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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成18年10月

特別会計の状況に関する会計検査の結果について


(1)産業投資特別会計産業投資勘定から研究開発法人への出資状況と出資先の財務状況

ア 産業投資特別会計産業投資勘定の概要

(ア)設置等の経緯

 産業投資特別会計(以下、(1)において「産投特会」という。)は、産業投資特別会計法(昭和28年法律第122号。以下「産投特会法」という。)に基づき、昭和28年8月に、経済の再建、産業の開発及び貿易の振興のために国の財政資金をもって出資及び貸付け(以下「投資」という。)を行うことを目的として設置された。そして、60年度の産投特会法改正において、それまでの社会経済情勢の変化を踏まえ、産投特会の機能を新しい時代に即応するようその目的の一つであった「経済の再建」を削除し、新たに「国民経済の発展と国民生活の向上に資する」ことを追加した。
 また、同年度において日本電信電話公社及び日本専売公社の民営化により、国の所有となった日本電信電話株式会社(以下「NTT」という。)及び日本たばこ産業株式会社(以下「JT」という。)の株式(NTT1560万株、JT200万株)のうち、NTT株式の520万株(国に保有義務が課されている発行済株式総数の3分の1に当たる株式数)及びJT株式の100万株(国に保有義務が課されている発行済株式総数の2分の1に当たる株式数)は、一般会計から産投特会に所属替えされた。これにより、産投特会の財源の充実が図られることになった。
 これらの改正を受けて、産投特会は、NTT及びJTからの配当金収入を技術開発等に活用することにして、同年度に、基盤技術研究促進センター(以下「基盤センター」という。)等が投資先となるなど技術開発等に係る新たなニーズに対応していくことになった。
 62年度には、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」(昭和62年法律第86号)が成立し、産投特会に、新たに社会資本整備勘定が設置されることとなった。これにより、産投特会は、産業投資勘定(以下、(1)において「産投勘定」という。)と社会資本整備勘定とに区分して経理されることとなった。

(イ)投資の財源及び投資先

 産投勘定の投資の財源は、投資先からの国庫納付金・配当金・貸付金利息、一般会計からの繰入金等である。
 投資先は、その設置法等に政府の出資及び国庫納付等の規定がある機関であり、財政投融資計画の運用対象となっている。投資は、産投特会の目的に合致し、公益性が高く、かつ、収益性が期待できるが民間だけでは十分にリスクを負えない分野の事業を対象としている。
 60年度以降、技術開発に係る分野の事業がある投資先(以下「研究開発法人」という。)への投資が順次始まった。研究開発法人(以下、これらの法人のうち平成17年度末に存する法人を「現法人」、現法人へ事業を承継する前の法人を「旧法人」という。)の名称等は、表4—(1)—1のとおりである。なお、この後の記述においては、法人名は旧法人(基盤センターを除く。)に係る投資等の事態に関することも含め、現法人の略称で記述する。

表4—(1)—1 研究開発法人の名称等
投資開始年度
旧法人
現法人(17年度末)
主務省等
名称
名称
略称
設立年月
昭和60年度
基盤技術研究促進センター
総務省、経済産業省
昭和60年度
日本科学技術情報センター
科学技術振興事業団
(独)科学技術振興機構
JST
15年10月
文部科学省
昭和63年度
新エネルギー・産業技術総合開発機構
(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構
NEDO
15年10月
経済産業省
昭和61年度
生物系特定産業技術研究推進機構
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構
NARO
15年10月
農林水産省、財務省
昭和60年度
情報処理振興事業協会
(独)情報処理推進機構
IPA
16年1月
経済産業省
昭和63年度
通信・放送機構
(独)情報通信研究機構
NICT
16年4月
総務省
昭和62年度
医薬品副作用被害救済・研究振興基金
医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構
(独)医薬品医療機器総合機構
(独)医薬基盤研究所
NIBIO
17年4月
厚生労働省
注(1)
 産投勘定からの投資に係る事業は、旧法人から現法人の独立行政法人に承継されている。旧法人が複数ある法人は、左欄の法人から右欄の法人へ産投勘定からの投資に係る事業が承継されている。基盤技術研究促進センターは15年4月に廃止されている。
注(2)
 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構は、18年4月に(独)農業・食品産業技術総合研究機構となり、同機構へ産投勘定からの投資に係る事業が承継されている。

イ 研究開発法人への出資

(ア)出資残高等の推移

 これら7研究開発法人に対する出資残高は、図4—(1)—1のとおり、昭和60年度以降毎年度累増し、平成15年4月の基盤センターの廃止による出資償却などで大幅に減少したものの、17年度末は3428億円となっている。

図4—(1)—1 研究開発法人への出資残高の推移

図4—(1)—1研究開発法人への出資残高の推移

 また、出資額の推移を研究開発法人別にみると、図4—(1)—2のとおり基盤センターへの出資が最も大きく、当初の昭和60年度80億円、61年度以降平成12年度までは148億円から250億円の間で推移していたが、12年度で終了した。そして、13年度からは、NEDO及びNICTへの出資が大きくなり、両法人へはそれぞれ13年度は約130億円、14年度から16年度は約100億円、17年度は約70億円が出資されている。7研究開発法人全体では昭和60年度から平成17年度までの出資額の累計額は6348億円に達している。

