会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)内閣本府 | (項)内閣本府 |
(項)沖縄振興計画推進調査費 | |||
(項)沖縄特定開発事業推進調査費 | |||
部局等 | 沖縄総合事務局 | ||
契約の概要 | 沖縄振興計画を効果的に推進するために、土地利用、観光、雇用等に関する調査・検討業務を委託等するもの | ||
契約件数及び金額 | 23件 | 8億0086万余円(平成18、19両年度) (うち内閣府所管分7億8385万余円)
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上記のうち契約額の精算を行う必要があると認められる契約件数及び金額 | 7件 | 1億0011万円 (うち内閣府所管分8688万円)
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(平成20年10月31日付け 内閣総理大臣あて)
標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正改善の処置を求める。
記
貴府沖縄総合事務局は、沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)に基づき策定された沖縄振興計画(平成14年7月内閣総理大臣決定)を効果的に推進するなどのため、観光、雇用、土地利用等に係る各種の調査・検討業務を委託するなどしており、これに要する経費を一般会計の沖縄振興計画推進調査委託費、沖縄特定開発事業推進調査委託費等(以下、これらを合わせて「委託費」という。)から支出している。
委託費により平成18、19両年度に実施した調査・検討業務に係る契約は、次表のとおり、それぞれ12件、11件、計23件となっている。
年度 | 委託費名 | 契約件名 | 形態 |
平成18 | 沖縄振興計画推進調査委託費 | 平成18年度下水処理水の有効利用調査検討業務 | 請負 |
沖縄観光におけるキャリング・キャパシティに関する調査 | 委託 | ||
ソフトパワーを活用した通年型・滞在型観光推進検討調査 | 委託 | ||
歴史、文化の調和した景観再整備方策検討業務 | 請負 | ||
沖縄振興開発調査委託費 | 駐留軍用地跡地利用に関する市町村支援事業(アドバイザー派遣等事業) | 委託 | |
返還跡地利用に関する海外実態調査 | 委託 | ||
駐留軍用地跡地利用支援システムデータ更新(地理情報)業務 | 請負 | ||
駐留軍用地跡地利用支援システムデータ更新(文書・統計情報)業務 | 請負 | ||
沖縄特定開発事業推進調査委託費 | 沖縄におけるクルーズ観光活性化方策検討調査 | 請負 | |
平成18年度石垣島藻場造成計画策定調査 | 委託 | ||
沖縄本島中南部における土地の有効利用に関する調査業務 | 請負 | ||
位置境界明確化調査等委託費 | 平成18年度位置境界明確化調査等委託費 | 委託 | |
計 | 12件(うち、委託6件、請負6件) | ||
19 | 沖縄振興計画推進調査委託費 | 構造的失業の改善に向けた基礎調査 | 委託 |
沖縄の自立型経済の構築に向けた社会資本整備等の効果に関する調査 | 委託 | ||
沖縄振興開発調査委託費 | 駐留軍用地跡地利用に関する市町村支援事業(アドバイザー派遣等事業) | 委託 | |
平成19年度地域活性型先導的情報通信産業モデル実証事業(沖縄ソフトウェア・オフショアセンター整備モデル実証事業) | 委託 | ||
平成19年度地域活性型先導的情報通信産業モデル実証事業(沖縄データセンター整備モデル実証事業) | 委託 | ||
返還跡地利用に関する海外実態調査 | 委託 | ||
駐留軍用地跡地利用支援システムデータ更新(文書・統計情報)・登録業務 | 請負 | ||
沖縄特定開発事業推進調査委託費 | 沖縄における景観整備方策に関する検討調査業務 | 請負 | |
沖縄における畑地かんがい施設整備方向検討調査業務 | 請負 | ||
沖縄におけるクルーズ船受け入れ態勢の強化に向けた検討調査 | 請負 | ||
位置境界明確化調査等委託費 | 平成19年度位置境界明確化調査等委託費 | 委託 | |
計 | 11件(うち、委託7件、請負4件) | ||
合計 | 23件(うち、委託13件、請負10件) |
そして、貴府沖縄総合事務局は、上記23件の調査・検討業務に係る契約のうち13件については委託契約により実施している。
委託契約により調査・検討業務を実施するに当たっては、契約書等において、委託者が作成する実施要領や受託者が作成する実施計画書等により行うこととされている。そして、受託者は、委託業務の実施過程を明らかにしてこれに要した経費を確定するため、業務の完了後に、委託業務完了報告書、調査結果を取りまとめた成果物とともに、受託者が業務を行うために支払った経費に係る証拠書類を添付した精算報告書を委託者に提出して、委託者はこれにより業務の実施過程の実績を確認して、契約額の精算を行うことが契約書に盛り込まれている。
一方、残りの10件の調査・検討業務は請負契約により実施しており、契約書等において、委託契約のような契約額の精算に関する条項は設けられていない。
貴府沖縄総合事務局は、毎年度、委託費により多数の調査・検討業務を実施しており、その金額も多額に上っている。そして、前記のように、これらの調査・検討業務に係る契約には業務完了後に精算を行うものと行わないものがある。
