• 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書
  • 令和7年5月

官民ファンドにおける業務運営の状況に関する会計検査の結果について


別図表3 設置期限が設定されている11官民ファンドのうち設置期限が延長されている5官民ファンドにおける延長の経緯等

官民ファンド 延長前後の設置期限 延長の経緯等
JIC 令和16年3月
→32年3月
  • 一般的なファンド期間である10年を考慮すると、「JICの運用期限が令和16年のままでは、特に運用期間の長期化が見込まれるディープテック分野、クライメートテック分野のベンチャーキャピタルに対して、期限による制約によって今後投資ができなくなる可能性があること、運用期限延長をしない場合、令和6年3月以降に新設されるファンドへの新たな投資決定が困難となること」について経済産業省とJICの間で問題意識を共有
  • 「スタートアップ育成5か年計画」(令和4年11月決定)では、スタートアップ企業の創出・育成の加速は重要な政策課題である一方、①国内スタートアップ企業への投資は海外に比べて大きく劣後していること、②特にグロースステージ、ディープテック分野やセカンダリー投資等に対するリスクマネーの供給は不足しており、こうした分野に対して、民間ファンドのみで十分にリスクマネーが供給されるようになるまでは長期の時間が掛かることが想定されることなどから、民間事業者の予見可能性を高めながら、JICが安定的にリスクマネーの供給を行いエコシステムの下支えが可能となるよう、JICの運用期限を十分な期間確保することが必要であると判断
REVIC 5年3月
→①8年3月
8年3月
→②13年3月

【延長1回目】

事業再生支援や地域活性化ファンドの設立、運営、地域金融機関等への専門家派遣等を行い、地域企業の支援に取り組むとともに、先導的な支援事例を積み上げてきた。
しかし、今後は、地域活性化ファンドを通じた地域経済けん引事業者への支援や、地域金融機関等への専門家派遣、日本人材機構による経営人材の紹介等を通じた地域金融機関に対する人材及びノウハウの支援に重点的に取り組んでいくほか、難易度の高い事業再生案件に係る債権者間調整や経営者保証付き債権等の買取り及び整理を伴う経営者の再チャレンジ支援にも引き続き対応できるよう、REVICの業務の一部の期限を3年延長

【延長2回目】

3年間延長して、この期間内に地域における民間の自律的な中小企業支援又は地域活性化の取組を定着させることに重点的に取り組んできた。
しかし、新型コロナウイルス感染症が地域経済に与える影響をみれば、インバウンドがゼロの状態が長引く可能性があり、また、輸出についても、製造業にとって海外への輸出は相当まだ厳しい状況が続く可能性もある。
さらに、企業がそのような影響を受け始めてから申請を出すまでには一定のタイムラグがあることを勘案して、どのような事態が生じても地域経済をしっかりと守っていく枠組みを作っていかなければならないという観点から、新規支援決定の終了時期及び設置期限を5年延長

PFI推進機構 10年3月
→15年3月
  • 地域づくりの核となるスポーツ施設や身近な拠点となる集会施設等の活用対象を拡大するとともに、特に地方部への金融等専門的ノウハウの浸透を図り、小規模自治体等の全国各地で幅広く自律的に展開されることが求められる。
  • 公共施設等運営事業については、長期にわたる事業期間中の技術革新や事情変更等を踏まえて、柔軟に対応できるようにすることで、より効果的・効率的に事業展開が図られる。
    上記のことから、関係者のニーズに的確に対応し、PFI事業の一層の促進を図る観点から、設置期限を5年延長
特定投資業務 8年3月
→13年3月
「株式会社日本政策投資銀行の特定投資業務の在り方に関する検討会とりまとめ」(令和元年12月)において、成長資金市場においていまだに民間プレーヤーの投資領域が限定的であることや地域における成長資金が不足していることなどを踏まえて、新規支援決定の終了時期(2年度末)及び設置期限(7年度末)を延長し、特定投資業務を継続することが適当とされた。
他方、本来は民間による自立的な成長資金供給が行われることが望ましいため、特定投資業務による国の関与を時限的なものとすることが適切であることから、民間投資ファンドの慣行を踏まえ、特定投資業務の創設時に想定した投資期間を維持することとし、新規支援決定の終了時期及び設置期限を5年延長
グリーンファンド 20年3月
→25年3月
基金事業の終了予定時期について、最も回収時期の遅い案件の回収時期に合わせて設定しており、「地域脱炭素投資促進ファンド事業費補助金(地域脱炭素化出資事業基金)交付要綱」第9条「補助事業者は、基金事業等の対象事業の事業計画期間が10年を超える場合(超えることが見込まれる場合を含む。)にあっては、大臣に協議の上、前号の公表において、基金事業等を終了する時期として、当該事業計画期間に即した時期を設定することができるものとする。」に基づき、最も回収時期の遅い案件の回収時期に合わせて基金事業の終了期限を25年3月末までと設定