図4—(1)—2 研究開発法人への出資額の推移

図4—(1)—2研究開発法人への出資額の推移

(イ)基盤センター等に対する出資額変動の背景

 基盤センターでは、民間における基盤技術に関する試験研究(以下「基盤技術研究」という。)を促進する目的で、昭和60年度以降、産投勘定から出資を受けて、主として複数の民間企業と共同で設立する研究開発会社に出資を行い、民間の共同研究による基盤技術研究を支援していた。そして、研究開発の成果である特許権等から得られる利益による配当等で出資金の回収を図ることとしていた。なお、基盤技術研究に対する支援の一部は融資による方法で実施していた。
 その後、総務省及び経済産業省は、基盤技術研究の促進に一定の成果はあったものの、〔1〕競合する企業間で実用化の最終段階まで共同研究を継続することは難しいことなどの要因により、出資金の回収が困難であることが明らかになってきたこと、〔2〕会計処理上、これまでの出資による研究開発費の支出は資産として計上することとされていたが、この種の支出は費用化すべきであるとする近年の企業会計基準にそぐわなくなったことなどから、基盤センターによる基盤技術研究促進制度の見直しを行った。そして、産投勘定の出資金を活用した基盤技術研究に関する支援事業は、平成13年7月からNEDO及びNICTによって、新たなスキームで実施されることとなり、基盤センターは15年4月に解散した。この新たなスキームでは、従来の共同出資・共同研究による研究開発会社に対する出資方式を、単独企業も対象とした委託方式による研究開発事業に改めた。当該研究開発事業の成果に係る知的財産権については、日本版バイ・ドール制度(注6) によって受託企業等に帰属させ、研究成果の事業化に成功した場合には、その収益(利益)の一部(16年度からは売上の一部)をNEDO及びNICTに納付させることとしている。
 そして、政府は、13年12月に閣議決定を行った「特殊法人等整理合理化計画」の中でNEDO、NICT、NIBIO、NARO及びIPAに対して、産投勘定からの出資を受けて実施する委託又は出資による研究開発業務等については収益改善策を検討しつつ収益可能性のある場合等に限定することとした。
 これにより、これらの研究開発法人においては、新規事業の採択に当たっては、外部有識者による評価に基づき、評価の客観性等を確保の上、技術評価及び事業化評価を厳格に行い、特に事業化評価により委託の応募案件の中から採択する案件を一定水準以上の収益が見込まれるものに限定するなど、収益改善に向けた措置を講じている。また、NIBIO等は、順次、共同出資・共同研究による出資方式を日本版バイ・ドール制度を適用した委託方式に改めるなどしている。
 財務省においては、上記の評価に係る制度が適正に運営され収益可能性が確保されているかなどを確認の上、出資を実行することにしている。

(注6)
 日本版バイ・ドール制度 産業活力再生特別措置法(平成11年法律第131号)第30条の規定により、政府資金を供与して行う委託研究開発(独立行政法人等を通じて行うものを含む。)に係る知的財産権について、所定の条件を受託者が約する場合に、100%受託企業に帰属させることを可能とする制度である。なお、この制度は、米国で1980年に民主党バーチ・バイ上院議員と共和党ロバート・ドール上院議員を中心とした超党派議員が成立させたバイ・ドール法(改正特許法)を参考にしている。


ウ 検査の対象等

 上記の基盤センター等に対する出資額変動の背景を踏まえて、7研究開発法人を対象として、産投勘定からの13年度から17年度までの出資額及び残高の推移等の出資状況と出資先である各研究開発法人における17年度末の繰越欠損金の状況、今後の回収見込み、出資の償却状況等の財務状況について検査を実施した。
 検査に当たっては、産投特会を所管する財務省、産投勘定から投資が行われている77研究開発法人の主務省等である総務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省及び経済産業省並びに廃止された基盤センターを除く6研究開発法人(基盤センターの業務を承継した研究開発法人を含む。)を実地に検査し、各種の決算関係書類、省庁別財務書類等の資料の提出を受け、説明の聴取等を行った。

