ページトップ
  • 第3章 特定検査対象に関する検査状況

阪神・淡路大震災を契機とした公共土木施設の検査について


第2 阪神・淡路大震災を契機とした公共土木施設の検査について

 平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災において、道路、鉄道、港湾等の公共土木施設に大きな被害が発生したことなどから、公共土木施設の耐震安全性等について極めて高い社会的関心が寄せられている。
 本院では、このような状況を踏まえ、公共土木施設に着目して検査を実施した。その状況は、次のとおりである。

(1) 被災した阪神高速道路、国道及び山陽新幹線の高架橋等並びに神戸港の岸壁等の設計及び施工について

 今回の被災原因の究明等のため設置された委員会の中間報告によれば、高架橋、岸壁等に大きな被害が生じたのは、設計上の想定を上回る大きな地震力が作用したことによるとしている。
 本院においても、これらの被災した高架橋等の設計、施工について調査を実施したが、調査した範囲では、特に問題となる点は見受けられなかった。
 なお、上記の委員会では、被災した高架橋等について、その被災原因等の最終報告を取りまとめ中である。したがって、本院としても、その結果を引き続き注視していくこととする。

(2) 首都圏の高速道路等と東海道新幹線の高架橋等の耐震補強工事について

 首都圏の高速道路等の高架橋等については、3年度の震災点検結果に基づき、9年度までに完了させる計画で補強工事が実施されてきた。また、東海道新幹線の高架橋等については、東海地震が想定される強化地域内での計画が策定され、昭和54年度から補強工事が実施された。そして、今回の被災状況を踏まえた建設省及び運輸省の指示に基づき、新たに、平成7年度から3年程度で行う補強計画が策定された。
 本院としては、今後実施される補強工事について、その計画、設計、施工等に十分留意して調査していく予定である。

 我が国は、世界有数の地震国であり、今回のように大規模な地震が発生した場合、再び多数の人命及び財産の損失を招く危険性があり、被害を最小限度にとどめるための対策が早急に必要である。
 このため、新設する構造物の設計、施工を耐震設計基準に準拠して適切に行い、また、既存の構造物に対する補強対策を計画的に実施するとともに、新たな耐震設計基準を早急に確立することが重要である。
 また、本院としても、設計、施工の適否は構造物の安全性に直接かかわる重要な問題であるので、今回の震災の経験を踏まえて、工事の検査の一層の充実に努めることとする。

 平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災は、我が国における社会経済的な諸機能が高度に集積する都市を直撃した初めての直下型地震であり、死者5,500余人、負傷者41,500余人に上る甚大な被害をもたらした。また、20万戸以上の住宅が全・半壊したほか、地震には強いとされてきた道路、鉄道、港湾等の公共土木施設にも大きな被害が生じた。そして、将来においても、同様な大規模な地震の発生が懸念されている。
 このようなことから、公共土木施設の耐震安全性等については極めて高い社会的関心が寄せられている。
 本院では、以上の状況を踏まえ、公共土木施設のうち道路、鉄道及び港湾に着目して、次のとおり、検査を実施することとした。

A 被災した阪神高速道路、国道及び山陽新幹線の高架橋等並びに神戸港の岸壁等の設計及び施工について

1 検査の範囲及び観点

 阪神・淡路大震災により、阪神高速道路、国道及び山陽新幹線の高架橋等並びに神戸港の岸壁等の港湾施設に倒壊、落下、陥没等の多大な被害が発生した。
 そこで、これらの公共土木施設について、被災原因の究明等のため建設省及び運輸省に設置された委員会の中間報告等を参考にするなどして、〔1〕 設計は設計基準に照らし適切なものとなっていたか、〔2〕 施工は設計に従い適切に行われていたかを検査することとした。

2 検査の状況

(1) 阪神高速道路の高架橋等について

ア 被災状況

 阪神高速道路公団(以下「公団」という。)が管理している道路のうち、高架橋等に特に大きな被害があったのは、3号神戸線(昭和38年度から56年度に施工)及び5号湾岸線(60年度から平成5年度に施工)であり、その状況は次のとおりである。

