会計検査院は、令和5年6月12日、参議院から、国会法第105条の規定に基づき下記事項について会計検査を行いその結果を報告することを求める要請を受けた。これに対し同月13日検査官会議において、会計検査院法第30条の3の規定により検査を実施してその結果を報告することを決定した。
一、会計検査及びその結果の報告を求める事項
(一)検査の対象
株式会社産業革新投資機構、株式会社INCJ、独立行政法人中小企業基盤整備機構、株式会社地域経済活性化支援機構、株式会社農林漁業成長産業化支援機構、株式会社民間資金等活用事業推進機構、国立大学法人東北大学、国立大学法人東京大学、国立大学法人京都大学、国立大学法人大阪大学、株式会社海外需要開拓支援機構、一般社団法人環境不動産普及促進機構、株式会社日本政策投資銀行、株式会社海外交通・都市開発事業支援機構、国立研究開発法人科学技術振興機構、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構、株式会社脱炭素化支援機構、一般社団法人グリーンファイナンス推進機構
(二)検査の内容
官民ファンドにおける業務運営の状況に関する次の各事項
① 国の財政支援及び官民ファンド運営法人による支援の実施状況
② 案件発掘、支援決定、モニタリング等の支援業務の実施状況
③ 財務等の状況
(「(一)検査の対象」に掲げられた18官民ファンド運営法人が運営する16官民ファンドの名称等は、表のとおりである。)
| 官民ファンド運営法人 | 組織形態 | 官民ファンド | 所管府省庁 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 名称 | 略称 | 名称 | 略称 | ||
| 株式会社産業革新投資機構 | JIC | 株式会社 | 株式会社産業革新投資機構 | JIC | 経済産業省 |
| 株式会社INCJ | INCJ | 株式会社 | 株式会社INCJ | INCJ | 経済産業省 |
| 独立行政法人中小企業基盤整備機構 | 中小機構 | 独立行政法人 | 独立行政法人中小企業基盤整備機構 | 中小機構 | 経済産業省 |
| 株式会社地域経済活性化支援機構 | REVIC | 株式会社 | 株式会社地域経済活性化支援機構 | REVIC | 内閣府本府等 |
| 株式会社農林漁業成長産業化支援機構 | A―FIVE | 株式会社 | 株式会社農林漁業成長産業化支援機構 | A―FIVE | 農林水産省 |
| 株式会社民間資金等活用事業推進機構 | PFI推進機構 | 株式会社 | 株式会社民間資金等活用事業推進機構 | PFI推進機構 | 内閣府本府 |
| 国立大学法人東北大学 | 東北大 | 国立大学法人 | 官民イノベーションプログラム | イノベーション事業 | 文部科学省 |
| 国立大学法人東京大学 | 東大 | ||||
| 国立大学法人京都大学 | 京大 | ||||
| 国立大学法人大阪大学 | 阪大 | ||||
| 株式会社海外需要開拓支援機構 | クールジャパン機構 | 株式会社 | 株式会社海外需要開拓支援機構 | クールジャパン機構 | 経済産業省 |
| 一般社団法人環境不動産普及促進機構 | Re―Seed機構 | 一般社団法人 | 耐震・環境不動産形成促進事業 | Re―Seed事業 | 国土交通省・環境省 |
| 株式会社日本政策投資銀行 | DBJ | 株式会社 | 競争力強化ファンド | 競争力ファンド | 財務省 |
| 特定投資業務 | 特定投資業務 | ||||
| 株式会社海外交通・都市開発事業支援機構 | JOIN | 株式会社 | 株式会社海外交通・都市開発事業支援機構 | JOIN | 国土交通省 |
| 国立研究開発法人科学技術振興機構 | JST | 独立行政法人 | 国立研究開発法人科学技術振興機構 | JST | 文部科学省 |
| 株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構 | JICT | 株式会社 | 株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構 | JICT | 総務省 |
| 株式会社脱炭素化支援機構 | JICN | 株式会社 | 株式会社脱炭素化支援機構 | JICN | 環境省 |
| 一般社団法人グリーンファイナンス推進機構 | グリーンファイナンス推進機構 | 一般社団法人 | 地域脱炭素投資促進ファンド事業 | グリーンファンド | 環境省 |
| 18官民ファンド運営法人 株式会社10法人 独立行政法人2法人 国立大学法人4法人 一般社団法人2法人 |
