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  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

一般乗用旅客自動車乗車券の使用に当たり、使用規程に定められた所定の事項の遵守に努めて、使用状況が明確となるよう検討して、適切な管理等を行うよう意見を表示したもの


(6) 一般乗用旅客自動車乗車券の使用に当たり、使用規程に定められた所定の事項の遵守に努めて、使用状況が明確となるよう検討して、適切な管理等を行うよう意見を表示したもの

会計名 一般会計、特定国有財産整備特別会計、自動車損害賠償保障事業特別会計(平成20年度以降は自動車安全特別会計(保障勘定))、道路整備特別会計(平成20年度以降は社会資本整備事業特別会計(道路整備勘定))、治水特別会計(平成20年度以降は社会資本整備事業特別会計(治水勘定))、港湾整備特別会計(平成20年度以降は社会資本整備事業特別会計(港湾勘定))、自動車検査登録特別会計(平成20年度以降は自動車安全特別会計(自動車検査登録勘定))、空港整備特別会計(平成20年度以降は社会資本整備事業特別会計(空港整備勘定))、登記特別会計(支出委任)、労働保険特別会計(支出委任)、特許特別会計(支出委任)
部局等 国土交通本省、8地方整備局、北海道開発局、4地方運輸局、2地方航空局、4航空交通管制部、109事務所等
一般乗用旅客自動車使用の概要 職員が深夜・早朝にわたる勤務のため通常の通勤経路では帰宅等が困難な場合等に一般乗用旅客自動車を使用するもの
一般乗用旅客自動車供給契約の総件数 425件(平成19年度)
上記の契約に係る使用金額 18億7911万円(背景金額)

【意見を表示したものの全文】

国土交通省における一般乗用旅客自動車の使用状況について

(平成20年10月31日付け 国土交通大臣あて)

標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり意見を表示する。

1 検査の背景

(1) 一般乗用旅客自動車使用をめぐる国会の議論等について

 貴省職員による一般乗用旅客自動車(以下「タクシー」という。)の使用状況について、国会において様々な議論がなされる中、特に貴省所管の道路整備特別会計等から支出したタクシーの使用が極めて多いことが取り上げられた。貴省は、平成20年3月にタクシーの使用に関して、全国的に統一した使用規程を定めて、各地方整備局等に対して「タクシー使用基準の制定について」の通知を発して、20年度以降、予算の適正かつ効率的な執行を図ることとしたところである。
 他方、公費支出によるタクシー使用の際に飲み物等のサービス提供を受けていたことについて、貴省は20年6月に、国家公務員倫理審査会の審査に基づく措置を講ずるとともに、再発防止のために、公費支出によるタクシー使用時の適正な取扱いを全職員に徹底するなどした。また、6月23日からは、国土交通本省(以下「本省」という。)においてタクシー乗車券の使用停止を試行している。
 また、本院は、20年6月9日に、参議院から国会法(昭和22年法律第79号)第105条の規定に基づき国土交通省の地方整備局等における庁費等の予算執行について、〔1〕 契約方法、契約手続などの状況、〔2〕 契約内容、契約金額などの状況、〔3〕 契約相手方の状況、〔4〕 一般会計と特別会計における計上区分及び執行の状況の各事項について、会計検査を行いその結果を報告することを求める要請を受けた。これに対して同月10日に検査官会議において、会計検査院法第30条の3の規定により検査を実施してその検査の結果を報告することを決定した。

(2) タクシー使用の概要

 貴省は、職員が深夜・早朝にわたる勤務のため通常の通勤経路では帰宅等が困難な場合及び公用車の運用上その使用ができない又は経済的でない場合等にタクシーの使用を認めることとしている。
 一般乗用旅客自動車供給契約(以下「タクシー利用契約」という。)は、車両の使用の都度に給付の対価を支払うことの繁雑さを避けるために、一定期間を定めて、その期間内に行われた給付の対価を、その期間の経過後に一括して支払うこととして、一般乗用旅客自動車運送事業者等(以下「タクシー会社」という。)と契約を締結するものである。

