• 国会及び内閣に対する報告(随時報告)
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書
  • 令和6年12月

中小企業者等に対する新型コロナ特別貸付等に係る貸付債権等及び新型コロナ関連保証に係る保証債務等の状況について


2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

中小企業者等に対する新型コロナ特別貸付等及び新型コロナ関連保証付融資については、返済開始時期を迎えるものが集中する時期を全て経過し、その元利金の返済が本格化するなどしている。その一方、中小企業者等については、借入金の残高や新型コロナウイルス関連の倒産件数が増加するなどしている。

そこで、会計検査院は、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、中小企業者等に対する新型コロナ特別貸付等に係る貸付債権及び新型コロナ関連保証に係る保証債務等の状況について、次の点に着眼するなどして検査した。

  • ア 日本公庫等が中小企業者等に対して実施した新型コロナ特別貸付等の貸付債権等はどのような状況となっているか。特に、令和4年度決算検査報告に掲記した4年度末時点における貸付債権等の状況からどのように変化しているか。
  • イ 協会が中小企業者等に対して実施した新型コロナ関連保証の保証債務等はどのような状況となっているか。また、新型コロナ関連保証等の実施に係る国の財政援助額の使用状況等はどのようになっているか。

(2) 検査の対象及び方法

中小企業者等に対する新型コロナ関連資金繰り支援について、次の①から③までを対象として検査した。

  • ① 貸付けの実績において多額を占める新型コロナ特別貸付等(20兆6397億余円)
  • ② 信用保証の実績において多額を占める新型コロナ関連保証(38兆2664億余円)
  • ③ 新型コロナ関連保証等に係る信用保険(財政援助額3兆6881億円)、損失補償(同6422億円)、保証料補助(民間ゼロゼロ融資に係る財政援助額1兆1554億余円及び伴走支援型特別保証制度等に係る財政援助額7865億円)及び特別利子補給(財政援助額1兆5127億円)

検査に当たっては、計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)に基づき提出された財務諸表等のほか、日本公庫、商工中金、中小機構及び連合会から提出された新型コロナ特別貸付等及び新型コロナ関連保証等に係る調書等並びに主務省庁である財務省及び中小企業庁から提出された関連文書等を分析するとともに、財務省、中小企業庁、日本公庫、商工中金、中小機構及び連合会の本省、本店等並びに日本公庫の152支店のうち13支店(注10)、商工中金の92支店のうち7支店(注11)及び51協会のうち13協会(注12)において関係資料を基に説明を受けるなどして会計実地検査を行った。

(注10)
13支店  新宿、池袋、金沢、小松、熱田、豊橋、大津、広島、尾道、松江、浜田、長崎、佐世保各支店
(注11)
7支店  横浜、川崎、横浜西口、豊橋、堺、広島西部、鹿児島各支店
(注12)
13協会  北海道、宮城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、横浜市、川崎市、三重県、大阪、兵庫県、岡山県、長崎県、鹿児島県各信用保証協会