エ 研究開発法人への出資状況と出資先の財務状況

(ア)研究開発法人への出資状況

 13年度から17年度までの間における7研究開発法人への出資状況について、出資先の業務内容により区分経理されている勘定(勘定区分のない基盤センターの会計についても便宜上1勘定として数える。以下「出資先勘定」という。)の別にみると、表4—(1)—2のとおり、12年度末出資残高(11勘定)5114億円、13年度から17年度までの18勘定の合計で、新規出資額1228億円、出資回収額39億円、出資償却額2879億円、7研究開発法人以外からの承継額5億円となっている。
 前記の特殊法人等整理合理化計画等により、研究開発法人においては、産投勘定からの出資を受けて実施する委託又は出資による研究開発業務等は、収益改善策を検討しつつ、外部有識者による評価に基づき、収益可能性のある場合等に限定することとなった。このことなどから、基盤センターを除く6研究開発法人への産投勘定からの新規出資額は、13年度から17年度まで順次346億円、258億円、243億円、213億円、166億円となっており、減少傾向にある。
 そして、会計検査院において、出資先勘定を17年度までの業務状況等から態様別に区分して整理すると、〔1〕引き続き事業を実施していく勘定(以下「事業型勘定」という。)は、NEDO、NICT、NIBIO、IPA及びJSTの各1勘定の合計5勘定、〔2〕法令で定められた勘定の廃止時期まで、既に実施した出資金等の管理、回収業務のみを行うなどしたり、勘定の廃止時期は定められていないが、既に実施した出資金の管理、回収業務のみを行ったりしていく勘定(以下「管理型勘定」という。)は、NEDOの3勘定、NICTの2勘定、NIBIOの1勘定、NAROの1勘定及びIPAの2勘定の合計9勘定、〔3〕事業の終了により廃止した勘定(以下「廃止勘定」という。)は、基盤センターの1勘定、NICTの1勘定及びIPAの2勘定の合計4勘定である。
 17年度末現在の産投勘定出資残高は、上記の廃止勘定4勘定を除いて、6研究開発法人の14勘定3428億円である。同金額は、産投勘定の決算参照書の貸借対照表に計上される出資金の金額に含まれる研究開発法人への出資金相当額である。
 これに対して、17年度省庁別財務書類が作成前であることから、会計検査院において、同書類の出資金の貸借対照表価額の算定方法(以下「省庁別財務書類算定方法」という。)に従ってこれらの研究開発法人に対する出資金の評価額を試算すると、出資先(研究開発法人)勘定における財務状況を基にして一部の出資金の価値を強制評価減することになるので、当該評価額は1104億円となった。これは、出資先勘定別の純資産における産投勘定出資相当分合計1014億円とおおむね等しくなっている。

表4—(1)—2 13年度以降出資先勘定別の出資状況

(単位:百万円)

出資先名
産投勘定からの出資額
17年度末産投勘定出資相当純資産額
省庁別財務書類算定方法による17年度末出資金の評価額
(B)
強制評価減
(B)-(A)
態様
 
勘定名
12年度末残高
13年度
14年度
15年度
16年度
17年度
17年度末残高
(A)
 NEDO:独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
 
基盤技術研究促進勘定
 
12,635
10,679
9,837
9,422
7,041
49,614
10,402
10,402
-39,211
事業
鉱工業承継勘定
 
 
 
○18,312
18,312
17,603
18,312
0
管理
研究基盤出資経過勘定
9,533
9,533
3,368
4,439
-5,093
管理
特定事業活動等促進経過勘定
 
 
 
 
☆500
500
665
500
0
管理
NEDO小計
9,533
12,635
10,679
28,149
9,922
7,041
77,959
32,040
33,654
-44,304
 
 NICT:独立行政法人情報通信研究機構
 
基盤技術研究促進勘定
 
13,000
10,694
10,377
9,800
7,560
51,431
7,048
7,048
-44,382
事業
通信・放送承継勘定
 
 
 
○18,866
18,866
17,564
18,866
0
管理
出資勘定
5,350
5,350
2,637
2,972
-2,377
管理
衛星所有勘定
7,500
△3,154
▲4,345
 
 
 
 
 
廃止
NICT小計
12,850
13,000
10,694
29,243
2,300
7,560
75,647
27,251
28,887
-46,759
 
 NIBIO:独立行政法人医薬基盤研究所
 
研究振興勘定
 
 
 
 
600
1,000
1,600
305
305
-1,294
事業
承継勘定
26,391
1,635
1,400
1,200
30,626
5,114
5,114
-25,512
管理
NIBIO小計
26,391
1,635
1,400
1,200
600
1,000
32,226
5,419
5,419
-26,807
 
 NARO:独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構
 
民間研究促進業務勘定
29,901
1,057
802
453
32,213
8,685
9,537
-22,675
管理
 IPA:独立行政法人情報処理推進機構
 
事業化勘定
 
 
10
178
72
7
267
27
27
-239
事業
地域事業出資業務勘定
4,000
4,000
2,971
4,000
0
管理
特定プログラム開発承継勘定
45,550
2,600
48,150
10,327
10,058
-38,091
管理
技術事業勘定
14,288
△83
▲14,204
 
 
 
 
 
 
廃止
地域ソフトウェア教材開発承継勘定
1,750
△761
▲988
 
 
 
 
 
廃止
IPA小計
65,588
2,600
10
-14,110
-1,678
7
52,417
13,326
14,085
-38,331
 
 JST:独立行政法人科学技術振興機構
 
文献情報提供勘定
61,600
3,700
2,300
2,300
1,500
1,000
72,400
14,704
18,845
-53,554
事業
 
 基盤技術研究促進センター
305,590
●37,178
▲268,411
 
 
 
 
 
 
廃止
合計
(新規出資額)
511,454
34,627
(34,627)
25,885
(25,885)
-258,354
(24,345)
12,644
(21,394)
16,608
(16,608)
342,863
(122,859)
101,426
110,430
-232,432
 
