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義務教育費国庫負担金の経理が不当と認められるもの


(31)−(34) 義務教育費国庫負担金の経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計(組織)文部本省(項)義務教育費国庫負担金
部局等の名称 埼玉県ほか3都府県
国庫負担の根拠 義務教育費国庫負担法(昭和27年法律第303号)
事業主体 埼玉県ほか3都府県(平成5年度2府県、6年度3都県)
国庫負担の対象 公立の小学校及び中学校並びに盲学校及び聾(ろう)学校の小学部及び中学部に要する経費のうち教職員給与費等
上記に対する国庫負担金交付額の合計 平成5年度 248,700,482,226円
平成6年度 376,056,546,743円
624,757,028,969円
不当と認める国庫負担金交付額 18,975,220円
 上記の4事業主体において、国庫負担対象額の算定に当たり、国庫負担の対象にならない教員に係る給与費等を含めたり、その算定の基礎となる教職員定数を過大に算定したりしていたため、国庫負担金18,975,220円が過大に交付されていて、不当と認められる。

1 国庫負担金の概要

 (義務教育費国庫負担金の交付)

 義務教育費国庫負担金は、義務教育費国庫負担法(昭和27年法律第303号)に基づき、公立の義務教育諸学校(注1) に要する経費のうち都道府県の負担する教職員給与費等の経費について、その実支出額を国庫負担対象額とし、その2分の1を国が負担するため都道府県に交付されるものである。ただし、国庫負担対象額については、「義務教育費国庫負担法第2条但書の規定に基き教職員給与費等の国庫負担額の最高限度を定める政令」(昭和28年政令第106号)等により、都道府県の財政力に応じて、その最高限度が定められている。
 この国庫負担対象額の最高限度は、次によることとなっている。

(1) 財政力指数(注2) が1以下の都道府県(平成5年度までは地方交付税の交付団体)について教職員の職種等の区分ごとに、教職員給与費等の種類ごとの実支出額から次の額を控除するなどして算定した額の合計額

〔1〕  教職員の実数(注3) と標準定数(注4) とを比較して、実数が標準定数を超過する場合に、その超過する割合を給料等の実支出額に乗じて算定した額

〔2〕  退職手当等については、国家公務員の例に準じて文部大臣が大蔵大臣と協議して定めるところにより算定した額を超過した額

〔3〕  教育委員会の事務局、学校以外の教育機関等に勤務する教職員のうち、充て指導主事(注5) (義務教育諸学校の教員の身分を保有したまま、主に義務教育諸学校に関する指導主事の事務に従事している者に限る。)以外の者に係る給与費等

(2) 財政力指数が1を超える都道府県(5年度までは地方交付税の不交付団体)について

 当該年度の5月1日現在において算定した教職員の標準定数の合計数に、同日現在における休職者(国の規定を適用した場合の有給休職者)等の実数を加えるなどして教職員定数を算定し、この教職員定数に、毎年度教職員給与費等の種類ごとに別に政令で定める額を乗ずるなどして算定した額の合計額

 (注1)  義務教育諸学校 小学校及び中学校並びに盲(ろう)学校及び聾学校の小学部及び中学部

 (注2)  財政力指数 地方交付税法(昭和25年法律第211号)第14条の規定により算定した基準財政収入額を同法第11条の規定により算定した基準財政需要額で除して得た数値で当該年度前3年度内の各年度に係るものを合算したものの3分の1の数値

 (注3)  教職員の実数 毎月1日現在の職種区分(校長教諭等、学校栄養職員、事務職員など)ごとの実際の教職員の数

 (注4)  教職員の標準定数 「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(昭和33年法律第116号)等に定める方法により、都道府県全体の公立の義務教育諸学校について、学校の種類(小学校、中学校など)、職種区分ごとに算定された毎月の教職員の数。この数は、校長教諭等にあっては、学級数等を基とし、学校栄養職員、事務職員等にあっては、学校数等を基として算定されることとなっている。

 (注5)  充て指導主事 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第19条の規定により、大学以外の公立学校の教員の身分を保有したまま指導主事に充てる旨の発令を受けて指導主事の事務に従事している者。指導主事は、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事することとされている。

2 検査の結果

 検査の結果、財政力指数が1以下(5年度までは地方交付税の交付団体)の埼玉県ほか2府県及び財政力指数が1を超える東京都において、国庫負担金18,975,220円が過大に交付されていて不当と認められる。
 これを態様別に示すと次のとおりである。