2 本院の検査結果

(検査の観点及び着眼点)

 本院は、基本的な会計経理に関する検査について近年重点を置いてきており、物品の調達、業務の委託等とともに個々のタクシー使用についても検査を実施してきている。そして、前記のような状況も踏まえて、合規性、経済性等の観点から、貴省全体におけるタクシー利用契約について、タクシー乗車券の使用に関する規程の整備がなされていたか、タクシー乗車券の管理、使用の記録が適正に行われていたかなどに着眼して検査を行った。

(検査の対象及び方法)

 検査に当たっては、本省、8地方整備局(注1) 、北海道開発局、4地方運輸局(注2) 、2地方航空局(注3) 、4航空交通管制部(注4) (以下、地方整備局から航空交通管制部までを「整備局等」という。)、109事務所等(以下、これらをすべて合わせて「機関」という。)計129機関において、これらの機関の15年度から19年度に係るタクシー利用契約の総件数2,148件、これに係る使用枚数1,036,895枚、使用金額98億2019万余円を対象として、契約書等の証拠書類のほか、受払簿、使用簿等(以下、これらを「帳票類」という。)、使用済みタクシー乗車券を徴するなどして会計実地検査を行った。
 これらに係るタクシー乗車券の契約件数、使用枚数、使用金額の機関別・年度別内訳は表1のとおりである。

表1  タクシー利用契約の機関別・年度別内訳
区分 平成15年度 16年度 17年度 18年度 19年度
契約件数
(件)
使用枚数
(枚)
契約件数
(件)
使用枚数
(枚)
契約件数
(件)
使用枚数
(枚)
契約件数
(件)
使用枚数
(枚)
契約件数
(件)
使用枚数
(枚)
契約件数
(件)
使用枚数
(枚)
使用金額 使用金額 使用金額 使用金額 使用金額 使用金額
(千円) (千円) (千円) (千円) (千円) (千円)
本省 12 45,611 25 46,810 37 65,572 22 93,928 24 142,439 120 394,360
1,290,824 1,267,048 1,237,882 1,238,926 1,262,210 6,296,892
整備局等 50 57,166 66 57,043 57 53,448 61 59,654 62 60,810 296 288,121
383,396 368,713 367,367 324,747 299,823 1,744,047
事務所等 350 72,851 376 69,099 336 65,904 331 74,757 339 71,803 1,732 354,414
405,792 371,093 354,981 330,314 317,077 1,779,259
412 175,628 467 172,952 430 184,924 414 228,339 425 275,052 2,148 1,036,895
2,080,013 2,006,856 1,960,230 1,893,987 1,879,111 9,820,198
 8地方整備局  東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州各地方整備局

 4地方運輸局  北海道、関東、近畿、九州各運輸局

 2地方航空局  東京、大阪両航空局

 4航空交通管制部  札幌、東京、福岡、那覇各航空交通管制部

(検査の結果)

(1) タクシー利用契約の支出額の状況

 貴省職員によるタクシー使用金額については、業務内容等に応じて、一般会計及び各特別会計で支出されている。15年度から19年度までのタクシー利用契約の支出額の機関別・会計別内訳は表2のとおりである。