注(1)
 勘定名は17年度または廃止時のものである。
注(2)
 △は出資回収額(合計3,999百万円)を、▲は出資償却額(同287,950百万円)を表している。
注(3)
 NEDOの鉱工業承継勘定及びNICTの通信・放送承継勘定は、基盤技術研究促進センターの解散時における残余財産及び権利義務を15年4月に分割して承継したものである。○及び●はこれに伴う出資金の承継額及び被承継額を表している。
注(4)
 ☆は、16年7月に廃止された産業基盤整備基金のリサイクル等経理からの出資金の承継額を表している。
注(5)
 IPAの事業化勘定と特定プログラム開発承継勘定は、16年1月に振興勘定(戦略的ソフトウェア開発業務経理)を分割して承継したものである。

(イ)出資先の財務状況

 出資先勘定別の財務状況について、前記の態様別にみると以下のとおりである。

〔1〕 事業型勘定

 事業型勘定は5勘定あり、17年度末の財務状況は表4—(1)—3のとおりである。5勘定を事業の内容により整理すると、NEDO、NICT及びNIBIOの3勘定においては民間企業等への研究委託が行われており、IPAの1勘定においてはソフトウェアの開発及び普及の支援が行われており、JSTの1勘定においては科学技術文献情報データベースの整備、提供が行われている。これら5勘定においては、産投勘定出資残高は1753億円(省庁別財務書類算定方法による評価額366億円)となっていて、繰越欠損金1596億円(産投勘定出資相当分1428億円)を抱え、純資産額は366億円(産投勘定出資相当分324億円)となっている。

表4—(1)—3 事業型勘定 (平成17年度末現在)
研究開発法人
NEDO
NICT
NIBIO
IPA
JST
合計
主務省
経済産業省
総務省
厚生労働省
経済産業省
文部科学省
勘定名
基盤技術研究促進勘定
基盤技術研究促進勘定
研究振興勘定
事業化勘定
文献情報提供勘定
業務内容等
鉱工業分野の基盤技術に係る研究開発を行う民間企業等への研究委託
情報通信分野の基盤技術に係る研究開発を行う民間企業等への研究委託
新規の医薬品や医療機器に係る研究開発を行う民間企業等への研究委託
公共性の高いソフトウェアの開発等の支援
(18年度は産投勘定から出資の予定はない。)
科学技術文献情報データベースの整備、提供(17年度末情報資産52億余円)、16年度に経営改善計画を策定
 
事業開始
平成13年度
平成13年度
平成16年度
平成14年度
昭和32年度
 
産投出資期間
平成13年度〜
平成13年度〜
平成16年度〜
平成14年度〜
昭和60年度〜
 
委託期間
3〜5年
3〜5年
3年(2年間延長可能)
1年
 
納付期間
10年(5年間延長可能)
10年(5年間延長可能)
15年(5年間延長可能)
無期限
 
事業のスキーム
公募→外部有識者の外部評価に基づき採択を決定→契約締結→成果の事業化による収益(16年度採択分からは売上)の一部の納付を受ける
(委託費等の財源として産投勘定から出資を受ける)
公募→外部評価により採択を決定→契約締結→ソフトウェアの売上の一部の納付を受ける
(開発費等の財源として産投勘定から出資を受ける)
データベースの整備→提供→利用料収入
(事業費のうち利用料収入等で賄えない部分について産投勘定から出資を受ける)
 
産投出資残高
49,614百万円
51,431百万円
1,600百万円
267百万円
72,400百万円
175,312百万円
民間出資金等
一般会計出資金
20,676百万円
 
民間出資金
57百万円
 
資本剰余金
276百万円
28百万円
 
基本財産
10,000百万円
6,600百万円
16,600百万円
採択件数
(うち納付があった件数)
83件
(0件)
43件
(4件)
8件
(0件)
4件
(2件)
 
委託費累計額等
39,404百万円
46,594百万円
1,549百万円
241百万円
 
研究開発法人への納付額
4百万円
7百万円
 
繰越欠損金
(産投勘定出資相当分)
39,211百万円
(39,211百万円)
44,382百万円
(44,382百万円)
1,571百万円
(1,294百万円)
239百万円
(239百万円)
74,247百万円
(57,695百万円)
159,652百万円
(142,823百万円)
純資産額
(産投勘定出資相当分)
10,402百万円
(10,402百万円)
7,048百万円
(7,048百万円)
305百万円
(305百万円)
27百万円
(27百万円)
18,915百万円
(14,704百万円)
36,699百万円
(32,488百万円)
繰越欠損金の生じている理由
委託費は費用として処理されるが、委託先民間企業等からの収益・売上納付が発生していないか又は少額であるため。
資産計上されたソフトウェアの償却費を売上で回収できないため。
資産計上された情報資産、ソフトウェアの償却費を売上で回収できないため。
 
国庫納付のスキーム
毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、90/100を納付することなどとなっている。
 