16官民ファンド | ||||
本院は、上記要請の官民ファンドにおける業務運営の状況に関する各事項について、経済性、効率性、有効性等の観点から、①官民ファンド運営法人に対する国の財政支援の状況はどのようになっているか、KPI(注1)は官民ファンド間の比較検証を可能とする指標となっているか、②官民ファンドの業務に係る損益等の状況はどのようになっているか、4投資計画策定ファンド(注2)について投資計画等の進捗状況はどのようになっているか、支援(注3)を継続中の案件に係るEXIT(注4)に向けた状況等はどのようになっているか、剰余金や官民ファンドの業務の実施に必要のない国からの出資等について国庫納付は適切に実施されているか、③官民ファンド運営法人における支援業務に係る人員の状況はどのようになっているかなどに着眼して検査を実施した。
検査の結果の主な内容は、次のとおりである。
官民ファンド運営法人に対する官民ファンドの業務に関する国からの出資、貸付け及び補助金の交付(以下、これらを合わせて「政府出資等」という。)の5年度末までの累計額は、計2兆2592億余円となっていた。一方、民間企業等からの出資や自己資金(以下、これらを合わせて「民間出資等」という。)の5年度末までの累計額は計9349億余円となっていて、政府出資等の累計額とを合わせた全体の累計額は合計3兆1941億余円となっていた。
また、政府保証が付された借入等の5年度末までの累計調達額は、計5兆6034億円となっており、政府出資等や民間出資等とともに、官民ファンド運営法人による支援の直接の原資となっていた。
官民ファンド運営法人による5年度末までの支援実績は、支援約束件数計1,722件、支援約束額計7兆0191億余円、実支援(注5)件数計1,666件、実支援額(注6)計5兆1339億余円、支援約束額に対する実支援額の割合(以下「支援実行率」という。)73.1%となっていた。支援実績を支援スキーム別にみると、官民ファンド運営法人が対象事業者に対して直接に支援を実施するもの(以下「直接支援」という。)については、実支援件数計1,048件、支援約束額計4兆3677億余円、実支援額計3兆6318億余円、支援実行率83.1%となっていた。一方、官民ファンド運営法人が他の民間事業者等と共に出資して設立した投資事業有限責任組合(サブファンド)(注7)を通じて、対象事業者に対して間接的に支援を実施するもの(以下「間接支援」という。)については、実支援件数計620件、支援約束額計2兆6514億余円、実支援額計1兆5021億余円、支援実行率56.6%となっていた。
18官民ファンド運営法人の5年度末までの回収の状況をみると、回収額(注8)は計4兆2056億余円、実支援額に対する回収額の割合(以下「回収率」という。)は81.9%となっていた。また、支援スキーム別にみると、直接支援については、回収額は計3兆6625億余円、回収率は100.8%、間接支援については、回収額は計5431億余円、回収率は36.1%となっていた。
5年度末までに、8法人が計4533億余円の国庫納付等を実施しており、18官民ファンド運営法人の政府出資等の額計2兆2592億余円に対する国庫納付等の額の割合は20.0%となっていた。また、事由別にみると、国に対する剰余金の配当等が計2511億余円、官民ファンドの業務の実施に必要のない政府出資金の納付等が計727億余円、貸付金の償還等が1014億余円、官民ファンドの業務の実施に必要のない補助金の納付が計279億余円となっていた。
案件ごとの官民ファンドからの投融資額に対する誘発された民間投融資額(以下「誘発額」という。)の状況をみると、3官民ファンド(REVIC、A―FIVE及びイノベーション事業)の計22件については、各官民ファンドが支援を実施した後、当該官民ファンド以外に出資等を行う民間企業等が現れず、5年度末時点において誘発額がゼロとなっていた。
具体的な指標が示されている「KPI1―2(エコシステム)」「KPI1―3(呼び水)」及び「KPI2(累積損益)」の三つのKPIについて、計上方法等の条件を内閣官房に確認したところ、「官民ファンドの運営に係るガイドライン」(平成25年9月関係閣僚会議決定。以下「ガイドライン」という。)や「官民ファンドの運営に係るガイドラインによる検証報告」において示されている以上に詳細を定めたものはなかった。このため、官民ファンド運営法人における計上方法の実態を確認したところ、「KPI2(累積損益)」及び「KPI1―3(呼び水)」の二つのKPIについては、官民ファンド間における達成状況の比較検証に当たり留意が必要な状況となっていた。