表2  タクシー利用契約の支出額の機関別・会計別内訳
区分 年度 一般会計 自動車損害賠償保障事業特別会計 道路整備特別会計 治水特別会計 港湾整備特別会計 自動車検査登録特別会計 空港整備特別会計 その他の特別会計
(千円) (千円) (千円) (千円) (千円) (千円) (千円) (千円) (千円)
本省 平成
15年
824,543 16,833 19,716 60,227 54,393 41,627 271,326 2,156 1,290,824
16年 831,688 9,796 13,070 52,856 61,340 48,625 247,963 1,705 1,267,048
17年 859,911 12,385 0 57,306 66,982 42,634 198,661 0 1,237,882
18年 825,267 12,431 0 69,471 98,010 38,926 194,053 764 1,238,926
19年 887,570 11,156 0 59,485 90,551 36,411 176,535 500 1,262,210
小計 4,228,981 62,603 32,786 299,348 371,278 208,226 1,088,539 5,126 6,296,892
整備局等 15年 92,889 0 117,579 52,321 11,618 529 107,789 667 383,396
16年 84,258 0 112,498 48,125 16,957 783 105,670 419 368,713
17年 90,119 0 112,549 32,077 9,617 902 120,581 1,519 367,367
18年 60,449 0 106,508 42,025 16,543 466 98,470 283 324,747
19年 65,732 0 116,159 41,940 13,194 388 62,198 210 299,823
小計 393,449 0 565,295 216,489 67,930 3,071 494,710 3,100 1,744,047
事務所等 15年 68,830 0 124,087 61,624 30,401 73 119,707 1,069 405,792
16年 64,512 0 110,607 61,886 28,799 0 104,832 455 371,093
17年 64,048 0 93,674 53,595 29,477 0 113,883 302 354,981
18年 64,438 0 82,503 41,932 22,621 0 118,803 14 330,314
19年 65,639 0 73,875 34,415 24,764 0 118,348 33 317,077
小計 327,469 0 484,748 253,454 136,063 73 575,574 1,875 1,779,259
4,949,900 62,603 1,082,830 769,292 575,272 211,371 2,158,824 10,102 9,820,198
(注)
 その他の特別会計は、特定国有財産整備特別会計、登記特別会計、産業投資特別会計、労働保険特別会計、特許特別会計である。

(2) 各機関における使用規程の整備状況

 貴省は、タクシー乗車券の使用に当たり、不正使用することがないよう適切な管理に努める必要があることなどから、タクシー乗車券の管理者が備え付ける帳簿や使用する職員が行うべき手続を使用規程に定めるなどしている。
 19年度に係るタクシー利用契約(総件数425件、これに係る使用枚数275,052枚、使用金額18億7911万余円)について、機関ごとの使用規程の整備状況と主な記載内容を示すと表3のとおりである。

表3  使用規程の整備状況と主な記載内容
区分 規程の有無 主な記載内容
管理者等の設置 使用前の申込 使用後の報告及び記録 タクシー乗車券への記入事項 領収書、タクシー乗車券の半券の提出 使用済みタクシー乗車券の保存期限
(本省及び整備局等)
本省 × × × ×
東北地方整備局
関東地方整備局 ×
北陸地方整備局
中部地方整備局 × × 1年
近畿地方整備局 × × 1年
中国地方整備局 × × × 1年
四国地方整備局 ×
九州地方整備局 × × 1年
北海道開発局 × ×
北海道運輸局 × × × × ×
関東運輸局 × × × ×
近畿運輸局 × ×
九州運輸局 × × × ×
東京航空局
大阪航空局 × ×
札幌航空交通管制部 × ×
東京航空交通管制部 × × ×
福岡航空交通管制部 × ×
那覇航空交通管制部
(事務所等)
66事務所等 63 58 40 45 16 32
43事務所等
(注)
 事務所等の主な記載内容の数値は箇所数である。

 表1のとおり、本省及び整備局等のタクシー使用金額が多額となっていて、全体の8割を占めていることから、19年度の本省及び19整備局等(注5) における、各部局の年間使用金額が1万円以上の者の中で上位20人(以下「高額使用者」という。)を中心に、使用規程を定めていない4整備局等(注6) と使用規程を定めている本省及び15整備局等(注7) とに分けて個人別、目的別等のタクシー乗車券の使用状況等について分析を行った。

 19整備局等  東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州各地方整備局、北海道開発局、北海道、関東、近畿、九州各運輸局、東京、大阪両航空局、札幌、東京、福岡、那覇各航空交通管制部

 4整備局等  東北、北陸両地方整備局、東京航空局、那覇航空交通管制部

 15整備局等  関東、中部、近畿、中国、四国、九州各地方整備局、北海道開発局、北海道、関東、近畿、九州各運輸局、大阪航空局、札幌、東京、福岡各航空交通管制部

ア 使用規程を定めていない整備局等

 使用規程を定めていない4整備局等では、職員が車両の使用を必要とする場合、自動 車使用伝票に、使用目的等を記入した後、車両管理者に公用車の使用の申込みを行う。 そして、公用車の運用上その使用ができない場合等にタクシーの使用を認めている。し かし、使用規程を定めていないためタクシー乗車券の管理に関する責任の所在が明確と なっておらず、各々任意の様式の帳簿によりタクシー乗車券の受払を行っていた。