 このうち、産投勘定からの新規出資が多く、研究委託を行っているNEDO、NICT及びNIBIOの3勘定について詳述すると次のとおりである。
 3研究開発法人は、研究テーマの公募を行い、民間企業等から提案を受け、外部有識者で構成された委員会(以下「外部評価委員会」という。)による技術面、事業化面の評価に基づいて、評価の客観性、公正性等を確認した上で採択案件を決定し、日本版バイ・ドール制度を適用した委託方式により委託契約を締結している。さらに、研究の中間段階、終了時においても、外部評価委員会による技術面、事業化面での評価を行っている。研究終了後は、事業化状況の追跡調査等を行っている。そして、前記のとおり、委託先民間企業等において当該研究成果が事業化された場合、収益又は売上の一部を一定の期間受けることとなっている。
 この3研究開発法人に対する産投勘定出資金は、基本財産(その運用益により一般管理費を賄うための財産で、債券等で構成される。)に充てられた金額以外は、主に上記の委託契約により支出する研究開発のための委託費(以下「委託費」という。)に充てられる。委託費は、独立行政法人会計基準等に基づく会計処理上、費用として計上されるが、委託先民間企業等からの納付実績がほとんどないため委託費累計額とほぼ同額が繰越欠損金となっている。
 このような状況は、一つの委託契約の研究期間が原則として3年から5年であること及び研究が終了し研究成果が実用化され収入を得るまでに相当の期間を要することから、17年度末においてはほとんどが研究期間中又は事業化への途上段階にあることなどによる。今後、研究開発が終了し事業化に成功するものが多くなり、委託先民間企業等からの納付額が増え、それが委託費を上回り単年度利益が発生するようになるならば、繰越欠損金が減少していくことになる。そして、繰越欠損金が解消されれば、その後の単年度利益のほとんどが国庫納付されることになり、産投勘定出資金の回収が行われることになる。
 事業型勘定の財務状況は、民間だけでは十分にリスクを負えない分野への出資であることや収益改善措置の効果の発現の状況が見えてくるまでにはなお時間を要することから、現段階において、将来の状況を見極めるのは困難である。したがって、事業型勘定の財務状況等及び新規事業の採択の適正性については、引き続き、注視していくことが必要である。

〔2〕 管理型勘定

 管理型勘定は9勘定あり、17年度末の財務状況は表4—(1)—4のとおりである。9勘定の事業内容は、NEDO、NICT、NIBIO、NARO及びIPAの7勘定においては研究開発会社等への出資事業(うち4勘定は融資事業を兼務)、IPAの1勘定においてはプログラムの委託開発事業、残りのNEDOの1勘定においては債務保証事業である。17年度ではこれらの事業に係る出資金及び貸付金等の管理、回収業務のみを行うなどしている。国庫納付については、7勘定では法令で定められた期限までに勘定を廃止し残余財産を国庫に納付することとなっており、2勘定では勘定廃止の期限が定められていない。
 これら9勘定においては、産投勘定出資残高は1675億円(省庁別財務書類算定方法による評価額738億円)となっていて、8勘定が繰越欠損金1044億円(産投勘定出資相当分987億円)を抱えている。残りの1勘定は、産投勘定出資金5億円に対して利益剰余金が1億円となっている。

表4—(1)—4 管理型勘定 (平成17年度末現在)
研究開発法人
NEDO
NICT
NIBIO
NARO
NEDO
主務省
経済産業省
総務省
厚生労働省
農林水産省、財務省
経済産業省
勘定名
鉱工業承継勘定
通信・放送承継勘定
承継勘定
民間研究促進業務勘定
研究基盤出資経過勘定
業務内容等
基盤センターより承継した4出資先会社の株式の管理、処分業務及び貸付債権の管理、回収業務のみを実施。なお、基盤センターからの承継資産は、債券等171億円を含む283億円である。
基盤センターより承継した13出資先会社の株式の管理、処分業務及び貸付債権の管理、回収業務のみを実施。なお、基盤センターからの承継資産は、債券等163億円を含む241億円である。
新たに設立する医薬品等の生産等の技術に係る研究開発会社に対する出資及び企業等への上記技術に係る試験研究費の融資。16年度から株式の管理、処分業務及び貸付債権の管理、回収業務のみを実施。
新たに設立する生物系特定産業技術に係る研究開発会社に対する出資及び企業等への上記技術に係る試験研究費の融資。16年度から4社への最終追加出資業務のほか、株式の管理、処分業務及び貸付債権の管理、回収業務のみを実施。
研究基盤施設を整備するために第3セクターである研究基盤施設設備法人5社に対して出資した株式の管理、処分業務のみを17年度まで実施。18年4月1日勘定廃止。
産投出資期間
平成15年4月1日承継
平成15年4月1日承継
昭和62年度〜平成15年度
昭和61年度〜平成15年度
昭和63年度〜平成4年度
産投出資残高
18,312百万円
18,866百万円
30,626百万円
32,213百万円
9,533百万円
民間出資金等
80百万円
51百万円
4,031百万円
資本剰余金等
42百万円
△0百万円
817百万円
872百万円
基本財産
2,200百万円
8,131百万円
1,000百万円
企業等への出資累計額
4社
958百万円
13社
1,851百万円
15社
28,426百万円
46社
28,608百万円
5社
8,533百万円
清算等による回収額
3社
237百万円
13社
396百万円
7社
173百万円
22社
786百万円
5社
1,335百万円
上記に係る確定処分損益
3社
△661百万円
13社
△1,455百万円
7社
△10,436百万円
22社
△12,992百万円
5社
△7,197百万円
保有中の株式等の評価損益
1社
8社
△17,448百万円
24社
△14,266百万円
保有中の株式等の評価額
1社
60百万円
8社
367百万円
24社
562百万円
出資に係る処分・評価損益
4社
△661百万円
13社
△1,455百万円
15社
△27,884百万円
46社
△27,259百万円
5社
△7,197百万円
繰越欠損金
(産投勘定出資相当分)
754百万円
(708百万円)
1,305百万円
(1,301百万円)
25,512百万円
(25,512百万円)
27,289百万円
(23,527百万円)
7,037百万円
(6,164百万円)
純資産額
(産投勘定出資相当分)
17,680百万円
(17,603百万円)
17,613百万円
(17,564百万円)
5,114百万円
(5,114百万円)
9,772百万円
(8,685百万円)
3,368百万円
(3,368百万円)
繰越欠損金の主な理由
株式の処分損
株式の処分損
株式の処分損及び出資先会社の純資産額を基にした株式評価損
株式の処分損及び出資先会社の純資産額を基にした株式評価損
株式の処分損
債券等
現金及び預金
2,640百万円
債券
13,341百万円
預託金
1,000百万円
長期性預金
700百万円
現金及び預金
2,313百万円
債券
15,849百万円
現金及び預金
374百万円
債券
1,426百万円
預託金
2,900百万円
現金及び預金
1,006百万円
債券
8,493百万円
預託金
400百万円
現金及び預金
3,368百万円

