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  • 平成19年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 厚生労働省|
  • 平成18年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

国民健康保険広域化等支援事業費等補助金について


(2) 国民健康保険広域化等支援事業費等補助金について

平成18年度決算検査報告 参照)

1 本院が表示した意見

(検査結果の概要)

 厚生労働省は、市町村(特別区、一部事務組合及び広域連合を含む。以下同じ。)が運営する国民健康保険事業の運営の広域化、財政の安定化を目的として都道府県が設置する国民健康保険広域化等支援基金(以下「基金」という。)の造成費用の2分の1を補助するために、平成14年度から16年度までの間に国民健康保険広域化等支援事業費等補助金(以下「補助金」という。)総額143億7226万円を交付している。
 都道府県は、基金を原資として、市町村合併等を実施した際に保険料(国民健康保険税も含む。以下同じ。)の急激な引上げを緩和するために要する費用を無利子で貸し付ける保険財政広域化支援事業(以下「広域化支援事業」という。)及び一時的に生じた財政不足の補てんに要する費用を無利子で貸し付ける保険財政自立支援事業(以下「自立支援事業」という。)を実施することとされている。
 なお、貸付金の償還については、いずれの場合も、貸付けの翌々年度から3か年度で、各年度3分の1ずつ行い、償還期間における保険料額の算定に当たっては、償還費用を保険料算定基礎に算入することとなっている。
 そこで、有効性等の観点から、多額の国庫補助を受けて造成された基金は有効に活用されているか、その規模は各都道府県の実情に即した適切なものとなっているかなどに着眼して検査したところ、基金を造成した45都道府県のうち30府県において貸付実績がないなど、基金が十分に活用されていなかった。
 このような事態が生じているのは、厚生労働省において、過大な需要見込みに基づき基金の総事業規模を決定したこと、都道府県ごとに広域化の進展状況や保険者の財政状況が異なっている実態を考慮せずに、一般被保険者数を基礎として補助金の交付額を算定することとしたこと、償還期間を短期間としたことなど貸付条件等が保険者からみて利用しにくいものとなっていること、都道府県の保険者に対する制度周知が十分でないことなどによると認められた。

(検査結果により表示した意見)

 基金の2分の1相当額が国費を原資としていることを踏まえて、厚生労働省において適切な取組が行われるよう、次のとおり、厚生労働大臣に対して19年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
ア 事業の前提となる状況が変化していることから、都道府県ごとの広域化の進展状況や保険者の財政状況等を考慮して需要を再度調査して、その結果を基に都道府県と協議するなどして、基金の廃止も含めた事業内容の見直しを行うこと
イ 広域化支援事業、自立支援事業のいずれについても、保険料の適正な引上げを基本としながら、償還期間を延長してその緩やかな引上げを可能とするなど、貸付条件を見直したり、都道府県に対して、管内保険者に制度を周知するよう指導したりするなど、利用の促進を図る対策を講ずること

2 当局の処置状況

 本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
 検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、基金を設置している45都道府県及びその管内の全市町村に対して、需要動向等を把握するための調査を実施しており、今後、その結果を踏まえて、貸付条件の見直しなどの利用促進策の導入及び事業内容の見直しについて引き続き検討を行っていくこととしている。