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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成18年9月

政府開発援助(ODA)に関する会計検査の結果について


3 検査の結果に対する所見

 我が国は、4箇国を始めとしてインド洋沿岸諸国が大規模な被害を受けた前例のない津波等災害に対して、相手国の要請及び緊急首脳会議における支援措置等の合意などを受けて当面の復旧・復興に必要となる支援額としての援助の規模を決定した。
 このうち4箇国に対する緊急援助物資供与については、会計検査院は、我が国が援助の要請に応じて供与した物資が、災害発生直後の17年1月5日までに4箇国に対してすべて引き渡されていたことを、関係書類等で確認した。そして、これらの物資は、被災地に届けられその趣旨に沿って使用されているとの説明を受けた。
 また、3箇国に対する緊急無償資金協力については、我が国が援助の要請に応じて供与した資金は、使途報告書によれば、スリランカ共和国では17年4月、モルディブ共和国では同年6月までにその趣旨に沿って使用されたとしていた。そして、インドネシア共和国については、18年1月に提出された使途報告書によれば、17年2月1日に我が国から供与された資金は全額支出済みであるとしていたが、我が国以外から供与された資金も合わせた全体額について、津波等災害に関する援助のために使用されたとする報告となっており、我が国の供与した資金の具体的使途等を特定することができない状況となっていた。
 3箇国に対するノンプロ無償資金協力事業については、17年1月にインドネシア共和国に対しては146億円、モルディブ共和国に対しては20億円、スリランカ共和国に対しては80億円が供与されて以来、3箇国とも交換公文に定められた使用期限である12箇月以内に調達口座へ資金の移動がすべてなされ、我が国と各相手国との間における政府間協議会によって、分野の別に実施する案件の内容が決定されていた。
 そして、案件実施のために締結した契約の実績額について資金供与額に対する契約、締結済額の割合である契約締結率は、18年3月末現在、モルディブ共和国及びスリランカ共和国では90%以上であるのに比べて、インドネシア共和国では58.4%となっている。
 ノンプロ無償資金による事業の内容は、3箇国とも、施設の工事に係る契約が多く、契約締結に先立って工事前の詳細設計等が必要であり時間を要すること、また契約締結後も工事の完了までに相応の工期を要し、工事の進ちょくに応じて資金を支払うことになっていることから、資金供与額に対する支払済額の割合である支払率は、インドネシア共和国では20.5%、モルディブ共和国では30.2%、スリランカ共和国では42.8%となっていた。
 また、3箇国とも、供与されたノンプロ無償資金はすべて政府口座から調達口座に移動されていたが、調達口座における残高状況を見ると、ノンプロ無償資金が供与されて1年2箇月を経過した18年3月末において、インドネシア共和国では約116億円、モルディブ共和国では約14億円、スリランカ共和国では約46億円が残されていた。
 ノンプロ無償資金協力事業は、津波等災害に対する緊急援助として実施されたものであるため、相手国において、速やかに、必要な施設が建設され機材が調達されて、被災地等で災害復旧・復興のために使用されることが必要である。
 したがって、会計検査院としては、本件ノンプロ無償資金協力事業によって施設が建設され、機材が調達されて完了することとなる事業について、施設の建設や機材の調達のための資金の執行状況について引き続き検査を実施し、取りまとめが出来次第報告することとする。


 また、今回実施されたノンプロ無償資金協力事業は、従来のノンプロ無償資金協力事業と比べて大規模なものであり、対象となった事業のうちには、中長期的な事業効果が期待される施設の案件も含まれている。外務省においては、17年12月に中間評価を公表し、さらに、今後とも同様な評価を行うことにしている。
 そして、会計検査院としては、緊急援助の最終受益者である被災地の住民に援助が届き、また、中長期的な事業効果が発現されるかどうか、外務省が行う本件ノンプロ無償資金協力事業に対する評価を踏まえた上で、今後の利活用の状況について注視していく。
 なお、会計検査院は、我が国を含めた各国等からインドネシア共和国政府に供与された津波等災害の援助資金による復興再建事業に対して同国会計検査院が行う会計検査活動を支援するための国際会議等に参加し、協力を行ってきている。