回収スキーム
勘定廃止の際、残余財産を国庫納付するもの
勘定廃止の際、残余財産を国庫納付するもの
勘定廃止の際、残余財産を国庫納付するもの
18年4月以降特例業務勘定になり、勘定廃止の際、残余財産を国庫納付するもの
18年4月1日勘定廃止、18年8月に残余財産3,368百万円国庫納付
廃止予定時期
平成25年度
平成24年度
平成35年度
平成27年度
(平成18年度廃止済)
 
研究開発法人
NICT
IPA
IPA
NEDO
合計
主務省
総務省
経済産業省
経済産業省
経済産業省
勘定名
出資勘定
地域事業出資業務勘定
特定プログラム開発承継勘定
特定事業活動等促進経過勘定
業務内容等
1 研究開発基盤施設の整備や通信・放送サービスの提供等を行う会社10社に対して出資した株式の管理、処分業務のみを実施。
2 情報通信ベンチャーに投資を行うテレコムベンチャー投資事業組合への出資の管理業務のみを実施。
高度なIT人材育成等を行う承認業者20社(地域ソフトウェアセンター)に対して出資した株式の管理、処分業務のみを実施。
企業に開発費を支給して開発したプログラムの権利を開発企業と共有することにより生じた対価(プログラム譲渡債権)の回収及びプログラムの販売実績に応じたロイヤリティ(実施料)の収納の業務のみを実施。
産業基盤整備基金から承継した債務保証事業(2事業者に対するリサイクル設備の設置に必要な資金の借入れに係る債務保証額855百万円)
 
産投出資期間
平成4年度〜平成10年度
平成元年度〜平成6年度
昭和61年度〜平成13年度
平成16年7月1日承継
 
産投出資残高
5,350百万円
4,000百万円
48,150百万円
500百万円
167,551百万円
民間出資金等
4,000百万円
資本剰余金等
36百万円
△0百万円
△43百万円
基本財産
11,331百万円
企業等への出資累計額
11社
5,200百万円
20社
8,000百万円
〔1〕企業へ支給したプログラム開発費502億円、〔2〕プログラム譲渡債権、ロイヤリティの収入額379億円、〔3〕〔2〕の収入額から開発費以外の事業費及び管理費への支出類約260億円、〔4〕17年度末プログラム譲渡債権7億円
114社
81,577百万円
清算等による回収額
7社
940百万円
2社
602百万円
59社
4,472百万円
上記に係る確定処分損益
6社
△985百万円
2社
△197百万円
58社
△33,926百万円
保有中の株式等の評価損益
5社
△1,814百万円
18社
△1,852百万円
56社
△35,382百万円
保有中の株式等の評価額
5社
1,459百万円
18社
5,347百万円
56社
7,796百万円
出資に係る処分・評価損益
11社
△2,800百万円
20社
△2,050百万円
114社
△69,308百万円
繰越欠損金
(産投勘定出資相当分)
2,749百万円
(2,712百万円)
2,056百万円
(1,028百万円)
37,778百万円
(37,822百万円)
利益剰余金165百万円
(利益剰余金165百万円)
104,482百万円
(98,778百万円)
利益剰余金165百万円
純資産額
(産投勘定出資相当分)
2,637百万円
(2,637百万円)
5,942百万円
(2971百万円)
10,327百万円
(10,327百万円)
665百万円
(665百万円)
73,122百万円
(68,938百万円)
繰越欠損金の主な理由
株式の処分損及び出資先会社等の純資産額を基にした株式等評価損
株式の処分損及び出資先会社の純資産額を基にした株式評価損
開発費、その他の事業費及び管理費の支出より収入が少なかったため
保証債務損失引当金戻入益
 
