素材で開発するものづくり補助事業を事業費23,265,000円(補助対象事業費21,070,000円)で実施したとする実績報告書等を提出して、ものづくり補助金14,046,666円(機構の補助金相当額同額)の交付を受けていた。

DG TAKANO社は、実績報告書等において、同年2月に、A社から金属製品用金型、陶磁器用石こう型及びガラス製品用金型の納品を受けて、購入費として計12,100,000円を支払ったとするとともに、同年5月に、B社から釉薬(ゆうやく)の納品を受けて外注費として2,750,000円を支払ったとしていた。

しかし、DG TAKANO社が納品を受けたとしていた金属製品用金型(補助対象事業費5,000,000円)については、材料費の高騰等により食器の製品化後の採算が見込めないため、実際には製作されておらず納品を受けていなかった。

また、陶磁器用石こう型等(補助対象事業費計8,500,000円)については、見積り段階で合意していた種類よりも少ない種類の石こう型等(同計733,334円)しか製作されていなかったことなどから、実際にものづくり補助事業に要した経費は前記の支払額よりも少額になっているなどしていた。

したがって、納品を受けていないなどしていた金属製品用金型等に係る経費を補助対象事業費から控除して適正な補助対象事業費を算定すると8,303,334円となり、補助対象事業費21,070,000円との差額12,766,666円が過大となっていて、これに係る機構の補助金相当額計8,511,110円が過大に交付されていた。

<事例2(イの事態)>

株式会社トモミ商会(以下「トモミ商会社」という。)は、交付申請に当たり、精肉パックの包装過程において鮮度保持ガスを封入するトレーシーラーを購入し、これを用いてC社が加工した精肉の包装等業務を行うなどとした事業計画書を提出して、中央会は、令和3年10月に交付決定を行っていた。

中央会は、事業計画書の提出を受けた際、トモミ商会社がD社から使用貸借を受けている工場を事業実施場所としていたこと、また、過去の公募回において、本件事業と同様の内容の事業計画による申請が、トモミ商会社やD社を含む複数の事業者から同時に行われており、これらをいずれも不採択としていたことを確認していた。そこで、中央会は、交付決定に際して、事業計画書に記載されている事業の実施主体はトモミ商会社であり、事業の主たる課題の解決そのものを他社へ外注又は委託するような事業には該当しないことなどを明確にしておくために、トレーシーラーをトモミ商会社の従業員が使用することを厳守するなどとした誓約書の提出を求め、同年8月にトモミ商会社から当該誓約書の提出を受けた上で交付決定を行っていた。

その後、トモミ商会社は、4年7月に、トレーシーラーを購入するものづくり補助事業を事業費26,884,000円(補助対象事業費24,440,000円)で実施したとする実績報告書等を提出して、同年9月にものづくり補助金10,000,000円(機構の補助金相当額同額)の交付を受けていた。

しかし、トモミ商会社は、前記の誓約に反して、稼働当初から専らC社の従業員にトレーシーラーを使用させており、トレーシーラーを使用した包装等を自ら行っていなかった。

したがって、トモミ商会社は事業計画書に記載されている事業を自ら実施しておらず、本件事業は補助の対象とならないことから、これに係る機構の補助金相当額10,000,000円は交付の必要がないものとなっていた。

<事例3(ウの事態)>

株式会社ニチドー(以下「ニチドー社」という。)は、令和5年7月に、スイス型CNC自動旋盤を導入して医療用部品を製造するものづくり補助事業を事業費15,180,000円(補助対象事業費13,800,000円)で実施したとする実績報告書等を提出して、ものづくり補助金9,200,000円(機構の補助金相当額同額)の交付を受けていた。

しかし、ニチドー社は、上記のスイス型CNC自動旋盤(取得価格13,800,000円、処分制限期間10年)について、医療用部品の増産依頼が事業計画時に想定していたよりも少なかったことなどから、遅くとも7年1月以降、中央会の承認を受けることなく、主としてものづくり補助事業とは関係のない医療用部品以外の部品の加工のために使用していた。

したがって、前記のスイス型CNC自動旋盤(補助金の交付の目的に反して使用した時点における残存簿価相当額9,108,000円、機構の補助金相当額6,072,000円)は、中央会に無断で補助金の交付の目的に反して使用されていた。

以上を事業主体別に示すと次のとおりである。

 
補助事業者
(所在地)
間接補助事業者
(所在地)
<事業主体>
年度
事業費
補助対象事業費
左に対する機構の補助金交付額
不当と認める補助対象事業費
不当と認める機構の補助金相当額
摘要
        千円 千円 千円 千円  
(247)
全国中小企業団体中央会
(東京都中央区)
株式会社DG TAKANO
(東京都台東区)
5、6 23,265
(21,070)
14,046 12,766 8,511 アの事態
(248)
コロナ株式会社
(大阪市)
2、3 17,050
(15,500)
10,000 14,225 9,150
(249)
株式会社ニチドー
(大阪府東大阪市)
4、5 15,180
(13,800)
9,200 9,108 6,072 ウの事態
(250)
有限会社市場印刷
(兵庫県姫路市)
2 13,530
(12,300)
8,200 5,474 3,649
(251)
株式会社トモミ商会
(福岡市)
3 26,884
(24,440)
10,000 24,440 10,000 イの事態
(247)―(251)の計 95,909
(87,110)
51,446 66,014 37,382