〔1〕 橋脚が大きく損傷変形したもの(倒壊、き裂、鉄筋の破断など) 160箇所
〔2〕 支承が大きく損傷変形したもの(支承の固定ボルトの破断、支承底面のコンクリートの破壊など) 262箇所
〔3〕 上部工が大きく損傷変形したもの(橋桁の落下、鋼桁の破断、コンクリート桁のコンクリートの剥離、脱落など) 94箇所

イ 兵庫県南部地震道路橋震災対策委員会の中間報告の見解

 兵庫県南部地震道路橋震災対策委員会の「兵庫県南部地震における道路橋の被災に関する調査/中間報告書」(7年3月。以下「道路橋中間報告」という。)において、3号神戸線の高架橋を含む道路橋の被災原因を、次のとおり記述している。

〔1〕 被災原因及び被災のメカニズムを検討するために、被災調査、材料試験、地震動や被災した高架橋等の構造的な特性の解析等を行った。

〔2〕 これまでの検討結果によると、いずれの高架橋等においても設計上の想定を上回る大きな水平方向の地震力を受けたことが被災の根本的な原因と考えられる。なお、被災した橋脚等は、当時の設計基準に適合した設計がなされていた。

ウ 調査の対象及び方法

 最も被害が大きかった3号神戸線の倒壊区間(延長635m)について調査することとした。この区間は、昭和44年度に国道43号の上に建設されたもので、今回の地震により、17本の橋脚が中間部で破壊され、上部構造が倒壊した。そして、実地検査については、公団の復旧作業等に配慮し、本院の検査の受入れ体制が整うまで差し控え、本年7月の実地検査時に、設計及び施工について調査することとした。
 設計については、建設当時の工事関係書類のうち現在まで保管されていた設計計算書及びしゅん工図により、設計計算が建設当時の設計基準に基づき適切に行われていたか、また、しゅん工図の鉄筋の径、本数及び設置は、設計計算書のものと一致しているかを調査した。
 施工については、被災後の現場写真により、高架橋の鉄筋の径、本数及び配置並びに鉄筋の圧接位置等を調査した。

(2) 国道の高架橋等について

ア 被災状況

 建設省が管理している国道のうち、高架橋等に特に大きな被害があったのは、国道2号、国道43号及び国道171号であり、その状況は次のとおりである。

〔1〕 橋脚が大きく損傷変形したもの(倒壊、き裂、鉄筋の破断など) 43箇所
〔2〕 支承が大きく損傷変形したもの(支承の固定ボルトの破断、支承底面のコンクリートの破壊など) 64箇所
〔3〕 上部工が大きく損傷変形したもの(橋桁の落下、鋼桁の破断、コンクリート桁のコンクリートの剥離、脱落など) 21箇所

 上記のうち、橋脚等下部工に多大な損傷を受けたのは、国道43号岩屋高架橋であり、被災した鋼製橋脚(47年度施工)は、柱部が鉛直方向の力が働いたような形で押しつぶされており、また、柱を構成する鋼板は、4面とも角溶接部で引き裂かれて独立し、「くの字」形に折り曲げられている。

イ 兵庫県南部地震道路橋震災対策委員会の道路橋中間報告の見解

 道路橋中間報告において、上記の岩屋高架橋を含む道路橋の被災原因を記述している(その報告内容参照 )。

ウ 調査の対象及び方法

 特に被害が甚大で、道路橋中間報告でも言及している上記の岩屋高架橋の鋼製橋脚について調査することとした。

 建設省近畿地方建設局の復旧作業等に配慮し、実地検査は行わなかった。そして、本年9月の建設本省の実地検査時に、道路橋中間報告の内容等について説明を受けるとともに、設計及び施工について調査することとした。
 設計については、建設当時の工事関係書類のうち現在まで保管されていた設計計算書及びしゅん工図により、設計計算が、建設当時の設計基準に基づき適切に行われているか、また、しゅん工図の柱寸法、鋼板厚等は設計計算書のものと一致しているかを調査した。
 施工については、被災後の現場写真により、橋脚の鋼板の厚さ、角溶接部の溶接状況等を調査した。