債券等
現金及び預金
876百万円
長期性預金
300百万円
現金及び預金
95百万円
債券
499百万円
現金及び預金
46百万円
債券
9,289百万円
長期性預金
200百万円
現金及び預金
610百万円
預託金
150百万円
65,880百万円
回収スキーム
毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、90/100を納付することなどとなっている。
勘定廃止の際、残余財産を国庫納付するもの
勘定廃止の際、残余財産を国庫納付するもの
 
廃止予定時期
未定
未定
平成19年度
平成23年度
 
注(1)
 NEDOの鉱工業承継勘定及びNICTの通信・放送承継勘定には、産投出資金を原資とする貸付金(特別融資)の残高が622百万円及び687百万円ある。
注(2)
 NICTの出資勘定においては、「企業等への出資累計額」11社、5,200百万円のうちにテレコムベンチャー投資事業組合への出資金1,000百万円を含めている。そして、「清算等による回収額」のうちに同組合からの分配金による収入126百万円を含めている。「上記に係る確定処分損益」は、同組合を除く6社に係る損益である。
注(3)
 出資先会社からの配当金収入累計額は、上記の表には計上していないが、NEDOの鉱工業承継勘定において2社から5百万円、NAROの民間研究促進業務勘定において1社から37百万円ある。

 表4—(1)—4等を基にして、9勘定について、17年度末の資産、負債及び純資産の状況を合計で示すと図4—(1)—3のとおり、資産総額は816億円、負債総額は85億円、差引き純資産額は731億円(産投勘定出資相当分689億円)となる。このうち主なものについて述べると次のとおりである。
 関係会社株式等は、研究開発会社等への出資事業を行う7勘定で出資をした株式等である。研究開発会社等において、当該出資金は研究経費等として費消され費用化されるが、費用よりも研究成果に基づく収益が少ないなどのため、欠損金が累積した。このため、期待される収益が管理コストを下回ると判断される場合などは、民間出資者等との調整を図りつつ、清算等により株式の処分を行ってきた。また、処分が行われていない株式等については独立行政法人化に伴い純資産額を基にして評価換えを行ってきた。この結果、関係会社株式等は、表4—(1)—4のとおり、出資累計額815億円から研究開発会社等の清算等による回収額44億円、処分損(出資額から処分による回収額を控除した金額)339億円、処分が行われていない株式等に係る評価損353億円を控除し、残額77億円となった。処分損と評価損の合計693億円は、前記繰越欠損金合計1044億円が生じた主な要因となっている。

図4—(1)—3 9勘定合計の資産、負債及び純資産の状況(平成17年度末現在)

(単位:億円)
(単位:億円)
注(1)
 産投勘定からの借入金、貸付金は、4勘定の融資事業に係るものである。
注(2)
 NEDOの研究基盤出資経過勘定は、18年4月1日に廃止され、18年8月に残余財産(現金及び預金)3,368百万円が国庫納付された。
注(3)
 NAROは、18年4月より、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構となり、新しい民間研究促進業務勘定で日本版バイ・ドール制度を適用した委託方式による事業を開始し、17年度までの民間研究促進業務勘定での株式の管理、処分業務及び貸付債権の管理、回収業務は特例業務勘定を設けて続けている。そして、17年度までの民間研究促進業務勘定から81億円(産投勘定出資金41億円、民間出資金等40億円)を新しい民間研究促進業務勘定の出資金(見合いの資産はほとんどが債券等)としたため、管理型勘定に該当する特例業務勘定では、この分の債券等が減少した。

 債券等(国債、政府保証債等の債券、現金及び預金など)は資産の80.7%を占め658億円である。債券等を保有している要因は、基盤センターから承継したこと、基本財産として保有することを条件に出資を受けたこと及びプログラム譲渡債権や関係会社株式等の回収金が転化していることなどである。
 産投勘定出資残高1675億円の回収については、図4—(1)—3のとおり、純資産731億円が基礎になる。債券等で担保されている部分(17年度末では658億円)は金利の動向等の影響など不確定要素はあるものの、想定外の管理費用等が発生しない限り回収可能と思料される。また、関係会社株式等77億円は今後の株式等の価値の変動が回収額を変動させる主な要因になる。これら株式等については、研究開発法人において、研究成果から期待される収益が管理コストを下回ると判断された場合などは、速やかに株式を処分するなどし、回収額やその価値が最大になるように、適切な管理、処分をすることが必要である。
 管理型勘定へ産投勘定から出資した額については、各勘定の財務諸表等によりその債券等及び株式等の資産状況に留意し、産投勘定への回収状況等を注視していくことが必要である。

〔3〕 廃止勘定

 廃止勘定は4勘定あり、その概要は表4—(1)—5のとおりである。このうち基盤センターは、産投勘定出資累計額3055億円からNEDO、NICTの承継勘定に承継されたもの371億円を控除した2684億円が出資償却額となるなど4勘定すべてにおいて勘定廃止の際に産投勘定出資償却額が生じており、その合計額は2879億円となっていた。そして、同金額の産投勘定出資累計額3291億円に対する割合は87.5%に達していた。このように多額の出資償却額を生じた事態については、今後の産投勘定の出資に当たり、十分に留意する要がある。