(ア) 個人別のタクシー乗車券の使用状況

 19年度の4整備局等の高額使用者、計258人の使用状況は表4のとおりである。

表4  高額使用者のタクシー乗車券の使用状況
区分
使用人数
(人)
使用枚数
(枚)
使用金額
(円)
1人当たりの使用金額(円) 1枚当たりの使用金額(円)
東北地方整備局 121 2,991 7,397,150 61,133 2,473
北陸地方整備局 97 2,181 3,772,060 38,887 1,729
東京航空局 20 1,085 17,137,020 856,851 15,794
那覇航空交通管制部 20 410 2,887,160 144,358 7,041
258 6,667 31,193,390

 使用金額が最も多い者は、1年間で約163万円(使用枚数87枚)使用しており、使用枚数が最も多い者は、1年間で212枚(使用金額約25万円)使用していた。

(イ) 目的別の使用状況

  19年度の4整備局等におけるタクシー乗車券の請求金額が最も多い月を対象として、1か月分の使用枚数及び使用金額について、使用済みタクシー乗車券と自動車使用伝票等によりタクシー乗車券の使用目的別に分類すると表5のとおりである。

表5  タクシー乗車券の使用目的別の状況
区分 深夜帰宅を使用目的としたもの 左記以外を使用目的としたもの 使用目的が不明なもの
使用枚数(枚)
使用金額
(円)
使用枚数(枚)
使用金額
(円)
使用枚数(枚)
使用金額
(円)
使用枚数(枚)
使用金額
(円)
東北地方整備局 0 0 431 1,290,060 285 676,600 716 1,966,660
北陸地方整備局 4 7,240 127 210,430 135 236,520 266 454,190
東京航空局 417 5,808,780 0 0 24 181,530 441 5,990,310
那覇航空交通管制部 0 0 0 0 69 500,680 69 500,680
421 5,816,020 558 1,500,490 513 1,595,330 1,492 8,911,840

 上記の4整備局等では、自動車使用伝票等に使用目的の記入が漏れていたりなどしていて、使用目的が不明なものが1,492枚のうち513枚(34.4%)見受けられた。

(ウ) 使用済みタクシー乗車券と自動車使用伝票等との照合

 北陸地方整備局を除く3整備局等の高額使用者それぞれについて使用したタクシー乗車券の中で最も高額な使用金額となっていた161枚を対象として、使用済みタクシー乗車券で保存されているものについて自動車使用伝票等により使用年月日、乗車地及び降車地を照合した結果、東北地方整備局において、乗車地が一致していないものが57枚、降車地が一致していないものが58枚見受けられた。また、北陸地方整備局においては、タクシー会社から使用済みタクシー乗車券が返却されていないために、照合できなかった。

  (エ) 仮渡しの状況

 各部局のタクシー乗車券を管理する者は、職員からの使用の申込みがあったときに、タクシー乗車券を交付している。しかし、東北、北陸両地方整備局の幹部職員には、あらかじめ一定の枚数のタクシー乗車券を交付(以下「仮渡し」という。)して使用させていた。両地方整備局の仮渡しによる使用状況を示すと表6のとおりである。

表6  仮渡しによる使用状況
区分
使用人数
(人)
使用枚数
(枚)
使用金額
(円)
東北地方整備局 10 757 843,150
北陸地方整備局 8 256 424,100