(3) 山陽新幹線の高架橋等について

ア 被災状況

 西日本旅客鉄道株式会社(以下「JR西日本」という。)が管理している山陽新幹線のうち、高架橋等に大きな被害があったのは、新大阪・姫路間(41年度から46年度に施工)であり、708本の柱が損傷し、取替新設が100本以上にも及んでいる。また、高架橋等の8箇所では、床版等の落下が発生している。

イ 鉄道施設耐震構造検討委員会の中間整理等の見解

 鉄道施設耐震構造検討委員会の「第1次中間取りまとめ」(平成7年3月)及び「兵庫県南部地震による鉄道施設の被災に関する調査/中間整理」(7年8月)において、高架橋等の被災の原因等を、次のとおり記述している。

〔1〕 構造物が震源から近接した地点にあったため、局所的な大きな被害を受けた。また、極めて大きな水平方向の地震力が作用し、高架橋等の柱を破壊させたものと推測される。

〔2〕 鉄筋のガス圧接部の破断、木片の混入などの施工上問題があるのではないかとされた点について検討するため、被災した構造物から試料を採取し、コンクリート及び鉄筋の強度試験、圧接鉄筋の引張強度試験等を行った。そして、これまでの調査の結果からは、ほぼ所定の品質が保たれていたと判断でき、施工不良や材料劣化が被害の主因であるとは考えられない。

ウ 調査の対象及び方法

 JR西日本の復旧作業等に配慮し、本院の検査の受入れ体制が整うまで実地検査を差し控えた。そして、7年7月から8月にかけての実地検査時に、床版等の落下が発生した8高架橋等について、設計及び施工について調査することとした。
 設計については、建設当時の工事関係書類のうち現在まで保管されていたしゅん工図により、建設当時の設計基準等に照らし、鉄筋の径、本数及び配置が適切なものとなっているかなどを調査した。
 施工については、被災後の現場写真などにより、高架橋等の鉄筋の径、本数及び配置等を調査した。

(4) 神戸港の岸壁等について

ア 被災状況

 神戸港における港湾施設は、耐震強化岸壁を除く大半の岸壁がケーソンの滑動、エプロンの陥没等の被害を受け使用不能となり、また、防波堤が全延長にわたり沈下するなどの被害を受けた。

イ 港湾施設耐震構造検討委員会の中間報告の見解

 港湾施設耐震構造検討委員会の中間報告(7年8月)において、港湾施設の被災原因を、次のとおり記述している。

〔1〕 神戸港では、地震断層とほぼ直交する南北方向の地震動が東西方向の地震動に比べて卓越していた。また、今回の地震動は強い水平動だけでなく、強い上下動があったことも大きな特徴である。

〔2〕 重力式岸壁が水平移動した主な要因は、過大な地震力と土圧に加え、岸壁の背後地盤等が不完全液状化したことによるものである。

ウ 調査の対象及び方法

 運輸省第三港湾建設局の復旧作業等に配慮し、実地検査は行わなかった。そして、本年9月の運輸本省の実地検査時に、中間報告の内容等について説明を受け、本院としてもその内容を調査した。

3 所見

 保管されていた工事関係書類が限られていたこと、倒壊した構造物が既に撤去されていたこと、国道及び神戸港に関しては実地検査を行わなかったことなどから、十分な調査はできなかったが、調査した範囲では、特に問題となる点は見受けられなかった。
 なお、それぞれの委員会では、今回の震災で被害を受けた高架橋等又は岸壁等について、その被災原因等の最終報告を取りまとめ中である。したがって、本院としても、その結果を引き続き注視していくこととする。