15官民ファンド並びに国立大学法人の有限責任組合員としての出資及び国立大学法人が100%出資する子会社の無限責任組合員としての出資により設立されたサブファンド(以下「国大ファンド」という。)である8国大ファンドの計23ファンド(注9)を対象に、官民ファンド等の累積損益(注10)の状況をみると、8ファンドでは5年度末時点で、競争力ファンドでは官民ファンドの業務を完了した平成30年度末時点で、累積損益がそれぞれプラスとなっていた一方、14ファンドでは令和5年度末時点で累積損益がマイナスとなっていた。また、5年度末時点の資産に対する累積損益の割合を算出したところ、4投資計画策定ファンドではいずれも低くなっており、A―FIVEが△102.3%、JOINが△46.9%、クールジャパン機構が△39.6%、JICTが△10.1%となっていた。
Re―Seed事業を除く12官民ファンドにおいて、5年度の事務費に占める人件費の割合が50%以上となっていた。
A―FIVEについて、5年度末時点で支援を継続中の64件の同年度末の貸借対照表計上額から引当金を控除した額(以下「引当金控除後貸借対照表価額(注11)」という。)は、「損失を最小化するための改善計画」の基礎資料における回収額の6年度以降の計画額計155億余円を90億余円下回っていた。また、上記64件のEXITの実施見込みをみると、41件については同年度末までのEXITの実施のめどが立っていた一方、残る23件については、EXITの実施に向けた対象事業者等との協議が継続中となっていた。
クールジャパン機構及びJICTは、いずれも、修正後計画(注12)及び改善計画の策定時における既存の投資分と比較して将来の投資分の内部収益率(注13)及び投資倍率(注14)が相当程度高いものとなっていた。一方、JOINは、改善計画の策定時における既存の投資分の内部収益率と将来の投資分の内部収益率は、ほぼ同水準(3.0%)となっていた。
クールジャパン機構については、保有する株式等の処分期限等(以下「設置期限」という。)の属する年度である修正後計画の最終年度(15年度)の累積損益額10億円が、設置期限までの産業投資(注15)の資本コスト(注16)の額150億余円を大幅に下回っていた。また、設置期限の定めのないJOINについても、改善計画の最終年度(31年度)の累積損益額20億円が、産業投資から出資を受ける期間を16年度までとして試算した産業投資の資本コストの額332億余円を大幅に下回っていた。
実支援件数1,666件のうち、5年度末までにEXITが実施されていた736件に係る損益の状況をみると、実支援額1兆5983億余円に対して回収額が3兆3892億余円となっており、投資倍率は212.0%となっていた。また、実支援件数1,666件のうち、5年度末時点で支援を継続中の928件に係る損益等の状況(注17)をみると、実支援額3兆5268億余円に対して、引当金控除後貸借対照表価額と5年度末までの回収額との合計(以下「貸借対照表価額等」という。)が3兆2740億余円(うち受取配当金等の回収額が8079億余円)となっており、実支援額に対する貸借対照表価額等の割合は92.8%となっていた。
EXIT実施済みの736件について、各案件の損益等を集計して、投資分野別、支援目的別、支援実施国・地域別に全体の状況をみると、投資分野別では工業・エネルギー、宇宙・航空機、人工知能・情報解析及びFinTechの各分野、支援目的別では事業再編支援、支援実施国・地域別では国内案件に係る投資倍率が相対的に高くなっていた一方、投資分野別ではサービス業、メディア・コンテンツ、バイオ及びロボットの各分野、支援目的別ではベンチャー企業等に対する支援、支援実施国・地域別では海外案件に係る投資倍率が相対的に低くなっていた。
5年度末時点で支援を継続中の928件のうち832件(注18)について、5年度末時点において想定されるEXIT時期(以下「5年度末時点想定EXIT時期」という。)までの年数をみると、5年度末から5年度末時点想定EXIT時期までの年数が20年超の案件があった。
上記の928件のうち、支援決定時に想定されていたEXIT時期(以下「支援決定時想定EXIT時期」という。)を経過していた167件について、5年度末時点における案件の状況を確認するために、5年度末までの回収額及び5年度末時点の対象事業者又はサブファンドの純資産持分相当額等を用いて本院が試算した5年度末保有有価証券評価額(注19)の合計(以下「5年度末保有有価証券評価額等」という。)と実支援額とを比較したところ、14ファンドに係る126件について、5年度末保有有価証券評価額等が実支援額を下回っていた。
