会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)財務本省 | (項)財務本省 | |
平成14、15、17各年度国庫債務負担行為 | ||||
(組織)財務本省 | ||||
(事項)民間資金等活用公務員宿舎整備等事業 | ||||
(事項)金利の変動に伴う民間資金等活用公務員宿舎整備等事業に係る限度額の増額
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部局等 | 関東、東海、近畿各財務局 | |||
事業の根拠 | 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法律第117号) | |||
契約名 | (1) | 公務員宿舎赤羽住宅(仮称)整備事業 | ||
(2) | 公務員宿舎駒沢住宅(仮称)整備事業 | |||
(3) | 公務員宿舎三宿第二住宅(仮称)整備事業 | |||
(4) | 公務員宿舎仲田及び千種東住宅整備事業 | |||
(5) | 公務員宿舎枚方住宅(仮称)整備事業 | |||
契約の概要 | 公務員宿舎の設計及び建設並びに維持管理業務 | |||
契約の相手方 | (1) | 株式会社リズミックヒルズ赤羽 | ||
(2) | PFI駒沢株式会社 | |||
(3) | 三宿NEXT株式会社 | |||
(4) | 株式会社グリーンパサージュ仲田・千種東 | |||
(5) | PFI枚方住宅株式会社 | |||
契約 | (1) | 平成14年12月一般競争契約 | ||
(2) | 平成14年12月一般競争契約 | |||
(3) | 平成15年12月一般競争契約 | |||
(4) | 平成15年12月一般競争契約 | |||
(5) | 平成16年2月一般競争契約 | |||
契約額 | (1) | 64億3476万余円 | (平成14年度〜23年度) | |
(2) | 71億1163万余円 | (平成14年度〜23年度) | ||
(3) | 38億0575万余円 | (平成15年度〜24年度) | ||
(4) | 72億4588万余円 | (平成15年度〜24年度) | ||
(5) | 40億9774万余円 | (平成15年度〜24年度) | ||
計 | 286億9578万余円 | |||
上記のうち消費税相当額 | (1) | 3億0641万余円 | ||
(2) | 3億3864万余円 | |||
(3) | 1億8122万余円 | |||
(4) | 3億4504万余円 | |||
(5) | 1億9513万余円 | |||
計 | 13億6646万余円 | |||
割高になっている契約額 | (1) | 1548万円 | ||
(2) | 1285万円 | |||
(3) | 1196万円 | |||
(4) | 2729万円 | |||
(5) | 1217万円 | |||
計 | 7977万円 |
(平成20年10月31日付け 財務大臣あて)
標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正の処置を要求する。
記
貴省は、低層な宿舎や老朽化した宿舎を廃止して集約・高層化を図り、国有財産の有効活用及び宿舎の質的改善をするなどのために、公務員宿舎の建て替えを推進している。
公務員宿舎の建て替えに当たっては、貴省は、平成14年度以降、財政負担の縮減並びに民間の資金、経営能力及び技術的能力の活用を図る観点から、PFI手法(注1)
を活用して、建て替え、その後の維持管理等を行わせることとしている。そして、貴省3財務局(注2)
は、14年4月から15年3月までに、5整備事業(注3)
についてそれぞれ「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(平成11年法律第117号)第5条第1項の規定に基づく特定事業(注4)
の実施に関する方針を定めて、14年6月から15年7月までに5整備事業を同法第6条の規定に基づく特定事業(以下「PFI事業」という。)に選定した。
3財務局は、5整備事業について、総合評価落札方式による一般競争入札を実施して、総合評価の最も高かった企業グループを落札者と決定した。そして、各企業グループが5整備事業の実施を目的にそれぞれ設立した株式会社(以下「5特別会社」という。)との間でBTO方式(注5)
によるPFI事業として事業契約を締結した。その後、事業契約が変更されたり、更にその後、維持管理費相当分について物価変動による支払額の改定が行われたりして、5整備事業の契約金額は、19年10月までに、次表のとおり合わせて286億9578万余円となっている。
そして、5特別会社は、事業契約に基づき次表のとおり5整備事業による公務員宿舎の建設工事をしゅん工して施設を3財務局に引き渡しており、各公務員宿舎は3財務局が所管する国有財産となっている。
5整備事業の事業契約によると、5特別会社は、公務員宿舎の設計及び建設、施設の国への譲渡、譲渡後の維持管理等を行うこととされている。そして、契約金額は建設費相当分及び維持管理費相当分から成っており、このうち建設費相当分については年1回(2月〜5月)の元利均等払いによる割賦方式により、また、維持管理費相当分については年2回(10月又は11月及び翌年4月)の平準化した金額により、次表に示した期間に、それぞれ3財務局が5特別会社に支払うこととされている。3財務局は16年度から20年9月までに計154億4973万余円を5特別会社に支払っている。
財務局名 | 関東 | 東海 | 近畿 | 合計 | ||
事業名 | 赤羽住宅 | 駒沢住宅 | 三宿第二住宅 | 仲田・千種東住宅 | 枚方住宅 | / |
