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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成18年10月

財投機関における財政投融資改革後の財務状況と特殊法人等改革に伴う財務処理の状況について


5 所見

 財投機関の財務状況は、特殊法人等改革や財投改革を経て、大きな変化を遂げた。
 12年度報告における検査対象42法人の12年度決算と、統廃合や独立行政法人化等を経た後の今回の検査対象37法人の16年度決算は、法人数の違いや会計基準の変更等により単純な比較はできないが、資産及び負債の規模が大幅に縮小するとともに、損失金を計上している法人が減少し、国からの財政支出を伴う財政負担も軽減した。

(1)特殊法人等改革による財投機関の財務への影響について

 新規設立法人への資産等承継に際しては、会計処理方法の変更等により資産が2兆8034億円減少するなど、資産評価等による新たな損失が発生した。そして、こうした損失や承継前の累積欠損金は、政府出資金の償却2兆1106億円や、将来において財政負担が予定される未収財源措置予定額の計上2073億円などで解消した法人がある一方、累積欠損金が更に拡大した法人もある。
 また、廃止事業については、最終の決算において総額で3560億円の欠損金が発生し、それに伴って2988億円の政府出資金が回収不能となっている。さらに、廃止予定事業については、16年度決算では、廃止予定事業勘定12勘定のうち8勘定において総額で945億円の累積欠損金が計上されている。
 したがって、新規設立法人については、将来更なる財政負担が生ずることのないよう効率的な事業運営に努めることが重要である。また、今後組織改革や財投事業の廃止が予定されている法人については、上記の状況を踏まえた事業運営を行うことが重要であり、改廃に伴う財政負担の有無の状況を含め、今後の事業の運営状況及び収支の推移について注視していくこととする。

(2)財投改革後の財投事業に係る資金調達の状況について

 財投改革後の財投事業に係る資金調達の実施状況についてみると、財投債の発行など財政融資資金の資金調達方法の改革により、財投機関の財政融資資金に係る資金調達コストは低減するとともに、返済条件や据置期間の有無などの償還形態を反映した多様な財政融資資金の借入れが可能となり、財投機関債の発行等と併せて、財投機関における資金調達方法も多様化した。そして、検査対象とした財投機関に対する財政投融資は16年度で11兆円と改革前の12年度20兆円の約5割の水準まで低下する一方、財投機関債の発行による市場からの資金調達は約3兆円の規模に拡大した。
 財投資金について、12年度と16年度の資金別の状況を比較すると、財政融資資金の調達は大幅に減少したのに対し、政府保証債は、道路関係4公団の資金調達の影響もあり、1654億円と小幅な減少にとどまっている。また、財投機関債は、その発行自体が新たなコストの増加要因になるとともに、財投機関債の発行金利は、法人の事業スキームや収支構造、資金調達方法の相違による格差が生じている。
 したがって、政府保証債については、道路関係4公団の発行額について今後の推移を注視していくこととする。また、今後の財投機関債の発行に当たっては、その導入目的に沿って事業運営の透明性の向上と業務の一層の効率化を図るとともに、資金調達コストを可能な限り抑えるよう努めることが重要であり、その発行状況と併せて、法人の事業運営等の状況を注視していくこととする。

(3)12年度報告に掲記した課題、リスクへの対応状況について

 財投機関が抱える債務償還リスクへの対応についてみると、独立行政法人化に際して、固定資産や有価証券の評価、貸倒リスクに応じた貸倒引当金の積増し等の財務処理が行われ、これに伴って発生した損失の多くは資産等承継の過程で処理された。また、政策金融法人に係る繰上償還リスクについては、貸付条件の見直しが行われるなど、リスク回避のための取組もなされている。
 しかし、社会資本整備法人や無償資金型法人を含めて、各法人の事業スキームに関係する基本的なリスク構造には大きな変化はないことなどから、今後の社会経済情勢の変化に伴ってリスクが増大するおそれはないか、引き続き注視していくこととする。

 弾力性のある財務運営を可能とする独立行政法人制度の導入や、財投改革による財投機関の資金調達方法の多様化により、財投機関の事業運営や資金調達に対する自由度は高まっている。このような改革の成果を生かすためには、法人自らが業務運営における透明性の確保と一層の効率化を図り、財投事業の健全かつ効率的な運営を行うことはもとより、法人の業績に対する事後の検証を十分に行い、事業に係る経営責任の明確化を図ることが一層重要となっている。
 会計検査院は、今後、政策金融改革等による組織形態や事業の見直し、財投事業の廃止等が予定されていることを踏まえて、上記のような観点に立って、今回の分析において抽出した課題について、今後の状況を注視していくとともに、個々の法人の事業運営についても、社会経済情勢の動向等を踏まえて、多角的な観点から検査を実施していくこととする。