B 首都圏の高速道路等と東海道新幹線の高架橋等の耐震補強工事について

1 検査の範囲及び観点

〔1〕 道路橋については、関東大地震を契機に耐震設計を取り入れ、その後、新潟地震、宮城県沖地震等の経験をいかし、耐震設計基準は整備、拡充されている。しかし、阪神・淡路大震災では、高速道路の多数の高架橋等において、橋脚の倒壊、落橋等の被害が発生した。
 そこで、高速道路等の高架橋等について、耐震補強工事の実施状況を検査することとした。
 検査は、人口、資産、経済活動が集中、集積し、地震による被害が発生した場合はその影響が甚大かつ広範なものとなることが予想される首都圏(東京都、埼玉、千葉、神奈川各県)の高速道路等について、実施することとした。

〔2〕 鉄道橋についても、道路橋と同様に過去の地震の経験をいかし、耐震設計基準は整備、拡充されている。しかし、阪神・淡路大震災では、山陽新幹線で昭和41年度から46年度までに建設された高架橋等において、倒壊、落橋等の被害が発生した。
 そこで、39年度に開通し、我が国の交通体系の中核的存在となっている東海道新幹線の高架橋等について、耐震補強工事の実施状況を検査することとした。

 このように、道路橋、鉄道橋いずれも過去の地震の経験をいかしながら耐震設計基準の整備、拡充が図られてきたが、上記の〔1〕 、〔2〕 の検査に当たっては、これまでに進められてきた補強対策が順調に進ちょくしているか、また、今後の補強対策は、今回の震災の経験を踏まえて、計画的に実施することとなっているかなどの観点から検査を実施した。

2 検査の状況

(1) 首都圏の高速道路等について

ア 首都圏の高速道路等の概要

 34年度に初めて供用が開始された首都圏の高速道路等は、日本道路公団が管理しているものが、供用延長1,123.2km(平成6年度末現在、うち高架橋等の区間299.9km)、通行台数約239万台/日(6年度)、首都高速道路公団が管理しているものが、供用延長247.8km(6年度末現在、うち高架橋等の区間201.8km)、通行台数約112万台/日(6年度)となっている。

イ 補強対策の推移

 昭和46年に建設省が制定した「所管施設の地震に対する安全性等に関する点検について」(46年4月6日官技発第40号)等に基づき、日本道路公団及び首都高速道路公団では、46年度から平成3年度までの間に5回の震災点検を実施しており、これによって対策が必要とされた箇所について、計画的な震災対策を進めてきた。
 そして、日本道路公団では、首都圏において管理する高架橋等のうち172橋については、地震により橋脚に変位が生じても、落橋することがないように支承移動制限装置を設置するなどの補強工事を実施することとしている。そして、6年度までに34%に当たる59橋について、総工事費約13億円で実施した。
 また、首都高速道路公団では、その管理する橋脚約7,200基のうち770基については、現行の「道路橋示方書」(2年)に示されている基準を満足していないことなどから、鋼板を巻くなどの方法により、必要なじん性(注) を確保するための補強工事を実施することとしている。そして、6年度までに51%に当たる398基の橋脚について、総工事費約35億円で実施した。
 両公団では、3年度に実施した震災点検結果等に基づき、9年度までに補強工事を完了させる計画で進めてきたが、今回の震災の実情を踏まえ、計画を2年早めて7年度の概成をめざすこととしている。

(注)  じん性 外力に抗して破壊しにくく、衝撃力にも耐えるようなねばり強い性質

ウ 今後の補強対策

 建設省では、今回の地震による被災状況を勘案して、新たな耐震設計基準が確立されるまでの間の当面の措置として、道路事業者に対し、「橋、高架の道路等の新設及び補強に係る当面の措置について」(7年5月建設省道有発第36号、建設省道高発第8号)を発した。この指示を受け、日本道路公団では、首都圏において7年度から9年度までに約2,200基の補強工事を、首都高速道路公団では、同期間に約7,200基の補強工事を、それぞれ実施する予定である。
 これらの工事においては、建設省より示された「兵庫県南部地震により被災した道路橋の復旧に係る仕様」(7年2月)に準じて補強設計を行うこととしている。