(1) 財政力指数が1以下(5年度までは地方交付税の交付団体)の都道府県について

 教育委員会の事務局や学校以外の教育機関に勤務する教員のうち、国庫負担の対象にならない者に係る給与費等を含めて国庫負担対象額を算定していたもの

大阪府、埼玉、静岡両県

(2) 財政力指数が1を超える都道府県について

 教職員定数の算定を誤っていたもの

東京都

 これを、都府県別に示すと次のとおりである。

都府県名 年度 国庫負担対象額 左に対する国庫負担金 不当と認める国庫負担対象額 不当と認める国庫負担金

(31) 

埼玉県


6

千円
247,940,958
千円
123,970,479
千円
13,709
千円
6,854
(1) 埼玉県では、学校以外の教育機関に研修生として派遣されている教員4人に係る給与費等を含めて国庫負担対象額を算定していた。
 しかし、これらの教員は、研修を受けているとしていたが、実際は学校以外の教育機関で職員と同様の職務に従事していて国庫負担の対象にならないものであるから、これらの者に係る給与費等を含めて国庫負担対象額を算定したのは誤りである。

(2) 同県では、教育委員会の事務局に勤務する教員2人について指導主事に充てる旨の発令がされているので、これらの教員に係る給与費等を含めて国庫負担対象額を算定していた。
 しかし、これらの教員は、教育委員会の事務局で社会教育又は高等学校教育に関する事務に従事していて、主に義務教育諸学校に関する指導主事の事務に従事している者に該当せず、国庫負担の対象にならないものであるから、これらの者に係る給与費等を含めて国庫負担対象額を算定したのは誤りである。
これらの結果、国庫負担対象額が13,709,794円過大に算定されていた。
したがって、適正な国庫負担対象額に基づき国庫負担金を算定すると、123,963,624,485円となり、6,854,897円が過大に交付されていた。

(32) 東京都

6

352,152,494 176,076,247 7,630 3,815
 東京都では、教職員定数を算定するに当たり、休職者の実数を83人としていた。
 しかし、上記の休職者の実数には、国の規定を適用した場合の有給休職者には該当しない者が2人含まれていたり、有給休職者に該当する者が1人含まれていなかったりしたのに、これらにより算定したのは誤りであり、このため、教職員定数が1人過大になっていた。
 この結果、国庫負担対象額が7,630,022円過大に算定されていた。
 したがって、適正な国庫負担対象額に基づき国庫負担金を算定すると、176,072,432,105円となり、3,815,011円が過大に交付されていた。
(33) 静岡県 5 148,858,163 74,429,081 5,990 2,995
6 152,019,640 76,009,820 7,012 3,506

小計

300,877,803 150,438,901 13,003 6,501
 静岡県では、教育委員会の事務局に勤務する教員5人について指導主事に充てる旨の発令がされているので、これらの教員に係る給与費等を含めて国庫負担対象額を算定していた。
 しかし、これらの教員は、教育委員会の事務局で所管課の事務を掌理する行政事務に従事していて、主に義務教育諸学校に関する指導主事としての事務に従事している者に該当せず、国庫負担の対象にならないものであるから、これらの者に係る給与費等を含めて国庫負担対象額を算定したのは誤りである。
 この結果、国庫負担対象額が5年度5,990,292円、6年度7,012,733円それぞれ過大に算定されていた。
 したがって、適正な国庫負担対象額に基づき国庫負担金を算定すると、5年度74,426,086,481円、6年度76,006,313,879円となり、5年度2,995,146円、6年度3,506,366円、計6,501,512円が過大に交付されていた。
(34) 大阪府

5

348,542,801 174,271,400 3,607 1,803
 大阪府では、教育委員会の事務局に勤務する教員4人について指導主事に充てる旨の発令がされているので、これらの教員に係る給与費等を含めて国庫負担対象額を算定していた。
 しかし、これらの教員は、教育委員会の事務局で所管課の事務を掌理する行政事務に従事していて、主に義務教育諸学校に関する指導主事としての事務に従事している者に該当せず、国庫負担の対象にならないものであるから、これらの者に係る給与費等を含めて国庫負担対象額を算定したのは誤りである。
 この結果、国庫負担対象額が3,607,600円過大に算定されていた。
 したがって、適正な国庫負担対象額に基づき国庫負担金を算定すると、174,269,596,799円となり、1,803,800円が過大に交付されていた。
(31)−(34) の計 5 497,400,964 248,700,482 9,597 4,798
6 752,113,093 376,056,546 28,352 14,176
1,249,514,057 624,757,028 37,950 18,975