• 国会及び内閣に対する報告(随時報告)
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書
  • 令和7年1月

租税特別措置(給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度)における教育訓練費に係る上乗せ税額控除の適用状況、検証状況等について


別図表6 事前評価書における特別措置等による直接的効果及び税収減を是認するような効果の有無の記載状況(平成30年度、令和3年度、4年度及び6年度の税制改正要望分)

対象法人:大企業
区分 特別措置等による直接的効果 税収減を是認するような効果の有無
平成
30
年度
税制改正
要望分
本税制措置の成果もあり、多くの企業において、平成26年度以降4年連続で高水準の賃上げが行われている。
※春季生活闘争による賃上げ率(日本労働組合総連合会(連合)調査)
2014年:2.07%、2015年:2.20%、
2016年:2.00%、2017年:1.98%
また、内閣府において、本税制の効果により、平成26年度から平成29年度の4年間で、マクロで1.46兆円相当の賃金引上げ効果があったとの試算がなされているところ。
(内閣府経済財政諮問会議民間委員提出資料より)
中堅・中小企業の賃上げを強力に後押しし、「成長と分配の好循環」を地域の中堅・中小企業にもたらす効果が期待される。
令和
3
年度
税制改正
要望分
内閣府(※1)において、所得拡大促進税制の効果により、平成26年度から平成29年度の4年間で、マクロで1.46兆円相当の賃金引上げ効果があったとの試算がなされている。
<参考>
※1・・・第2回経済財政諮問会議(平成29年2月15日)において民間委員提出の資料5-2「金融・物価集中審議に際して(参考資料)」に基づく。
新型コロナウイルス感染症により、世界・日本経済の下振れや今後の先行きの不透明感が高まるとともに、産業構造は大きく変化。世界・日本経済の状況や企業の経営環境がコロナ禍以前の水準に回復していくまでの間、まずは、企業における雇用の維持及び事業の継続のために必要な人材の確保等を下支えしつつ、「新たな日常」への適応のための事業の変革に向けた外部専門人材の獲得や社内人材の育成強化といった多様な人材投資を図ることが必要である。
令和
4
年度
税制改正
要望分
賃上げは、税制のみならず、企業収益や雇用情勢等に影響を受けるものであり、税制の効果だけを定量的に測ることは難しいものの、平成25年度から令和2年度までの8年間で約76万件の企業が本税制の適用を受け、その累計の減税規模は約2兆円となっており、そうした結果としてこれまで2%程度の賃上げを達成してきており、税制も寄与してきたものと考えられる。 新型コロナとの闘いに打ち克ち、経済を再生させるための要は「新しい資本主義」の実現であり、そのために「成長と分配の好循環」の実現が重要。政府方針として、分配戦略の第一として所得の向上につながる賃上げを促していくこととしており、民間部門における分配強化策の一つとして本税制を講じることは、成長の果実を従業員に分配し、そして未来への投資である賃上げが原動力となって、更なる成長につながるという好循環の実現に資するものであることから、本税制による税収減は是認される。
令和
6
年度
税制改正
要望分
賃上げは、税制のみならず、企業収益や雇用情勢等に影響を受けるものであり、税制の効果だけを定量的に測ることは難しいものの、平成25年度から令和3年度までの9年間で約90万件の企業が本税制の適用を受け、その累計の減税規模は約2.3兆円となっている。その間、高水準の賃上げを達成してきており、税制も寄与してきたものと考えられる。 日本経済を成長軌道に乗せるための要は「新しい資本主義」の実現であり、そのために「成長と分配の好循環」の実現が重要。政府方針として、最重要課題として所得の向上につながる賃上げを促していくこととしており、成長の果実を従業員に分配し、そして未来への投資である賃上げが原動力となって、更なる成長につながるという好循環の実現に資するものであることから、本税制による税収減は是認される。
対象法人:中小企業者等
区分 特別措置等による直接的効果 税収減を是認するような効果の有無
平成
30
年度
税制
改正
要望
本税制措置の成果もあり、多くの企業において、平成26年度以降4年連続で高水準の賃上げが行われている。
※春季生活闘争による賃上げ率(日本労働組合総連合会(連合)調査)
2014年:2.07%、2015年:2.20%、
2016年:2.00%、2017年:1.98%
また、内閣府において、本税制の効果により、平成26年度から平成29年度の4年間で、マクロで1.46兆円相当の賃金引上げ効果があったとの試算がなされているところ。
(内閣府経済財政諮問会議民間委員提出資料より)
中堅・中小企業の賃上げを強力に後押しし、「成長と分配の好循環」を地域の中堅・中小企業にもたらす効果が期待される。
令和
3
年度
税制
改正
要望
・令和3年度減収見込額1,952億円
   ↓
・本税制によるマクロの所得増加額5,114億円
(令和3年度減収見込額1,952億円÷控除率15%×本税制が賃上げ実施のきっかけとなったと回答した企業割合39.3%(※令和元年度企業の雇用状況等調査))
※内閣府において、本税制の効果により平成26年度から平成29年度の4年間で、マクロで1.46兆円相当の賃金引上げ効果があったとの試算。(内閣府経済財政諮問会議民間委員提出資料より)
賃上げを後押しし、経済の好循環を地域の中小企業にもたらす効果が期待される。
令和
4
年度
税制
改正
要望
賃上げや雇用増を通じた所得の向上は、税制のみならず、企業収益や雇用情勢等に影響を受けるものであり、税制の効果だけを定量的に測ることは難しいものの、平成25年度から令和2年度までの8年間で約76万件の企業が本税制の適用を受け、その累計の減税規模は約2兆円となっており、そうした結果としてこれまで2%程度の賃上げを達成してきており、税制も寄与してきたものと考えられる。 賃上げ、雇用増によるマクロの所得の向上を促すことで、個人消費の拡大、成長と分配の好循環を地域の中小企業にもたらす効果が期待される。
令和
6
年度
税制
改正
要望
賃上げや雇用増を通じた所得の向上は、税制のみならず、企業収益や雇用情勢等に影響を受けるものであり、税制の効果だけを定量的に測ることは難しいものの、平成25年度から令和3年度までの9年間で約90万件の企業が本税制の適用を受け、その累計の減税規模は約2.3兆円となっている。その間、高水準の賃上げを達成してきており、税制も寄与してきたものと考えられる。 賃上げ、雇用増によるマクロの所得の向上を促すことで、個人消費の拡大、成長と分配の好循環を地域の中小企業にもたらす効果が期待される。
租特ガイドラインによれば、直接的効果を把握することとされているが、大企業及び中小企業者等に係る分において、平成30、令和3、4及び6年度いずれも教育訓練費に係る上乗せ税額控除については評価していないため、直接的な効果は把握されていない。
租特ガイドラインによれば、税収減を是認するような効果が見込まれるかどうかを説明することなどとされているが、大企業及び中小企業者等に係る分において、平成30、令和3、4及び6年度いずれも税収減を是認するような効果について適切に説明されているとは認められない。