契約の相手方 | 株式会社リズミックヒルズ赤羽 | PFI駒沢株式会社 | 三宿NEXT株式会社 | 株式会社グリーンパサージュ仲田・千種東 | PFI枚方住宅株式会社 | |
宿舎建物 | 4〜14階建て1棟・425戸 | 8〜15階建て4棟・544戸 | 7〜11階建て6棟・284戸 | 仲田8〜10階建て4棟・264戸 千種東7階建て4棟・237戸 |
5〜10階建て2棟・473戸 | |
実施方針公表日 | 平成14年4月26日 | 平成14年4月26日 | 平成15年3月26日 | 平成15年2月7日 | 平成15年3月14日 | |
特定事業の選定 | 平成14年6月7日 | 平成14年6月7日 | 平成15年5月8日 | 平成15年5月9日 | 平成15年7月25日 | |
契約日 | 平成14年12月20日 | 平成14年12月26日 | 平成15年12月11日 | 平成15年12月11日 | 平成16年2月26日 | |
しゅん工時期 | 平成17年1月20日 | 平成18年2月20日 | 平成18年1月21日 | 平成17年12月20日 | 平成18年2月28日 | |
契約期間 | 平成14年12月20日〜24年3月31日 | 平成14年12月26日〜24年3月31日 | 平成15年12月11日〜25年3月31日 | 平成15年12月11日〜25年3月31日 | 平成16年2月26日〜25年3月31日 | |
支払期間 | 平成17年2月〜23年度 | 平成18年3月〜23年度 | 平成18年2月〜24年度 | 平成18年3月〜24年度 | 平成18年3月〜24年度 | |
契約金額(税抜き) | (千円) 6,128,345 |
(千円) 6,772,981 |
(千円) 3,624,531 |
(千円) 6,900,844 |
(千円) 3,902,619 |
(千円) 27,329,323 |
消費税相当額 | 306,417 | 338,649 | 181,226 | 345,042 | 195,130 | 1,366,466 |
契約金額(税込み) | 6,434,762 | 7,111,630 | 3,805,758 | 7,245,887 | 4,097,749 | 28,695,789 |
契約金額のうち建設費相当分(税込み)a=b+c | 6,257,220 | 6,948,993 | 3,672,304 | 6,993,309 | 3,943,289 | 27,815,116 |
割賦元本分(税込み)b | 5,932,092 | 6,678,988 | 3,421,083 | 6,420,106 | 3,687,516 | 26,139,786 |
割賦金利分(税込み)c | 325,128 | 270,004 | 251,220 | 573,203 | 255,772 | 1,675,330 |
上記のうち消費税相当額 | 15,482 | 12,857 | 11,962 | 27,295 | 12,179 | 79,777 |
契約金額のうち維持管理費相当分(税込み) | 177,542 | 162,637 | 133,453 | 252,577 | 154,460 | 880,672 |
(注1) | PFI手法 Private Finance Initiativeの略称。公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法
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(注2) | 3財務局 関東、東海、近畿各財務局
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(注3) | 5整備事業 公務員宿舎赤羽住宅(仮称)、公務員宿舎駒沢住宅(仮称)、公務員宿舎三宿第二住宅(仮称)、公務員宿舎仲田住宅及び千種東住宅、公務員宿舎枚方住宅(仮称)各整備事業
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(注4) | 特定事業 公共施設等の整備等に関する事業であって、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用することにより効率的かつ効果的に実施されるもの
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(注5) | BTO方式 Build,Transfer and Operateの略称。民間事業者が施設を建設して、施設完成直後に管理者等に所有権を移転した上で、民間事業者が維持・管理及び運営を行う事業方式
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消費税法(昭和63年法律第108号)によれば、消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)の課税対象は、国内において事業者が行った事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(以下「資産の譲渡等」という。)とされている。
そして、国内において行われる資産の譲渡等のうち、消費税法施行令(昭和63年政令第360号)第10条第3項第10号に定める「資産の譲渡等の対価の額又は当該対価の額に係る金銭債権の額を二月以上の期間にわたり、かつ、三回以上に分割して受領する場合におけるその受領する賦払金のうち利子又は保証料の額に相当する額で当該賦払に係る契約において明示されている部分を対価とする役務の提供」については、同法第6条により、消費税を課さないとされている(以下、この規定に基づき消費税を課さないこととなる役務の提供に係る対価を「課税されない利子等」という。)。
