• 国会及び内閣に対する報告(随時報告)
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書
  • 令和7年9月

国際機関等に対する拠出等の状況について


検査対象
衆議院、国立国会図書館、最高裁判所、会計検査院、人事院、内閣府本府、公正取引委員会、警察庁、個人情報保護委員会、金融庁、消費者庁、こども家庭庁(令和5年3月31日以前は内閣府本府、厚生労働省)、デジタル庁(3年8月31日以前は総務省)、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省
国際機関等に対する拠出等の概要
国際機関等の活動に必要な経費に充てるために拠出金の拠出及び出資金の出資を行うもの
国際機関等に対する拠出等が行われた拠出金等の件数
722件(平成30年度~令和5年度)
上記拠出等の額
5兆0237億円

1 検査の背景

(1) 国際機関等に対する拠出等の概要

国際機関、国際的な活動を行っている非国家間機関等(以下、これらを合わせて「国際機関等」という。)は、紛争、貧困、気候変動、感染症等の国際社会が直面する諸課題に対応するために、各専門分野において多様な取組を実施しており、近年、国際社会において喫緊の課題となった新型コロナウイルスの感染拡大の防止や、ウクライナ情勢の緊迫化を受けた人道支援等にも取り組んでいる。そして、我が国は、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、国際機関等と協調してこれらの課題の解決に向けて取り組むなどしている。

国際機関は、一般に、特定の共通目的を継続的に達成するために、国家間の合意に基づいて設立された組織であって、固有の内部機関と権能を有するものとされており、代表的な国際機関には、国際連合本部、国際連合児童基金、国際連合食糧農業機関、国際復興開発銀行、経済協力開発機構等がある。また、国際的な活動を行っている非国家間機関等には、赤十字国際委員会等の人道支援組織等がある。そして、外務省は、主な国際機関等について、図表0-1のとおり分類している。

図表0-1 主な国際機関等の分類

分類 主な国際機関等
国際連合(事務局) 国際連合(UN)、国際連合人道問題調整事務所(OCHA)、国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)、国際連合薬物犯罪事務所(UNODC)
国際連合(基金及び計画) 国際連合児童基金(UNICEF)、国際連合世界食糧計画(WFP)、国際連合開発計画(UNDP)、国際連合人口基金(UNFPA)
国際連合専門機関等 国際連合食糧農業機関(FAO)、国際労働機関(ILO)、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)、世界保健機関(WHO)
国際開発金融機関等 国際復興開発銀行(IBRD)、国際通貨基金(IMF)、国際開発協会(IDA)、アジア開発銀行(ADB)
その他の国際機関等 経済協力開発機構(OECD)、東南アジア諸国連合(ASEAN)、アジア太平洋経済協力(APEC)、赤十字国際委員会(ICRC)

国際機関等は、加盟国等から拠出された資金を財源の一部とするなどして各種の事業等を実施している。そして、我が国は、国際社会の平和、安定等に貢献し、これにより国益を確保することなどを目的として、国際機関等に対して、その活動に必要な経費に充てるために拠出金の拠出及び出資金の出資を行っている(拠出金には分担金を含む。また、以下、拠出金及び出資金を合わせて「拠出金等」といい、拠出及び出資を合わせて「拠出等」という。)。拠出金等の拠出等は、一般会計及び特別会計の歳出予算、又は拠出国債及び出資国債(注1)の発行により行われており、拠出等の中には、政府開発援助として行われているものがある(図表0-2参照)。

(注1)
拠出国債及び出資国債は、拠出又は出資する現金に代えてその全部又は一部を払い込むために発行される交付国債の一種であり、いずれも無利子かつ譲渡禁止となっていて、政府は償還の請求を受けたときは直ちに償還しなければならないこととなっている。拠出国債及び出資国債の発行上限額は「国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律」(昭和27年法律第191号)等の法律に規定されるなどしており、その範囲内で発行される。そして、発行された拠出国債及び出資国債については、国際機関等の総務会等で決定された償還計画に従うなどして順次償還が行われる。