そこで、本院は、これらの調査・検討業務に係る契約について、合規性、経済性等の観点から、業務の実施内容からみて契約書に精算条項を設ける必要があるのではないかなどに着眼して、貴府沖縄総合事務局等において会計実地検査を行った。そして、委託費に係る調査・検討業務23件(契約額計8億0086万余円(うち、内閣府所管分7億8385万余円))の契約を検査の対象として、これらについて契約書、仕様書、成果物等の比較を行うなどして検査した。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
委託費に係る調査・検討業務23件のうち、請負契約により実施した調査・検討業務10件についてみると、このうち請負業務の内容がデータ入力や登録業務である3件を除いた7件の調査・検討業務の請負契約(契約額計1億0011万余円(うち、内閣府所管分8688万余円))については、いずれも仕様書等においてあらかじめ指定された方法により調査を行い、それに基づいて現状の課題や問題点を分析・検討することが業務の内容となっている。
そして、その業務の実施に当たっては、〔1〕 既存文献や基礎データの収集・整理、〔2〕 各種事例や現状把握のための調査、〔3〕 一般市民、企業、関係機関に対するアンケートやヒアリング調査、〔4〕 委員会や懇談会の運営、有識者の意見聴取等を行うこととされており、委託契約により実施している13件の調査・検討業務の調査方法や検討方法と共通したものとなっていて、その方法において異なるところがないものであった。
さらに、23件の契約に係る支払についてみると、委託契約により実施した13件の調査・検討業務については、受託者は委託者に対して調査等の実施過程を明らかにする必要があり、そのため、業務の完了後に、他の経理と区分した支出に関する帳簿により作成した精算報告書に証拠書類を添えて委託者に提出して、これに基づいて委託者は実施過程の実績を確認して契約額の精算を行っていた。そして、精算の結果、13件のうち5件は契約額と精算額は同額であったが、8件については、精算額は契約額に比べて減額になっており、これらの減額分の合計額は1154万余円となっていた。
一方、請負契約により実施した前記7件の調査・検討業務については、委託契約により実施した13件と調査方法等が同様なものであるにもかかわらず、請負契約であることをもって業務の実施過程の実績を明らかにすることなく、業務の完了後に精算も行われておらず、業務の実施に要した経費の確認が行われないまま契約額が支払われていた。
沖縄総合事務局は、18年度に財団法人Aとの間で、沖縄の魅力を活かしたクルーズ誘致に関するアクションプラン、地元提案型のオプショナルツアー等の調査・検討を行って地域振興を図るため、「沖縄におけるクルーズ観光活性化方策検討調査請負契約」を1785万円で締結している。
その実施に当たっては、仕様書等において、〔1〕 沖縄におけるクルーズの現状把握、〔2〕 沖縄各港のクルーズ関連施設の現状調査、〔3〕 アンケート及びヒアリングによる旅行者や企業に対するクルーズのニーズ調査、〔4〕 委員会の開催等を行うこととされている。
また、19年度に財団法人Bとの間で、沖縄の構造的失業の問題を改善させていく上での課題を整理して、雇用施策の課題や方向性等を検討していく上で必要となる新たな雇用関係の基礎調査を行って今後の雇用施策に資するため、「構造的失業の改善に向けた基礎調査委託契約」を1796万円で締結している。
その実施に当たっては、実施要領等において、〔1〕 沖縄県内外の労働需給の現状調査・把握、〔2〕 県外事例調査、〔3〕 求職者、企業や関係機関に対するアンケートやヒアリング調査、〔4〕 検討委員会の設置等を行うこととされている。
上記の請負契約及び委託契約については、業務の実施方法はいずれも仕様書や実施要領等であらかじめ決められており、その調査方法等も同じようなものであって、両者の間で差異はないのに、委託契約では業務の完了後に精算が行われて契約額に比べて支払額は119万余円減額される一方、請負契約では精算は行われておらず、契約額がそのまま支払われていた。
以上のように、請負契約による調査・検討業務については、業務の実施過程が明らかになっている委託契約と調査方法等に差異がないのに、業務の実施過程の実績が把握されておらず、業務の完了後に契約額の精算が行われていない事態は適切ではなく、是正改善の要があると認められる。
このような事態が生じているのは、貴府沖縄総合事務局において、委託費により実施する調査・検討業務は、その実施過程を把握する必要があるものについて業務の完了後にその実績に基づいて契約額の精算を行うという認識が十分でなかったこと、また、貴府において、沖縄総合事務局に対するこれらの契約の精算に関する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
貴府沖縄総合事務局は、毎年度、多額の委託費により調査・検討業務を実施しており、今後も同種の委託費による多数の調査・検討業務の実施が見込まれることから、調査・検討業務について適切な契約を締結することが必要である。
ついては、貴府沖縄総合事務局において、委託費により行う調査・検討業務の実施に当たっては、業務の実施過程を把握して、その実績に基づいて業務の完了後に契約額の精算を行うよう是正改善の処置を求める。