表4—(1)—5 廃止勘定 (平成17年度末現在)
研究開発法人
基盤センター
IPA
NICT
合計
主務省等
総務省、経済産業省
経済産業省
総務省
勘定名
勘定区分なし
技術事業勘定
地域ソフトウェア教材開発承継勘定
衛星所有勘定
業務内容
民間における基盤技術に関する試験研究の促進を目的とした出資及び融資
大型コンピュータ用ソフトウェアの開発の生産性を向上させるためのシステム構築事業
IT人材育成のために開発した教材に係る債権回収
BSデジタル等実験・試験放送を行う放送事業者への放送衛星の中継器の提供
 
事業開始
昭和60年度
昭和60年度
平成元年度
昭和63年度
 
産投出資期間
昭和60年度〜平成12年度
昭和60年度〜平成6年度
平成元年度〜平成10年度
昭和63年度〜平成3年度
 
産投出資累計額
305,590百万円
14,288百万円
1,750百万円
7,500百万円
329,128百万円
民間出資金等
民間出資金
5,053百万円
民間出資金
5,454百万円
 
日本政策投資銀行出資金
4,200百万円
産投持分
97.1%
72.4%
100%
100%
 
産投出資回収額
83百万円
761百万円
3,154百万円
3,999百万円
産投出資償却額
268,411百万円
14,204百万円
988百万円
4,345百万円
287,950百万円
産投出資償却率
87.8%
99.4%
56.5%
57.9%
87.5%
他法人へ承継した産投出資額
NICTへ18,866百万円
37,178百万円
NEDOへ18,312百万円
廃止の経緯
資金回収の困難性が明らかになってきたことなどから、事業の見直しにより廃止が決定された。
市場の変化により需要が低下したことなどから、事業見直しにより廃止が決定された。
債権回収業務が終了したため、廃止された。
景気低迷等により利用が落ち込んだことなどから、事業見直しにより廃止が決定された。
 
廃止に伴う処理
NICTに産投出資金18,866百万円、産投借入金4,888百万円を、NEDOに産投出資金18,312百万円、産投借入金9,322百万円を承継した。
残余財産の処分により得た115百万円を出資者に分配し、産投勘定の持分相当額83百万円を国庫に返納した。
残余財産の処分により得た761百万円を国庫に返納した。
残余財産の処分により得た3,154百万円を国庫に返納した。
 
出資償却の原因
出資先会社112社のうち95社の株式処分による損失額2,765億円を減資して処理したため。
事業費をシステムの売上で回収しきれなかったため。
教材の開発費用を教材の売上等で回収しきれなかったため。
産投出資金を原資に取得した中継器の減価償却費及び運営経費を、利用料収入で回収しきれなかったため。
 
廃止時期
平成15年4月1日
平成16年1月5日
平成16年3月31日
平成16年4月1日
 
(注)
 NICTの旧法人である通信・放送機構は、平成16年4月1日に解散し、その資産及び債務は、国が承継する資産を除き、同日においてNICTが承継することとされた。衛星所有勘定に属する残余財産については、国が承継するものとされ、NICTは承継していない。


オ 検査のまとめ

 13年度から17年度までの間における産投勘定から7研究開発法人への出資状況については、出資先の12年度末出資残高(11勘定)5114億円、13年度から17年度までの18勘定の合計で、新規出資額1228億円、出資回収額39億円、出資償却額2879億円、7研究開発法人以外からの承継額5億円となっており、17年度末出資残高は6法人14勘定で3428億円(省庁別財務書類算定方法による評価額1104億円)である。
 13年12月の特殊法人等整理合理化計画等により、研究開発法人が委託又は出資により行う研究開発業務等は、収益改善策を検討しつつ、外部有識者による評価に基づき、収益可能性のある場合等に限定することとなった。このことなどから、廃止された基盤センターを除く6研究開発法人への産投勘定からの新規出資額は、13年度から17年度まで順次346億円、258億円、243億円、213億円、166億円となっており、減少傾向にある。
 17年度末の出資先(研究開発法人)の財務状況を勘定の態様別にみると次のとおりである。
〔1〕 事業型勘定5勘定への産投勘定出資残高は1753億円であり、その財務状況は5勘定で繰越欠損金1596億円(産投勘定出資相当分1428億円)を抱えている。しかし、収益改善措置の効果の発現の状況が見えてくるまでにはなお時間を要することなどから、現段階において、将来の状況を見極めるのは困難である。事業型勘定の財務状況等及び新規事業の採択の適正性については、引き続き、注視していくことが必要である。
〔2〕 管理型勘定9勘定への産投勘定出資残高は1675億円であり、その財務状況は8勘定で繰越欠損金1044億円(産投勘定出資相当分987億円)を抱えている。9勘定の17年度末の資産総額は816億円、負債総額は85億円、差引き純資産額は731億円(産投勘定出資相当分689億円)である。管理型勘定に対する産投勘定出資額の回収については、この純資産が基礎になる。管理型勘定へ産投勘定から出資した額については、各勘定の財務諸表等によりその債券等及び株式等の資産状況に留意し、産投勘定への回収状況等を注視していくことが必要である。
〔3〕 廃止勘定4勘定は、勘定廃止の際に産投勘定出資償却額が生じており、その合計額は2879億円となっていた。このように多額の出資償却額を生じた事態については、今後の産投勘定の出資に当たり十分に留意する要がある。