図表0-2 国際機関等に対する拠出等(概念図)

図表0-2 国際機関等に対する拠出等(概念図)画像

我が国が国際機関等に対して拠出等を行っている拠出金等には、拠出等の目的や拠出等を行った資金の性質により次のような種類がある。

① 義務的拠出金

義務的拠出金は、国際機関等の事務局運営費等に充てるための財源として、国際機関等の設立条約、予算等により定められた額又は国際機関等の総会決議等により負担を求められた額を加盟国等が分担金等として義務的に拠出するものである。

② 任意拠出金

任意拠出金は、国際機関等が実施する事業等のうち、拠出国等が重視する特定の国若しくは地域又は特定分野の事業等であって、拠出国等が有益と認めて支援すべきと判断した事業等に対して、国際機関等が策定した事業計画等に基づき任意の額を拠出国等が自発的に拠出するものである。

任意拠出金には、拠出国等が単独で拠出するもの(以下「単独拠出」という。)及び他国等と協調して拠出するもの(以下「協調拠出」という。)がある。また、任意拠出金は、拠出国等が使途を特定しているもの(以下「イヤーマーク拠出金」という。)及び拠出国等が使途を特定していないもの(以下「ノンイヤーマーク拠出金」という。)に区分される。

③ 出資金

出資金は、開発途上国が実施する開発プロジェクト等に必要な資金に対して緩やかな条件で融資等を行う国際開発金融機関等に資本金として加盟国等が出資するものであり、義務的拠出金や任意拠出金とは異なり、出資額等に応じて出資先の機関等における議決権等が与えられる。各加盟国等の出資額は、国際開発金融機関等の増資等の計画に応じて、当該国際開発金融機関等の総務会等で決定されている。

拠出金等のうち任意拠出金は、義務的拠出金や出資金とは異なり、拠出国等が有益と認めて支援すべきと判断した特定の事業等に対して任意の額を自発的に拠出するものである。そして、拠出国等が拠出した任意拠出金を財源として当該特定の事業等が実施されるが、一般に、拠出国等が直接的に事業等の実施や拠出した資金の管理等に携わることはない。

(2) 拠出金等に係る情報開示の概要

国際機関等に対しては、多額の拠出金等の拠出等が行われており、政府全体として、その現状や実績を国民に明らかにすることが、国民に対する説明責任を十分に果たす上で最も重要であるなどとして、外務省は、各府省庁等と連携して、平成14年度以降の拠出等について「国際機関への拠出金・出資金等に関する報告書」(以下「拠出金等報告書」という。)を取りまとめて、各拠出金等の拠出等に関する情報を同省のウェブサイトにおいて公表している。また、同省は、国際情勢の推移及び我が国の外交活動の状況を取りまとめて公表している外交青書において、我が国の国際機関等に対する拠出等の実績に関する情報を記載している(以下、拠出金等報告書及び外交青書を合わせて「拠出金等報告書等」という。)。

また、令和2年3月及び4年3月に衆議院財務金融委員会が、2年3月、4年3月、5年4月及び6年4月に参議院財政金融委員会が、特定の国際機関への加盟に伴う措置に関する法律を改正する法律案の議決に際して、国際機関の活動や我が国の貢献について国民の理解を得るために、広報活動や情報公開のより一層の充実に努めることなどとする附帯決議をそれぞれ行っている。

(3) これまでの検査の実施状況

会計検査院は、これまで、国際機関等に対する拠出等の状況について検査し、各府省庁が政府開発援助として行った拠出等について、平成26年10月に、会計検査院法第30条の2の規定に基づき「各府省庁が所管する政府開発援助(国際機関等への拠出・出資)の実施状況について」を国会及び内閣に報告している(以下、この報告を「26年報告」という。26年報告の所見については別図表1参照)。また、各拠出金等について、拠出を行った資金が活用されていないなどの事態を検査報告に掲記するなどしている(別図表2参照)。