内閣府公表資料によると、国は、5整備事業と同様のBTO方式によるPFI事業をこれらを含めてこれまでに42事業(20年5月31日現在、実施方針公表済段階のもの)実施している。そして、国の各機関が公表している事業契約書等によると、このうち14年度にPFI事業の実施方針を公表した1事業及び15年度以降に実施方針を公表した35事業のすべてにおいて、建設費等の割賦支払に伴う利子等は、課税されない利子等に該当するとして、これに係る消費税相当額は契約金額に含まれていない。
これに対して、5整備事業では、事業契約において、サービス対価を一体として捉えていることなどから、その中に課税されない利子等に該当するものはなく、サービス対価の総額に係る消費税相当額を契約金額に含める取扱いとしている。
PFI事業に係る建設費相当分の割賦支払に伴う利子等については、これが事業契約において課税されない利子等に該当する場合は消費税は非課税となり、該当しない場合は消費税が課されることとなる。近年、BTO方式によるPFI事業においては、建設費相当分の割賦支払に伴う利子等が課税されない利子等に該当するように事業契約を定めて、これに係る消費税相当額を契約金額に含めない取扱いとなっている。こうしたことから、本院は、経済性等の観点から、5整備事業についても同様の取扱いとすることにより契約金額の節減が図れないかなどに着眼して、契約金額計286億9578万余円(うち消費税相当額13億6646万余円)を対象に、3財務局において、契約書、入札説明書等の関係書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、3財務局は、19年10月までに変更した5整備事業の事業契約において、サービス対価の総額273億2932万余円(消費税抜き)の全体に消費税が課されるとして、この金額に100分の5を乗じた13億6646万余円を消費税相当額として加えた286億9578万余円をもって契約金額としており、その内訳は、〔1〕 建設費相当分278億1511万余円及び〔2〕 維持管理費相当分8億8067万余円となっている。
そして、上記のうち建設費相当分の契約上の取扱いは、次のとおりとなっている。
〔1〕 建設費相当分は、前記のとおり、それぞれの事業契約において、年1回(2月〜5月)元利均等払いによる割賦方式により支払うこととされている。
〔2〕 建設費相当分には、施設設計及び整備費、工事監督費、建設期間中の資金調達に伴う金利その他事業に伴う費用の総額である割賦元金261億3978万余円に加えて、この金額を契約に定める回数の分割払で5特別会社に支払うことから必要となる割賦金利を含むとされている。
〔3〕 割賦金利の計算上の金額は、契約書に記載された建設費相当分から割賦元本分を差し引いた16億7533万余円となり、その具体的な計算方法をみると、施設の引渡時期から年1回到来する各支払時期までの期間に対応する利子額となっている。しかし、契約書には割賦金利の金額として明示されているものはない。
また、3財務局は、上記の割賦金利部分について、予算等において、次のとおり元本部分と異なる取扱いとしている。
〔1〕 3財務局から5特別会社への支払額は、歳出予算上、割賦元本は一般会計(項)公務員宿舎施設費(目)不動産購入費又は特定国有財産整備特別会計(項)特定国有財産整備費(目)特定施設整備費に、割賦金利は一般会計(項)財務本省(目)公共施設等維持管理運営費に区別して計上されている。
〔2〕 5整備事業の公務員宿舎の国有財産価額の算定上も割賦元本のみを計上の対象として、割賦金利については建設費に含まれないとして対象外としている。
これらのことからすれば、3財務局が事業契約に基づいて5特別会社に支払うこととされている割賦金利16億7533万余円は、建設費相当分のうちの元本部分を分割して支払うことに伴い必要となる利子相当額と認められる。そして、割賦金利について消費税が課されているのは、割賦金利の金額を契約書において明示しておらず、サービス対価の総額から割賦金利を控除することなくその全体に100分の5を乗じた額を加えて契約金額としていることなどによるものと認められる。
したがって、上記のような割賦金利の性格、支払実態等をみると、3財務局が割賦金利を課税されない利子等に該当するように契約内容を定めておらず、割賦金利に係る消費税相当額を含めて契約金額を算定しているのは適切とは認められない。
上記により、5整備事業において、割賦金利が課税されない利子等に該当するとしていれば、契約金額は前記の計286億9578万余円が286億1601万余円となり、割賦金利に係る消費税相当額7977万余円が割高となっていると認められる。
上記のように、割賦金利が課税されない利子等に該当するとして事業契約を定めて、これにより契約金額を算定していれば、割賦金利に係る消費税相当額を支払う必要はないのに、割賦金利に係る消費税相当額を契約金額に含めて支払を継続している事態は適切でなく、経済性を勘案して、是正を図る要があると認められる。
このような事態が生じているのは、5整備事業が国にとって初期のPFI事業であったという事情はあるものの、貴省3財務局において、契約金額を経済的に算定するための検討が十分でなかったことなどによるものと認められる。
本件事業契約に係る建設費相当分は、事業期間が終了する23年又は24年まで支払を継続することとなっており、現在の契約のままでは、契約金額に含まれている割賦金利に係る消費税相当額を今後も引き続き支出することになる。
ついては、貴省3財務局において、5整備事業の支払額の節減を図るために、割賦金利等課税されない利子等とする額を特定した上で、近年のPFI事業の事例における契約書その他契約内容を十分参考に、速やかに契約相手方と協議の上、割賦金利に係る消費税相当額が契約金額に含まれないよう契約変更を求めるなどの是正の処置を要求する。