INCJは、新規の支援決定が終了しており、6年度末までに保有する全ての株式等及び債権の譲渡その他の処分を行うよう努めることとされている。官民ファンドの業務の完了に伴い生ずるINCJの残余財産は、5年度末の繰越利益剰余金等が2898億余円となっていることなどを踏まえると、多額になると見込まれる。INCJの残余財産は親会社であるJICが取得することになるが、JICは、その活用方針について、関係省庁を含めて検討中であるとしており、7年3月末時点で具体的な方針が決定されていない状況となっていた。
5国大ファンドは、5年度末までに4国立大学法人へ計145億余円を分配していた。文部科学省は、国立大学法人に分配された資金について、国庫納付に関する具体的な手続や時期を明確にしていなかった。
職員の採用及び離退職の状況をみると、平成25年度末から令和5年度末までの採用者数が計1,982人となっている一方で、離退職者数も計1,666人に上っていた。案件発掘(注20)やモニタリング(注21)等の支援業務に直接携わる職員の離退職に際して、複数名で案件を担当しながら引継ぎを行わせることや、新しい担当者が前任の担当者と共に業務を行う引継ぎの移行期間を設けることなどの取組も行われていた。
利益相反管理の体制がどのように整備されているかをみると、直接支援を実施している16官民ファンド運営法人は、利益相反管理規程等において、規制の対象とする利害関係者の範囲や取引類型を定めるなどしていた。一方、間接支援を実施している13官民ファンド運営法人は、サブファンドの無限責任組合員が支援決定を行うため、契約書において規制対象取引を明記していた。
なお、従前は利益相反管理規程等によらずに、会社法(平成17年法律第86号)等を準用して利益相反管理を行っていた東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社(以下「THVP」という。)、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(以下「東大IPC」という。)及び大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社(以下「OUVC」という。)は、本院の検査を踏まえて、6年8月に利益相反管理規程等を新たに設ける措置を講じており、また、A―FIVEは、本院の検査を踏まえて、7年1月に利益相反管理規程等を改定して、役員に係る規定を追加する措置を講じていた。
官民ファンド運営法人が実施したモニタリングの内容は、おおむね、対象事業者又はサブファンドの財務、事業の進捗及び経営体制の三つに係るものとなっていた。また、17官民ファンド運営法人において、モニタリングを実施した部署以外の部署が、モニタリングの内容を第三者的な立場で検証する機能を担っていた。
JOINの役割、在り方、経営改善策等の検証や検討の結果についての有識者委員会の最終報告(以下「JOIN検証報告」という。)では、5年度決算において損失を計上した案件について、JOINにおける損失計上及びその公表の時期と、協調して支援する者(以下「協調出融資者」という。)におけるこれらの時期とにずれが生じたことを受けて、今後同種のずれが生ずる場合には、協調出融資者の意向に留意しつつ、損失計上等のリスク情報について関係者への早期の説明を行うべきであるとされている。これに関してJOINは、従前から、協調出融資者の協力を得ながら、損失計上の動向を必要に応じて把握していたとしており、また、7年1月の会計実地検査時点では、関係者への説明を行うべき情報の内容等について検討中であるとしていた。
5年度末までのハンズオン(注22)の実施状況をみると、14官民ファンド運営法人が計836件についてハンズオンを実施しており、役職員の派遣や人材採用支援といった人材支援に係る実施事例が534件と最も多くなっていた。
官民ファンドは、民間で取ることが難しいリスクを取ることによって民間投資を活発化させて民間主導の経済成長を実現することを目的として創設されるなどしたものであり、官民ファンド運営法人は、政府出資等を原資として、対象事業者又はサブファンドに対する支援を実施している。官民ファンドの業務は、民業補完を原則とし、その原資が国の資金であることに十分配慮しつつ、それぞれの政策目的等に鑑み、政府の基本方針や計画等にも留意した上で、官民ファンド運営法人及び所管府省庁の間で連携しながら運営されることなどが求められている。
一方、一部の官民ファンドにおいて多額の累積損失が発生していることが明らかとなったことから、過去の業務運営についての検証結果として「株式会社農林漁業成長産業化支援機構に係る検証報告」やJOIN検証報告が公表されており、また、投資計画等が策定されるなどの取組が行われている。