(2) 東海道新幹線について

ア 東海道新幹線の概要

 昭和39年度に供用が開始された東海旅客鉄道株式会社(以下「JR東海」という。)が管理する東海道新幹線は、供用延長515.8km(平成6年度末現在、うち高架橋等の区間172.8km)、輸送人員約1億28百万人(6年度)となっている。

イ 補強対策の推移

 昭和54年8月に、東海地震に備える強化地域が指定された。この強化地域内には、東海道新幹線のうち214kmの区間(神奈川県海老名市から静岡県湖西市までの間)が含まれることとなった。そこで、53年に設置された「鉄道土木構造物耐震強化の研究委員会」での検討結果を基に、設備強化計画を策定し、54年度から平成6年度までに、総工事費約368億円で計画的に震災対策を進めてきた。
 このうち、橋脚・橋台対策としては、橋脚等の周りを鉄筋コンクリート又は鋼板で巻く橋脚等補強工を、高架橋対策としては、隣り合う高架橋相互間をPC鋼材でつなぐ目違い防止工を、また、落橋対策としては、橋桁間の連結工、橋桁が載っている橋脚等の頂部の拡幅工などを施工した。そして、上記の強化地域内においてこれらの対策が必要とされた3,232箇所については、すべてこの対策は完了している。
 また、上記の強化地域を除く他の区間については、落橋を防止するための補強対策を進めてきている。

ウ 今後の補強対策

 運輸省では、今回の地震による被災状況を勘案して、新たな耐震設計基準が確立されるまでの間の当面の措置として、鉄道事業者に対し、「鉄道施設耐震構造検討委員会の提言に基づく鉄道構造物の耐震性能に係る当面の措置について」(7年7月)を発した。この指示を受け、JR東海では、東海道新幹線全線にわたり、7年度からおおむね3年間で、ラーメン高架橋の柱については約7,000本の補強工事を、橋桁については約600連の落橋防止工事を実施する予定である(補強対策工事費見込額計約154億円)。

3 所見

 首都圏の高速道路等及び東海道新幹線は、我が国の交通体系の基幹的な役割を果たしているばかりでなく、地震発生後には震災復旧のための緊急輸送手段等としての役割も期待されている。
 今回の震災を契機として、両公団及びJR東海では、それぞれ建設省、運輸省の指示を受け、相当数の補強工事を今後3年程度で実施することとしているが、これは当面の措置に基づくものであることから、早急に新たな耐震設計基準が確立されることが望まれる。
 したがって、本院としては、当面は、今後実施される補強工事について、その計画、設計、施工等に十分留意して調査していく予定である。

C 総合所見

 我が国は、世界有数の地震国であり、過去、関東大地震、宮城県沖地震等の幾度の大規模地震によって、しばしば甚大な被害を受けてきた。そして、今回の震災により、道路、鉄道、港湾等の公共土木施設は極めて多大な被害を受けたが、その被災原因は、設計上の想定を上回る地震力を受けたことによると考えられている。
 今後、今回のように大規模な地震が発生した場合、再び多数の人命及び財産の損失を招く危険性があり、被害を最小限度にとどめるための対策が早急に必要である。
 このため、新設する構造物の設計、施工を耐震設計基準に準拠して適切に行い、また、既存の構造物に対する補強対策を計画的に実施するとともに、新たな耐震設計基準を早急に確立することが重要である。
 本院では、構造物の設計、施工に関しては、従来から重点を置いて検査を実施してきたが、設計、施工の適否は構造物の安全性に直接かかわる重要な問題であるので、本院としても、今回の震災の経験を踏まえて、工事の検査の一層の充実に努めることとする。