ついては、官民ファンド運営法人及び所管府省庁並びに「官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議幹事会」(以下「幹事会」という。)の事務局である内閣官房及び財政投融資を所管する財務省は、今後、次の点に留意して、官民ファンドにおける適切な業務運営を確保する必要がある。
ア 今後、新規の支援決定を行う官民ファンド運営法人は、官民ファンドが民間資金の呼び水としての役割を期待されていることに鑑み、経済社会情勢を踏まえて、官民ファンドが支援すべき案件か否かを民業補完に十分に配慮して検討すること
イ 幹事会の事務局である内閣官房は、KPIがガイドラインにのっとった官民ファンド間における比較検証に資するものとなるよう、KPIの計上に関する具体的な方法等を官民ファンド運営法人及び所管府省庁に周知するとともに、上記の方法等を採用することが困難な官民ファンド運営法人については、その理由や実際に採用した方法等の詳細な情報を官民ファンド運営法人及び所管府省庁から報告させて公表することを検討すること
ア A―FIVEは、支援を継続中の案件について7年度末までに確実にEXITを実施できるよう、引き続き、対象事業者等との協議を行うとともに、各案件の収益の最大化を図ることにより、累積損失の最小化を目指すこと。また、農林水産省は、引き続き、「損失を最小化するための改善計画」の進捗のフォローアップを行い、A―FIVEに対する監督等を適切に行うこと
イ クールジャパン機構、JOIN及びJICTは、案件の内部収益率及び投資倍率の状況等を踏まえて、引き続き累積損失の解消を目指すこと。また、改善計画等の進捗状況によっては、事務費に占める人件費の割合を踏まえて、それぞれの業績に応じた報酬を含む事務費の見直しを検討するなどして経営の改善を図ること。
さらに、クールジャパン機構及びJOINは、各計画の最終年度の累積損益額が産業投資の資本コストの額を大幅に下回るものとなっていること、JOINは、遅くとも31年度までに累積損失の解消を目指すという長期にわたる計画となっていることなどを踏まえ、計画に基づく累積損失の解消を目指すとともに、産業投資の資本コストを上回る収益の確保に向けた一層の経営の改善に努めること。
また、前記3官民ファンド運営法人の3所管府省庁(経済産業省、国土交通省及び総務省)及び財政投融資を所管する財務省は、引き続き、改善計画等の進捗のフォローアップを行うなどして、3官民ファンド運営法人に対する監督等を適切に行うこと
ウ 官民ファンド運営法人は、リスクが高く、かつ、投資倍率が低い支援対象等があることを踏まえ、引き続き、政策性はもとより収益性にも配慮した支援を適切に実施すること
エ DBJ、JOIN及びJICNは、EXITまでの期間が長期となることが見込まれる案件について、計画どおりに事業が進捗しているかなどのモニタリングを慎重に実施して、状況の変化が生じた場合には、公的資金の活用であることに鑑み、秘匿性に留意しつつ、必要に応じて適時に状況を公表すること
オ 中小機構、REVIC、A―FIVE、クールジャパン機構、JST、グリーンファイナンス推進機構、THVP、東大IPC、京都大学イノベーションキャピタル株式会社及びOUVCは、支援決定時想定EXIT時期を経過していて、かつ、5年度末保有有価証券評価額等が実支援額を下回っている案件について、これらの事態が生じている原因分析等を十分に行い、回収額を最大化するために、支援スキームを踏まえ、必要に応じて適切な措置を講ずること。また、他の官民ファンド運営法人においても、同様の事態が発生した場合には、回収額を最大化するために、支援スキームを踏まえ、必要に応じて適切な措置を講ずること
カ JIC及び経済産業省は、JICの投資活動等の計画も踏まえて、多額になると見込まれるINCJの残余財産に係る政府出資の適切な活用の在り方等について、公的資金の活用であることに鑑み、遅滞なく検討及び協議を行った上で、具体的な方針を決定して公表すること
キ 文部科学省は、4国立大学法人と連携して、4国立大学法人に分配された資金について、活用の見込みがないまま滞留することがないよう支援の原資等として活用するなどについて適時に検討し、検討の結果、活用する見込みがない資金が生ずる場合は、具体的な手続や時期を遅滞なく調整するなどして4国立大学法人に国庫納付を実施させること
官民ファンド運営法人は、職員の離退職により支援業務の実施に支障が生ずることのないよう、引き続き、研修、引継ぎなどを適切に実施すること
本院としては、官民ファンドにおける業務運営の状況について、今後とも引き続き検査していくこととする。