 上記の両地方整備局の幹部職員に対する仮渡しの使用については、使用後の報告がないために、その実態を確認できなかった。

イ 使用規程を定めている本省及び整備局等

  使用規程を定めている本省及び15整備局等は、職員がタクシーの使用を必要とする場合には、タクシー乗車券の管理者に対して使用の申込みを行い、タクシー乗車券の管理者は使用目的等を確認した上、タクシー乗車券を交付するなどしている。使用する職員は、タクシー乗車券の記入欄に所定の事項を記入して乗務員に渡して、使用後、速やかに使用金額等をタクシー乗車券の管理者に報告して、タクシー乗車券の管理者は帳票類に記入するなどしている。支払に当たっては、請求書、使用済みタクシー乗車券と帳票類との照合を行うなどしている(参考図 参照)。

(参考図)

本省の例

(ア) 個人別のタクシー乗車券の使用状況

 19年度の本省及び15整備局等の高額使用者、計991人の使用状況は表7のとおりである。

表7  高額使用者のタクシー乗車券の使用状況
区分
使用人数
(人)
使用枚数
(枚)
使用金額
(円)
1人当たりの使用金額(円) 1枚当たりの使用金額(円)
本省 280 28,986 382,957,810 1,367,706 13,211
関東地方整備局 133 4,066 56,702,920 426,337 13,945
中部地方整備局 122 4,775 18,134,590 148,644 3,797
近畿地方整備局 118 6,912 49,713,620 421,301 7,192
中国地方整備局 63 1,145 2,077,340 32,973 1,814
四国地方整備局 36 460 1,367,560 37,987 2,972
九州地方整備局 90 3,353 8,622,560 95,806 2,571
北海道開発局 63 3,592 8,929,510 141,738 2,485
北海道運輸局 3 28 36,480 12,160 1,302
関東運輸局 12 41 594,130 49,510 14,490
近畿運輸局 2 115 194,640 97,320 1,692
九州運輸局 2 9 43,560 21,780 4,840
大阪航空局 20 609 5,254,015 262,700 8,627
札幌航空交通管制部 7 81 236,870 33,838 2,924
東京航空交通管制部 20 170 658,000 32,900 3,870
福岡航空交通管制部 20 366 3,270,820 163,541 8,936
991 54,708 538,794,425

 そして、上記991人の中で年間使用金額が100万円を超える者は217人見受けられて、年間使用金額が多い上位10人の金額及び年間使用枚数が多い上位10人の枚数は、表8のとおりである。

表8  年間使用金額等が多い上位10人
順位 所属
年間使用金額
(円)
順位 所属
年間使用金額
(枚)
1 関東地方整備局 5,070,320 1 近畿地方整備局 370
2 関東地方整備局 4,661,370 2 本省 361
3 本省 4,261,640 3 中部地方整備局 303
4 本省 4,165,900 4 近畿地方整備局 279
5 関東地方整備局 3,868,270 5 近畿地方整備局 240
6 本省 3,763,770 6 九州地方整備局 225
7 本省 3,602,330 7 近畿地方整備局 220
8 本省 3,579,540 8 本省 211
9 本省 3,519,620 9 本省 208
10 本省 3,141,990 9 本省 208

 使用金額が最も多い者は、1年間で約507万円(使用枚数197枚)使用しており、すべてが深夜帰宅を使用目的としていた。また、使用枚数が最も多い者は、1年間で370枚(使用金額約218万円)使用しており、約半数が深夜帰宅を使用目的としていた。

(イ) 目的別の使用状況

 19年度の本省及び15整備局等におけるタクシー乗車券の請求金額が最も多い月を対象として、1か月分の使用枚数及び使用金額について、使用済みタクシー乗車券と帳票類によりタクシー乗車券の使用目的別に分類すると表9のとおりである。

表9  タクシー乗車券の使用目的別の状況
区分 深夜帰宅を使用目的としたもの 左記以外を使用目的としたもの 使用目的が不明なもの
使用枚数
(枚)
使用金額
(円)
使用枚数
(枚)
使用金額
(円)
使用枚数
(枚)
使用金額
(円)
使用枚数
(枚)
使用金額
(円)
本省 12,556 143,474,860 1,642 3,867,470 81 638,410 14,279 147,980,740
整備局等計 2,992 14,462,360 1,604 5,365,760 1,064 8,829,946 5,660 28,658,066
関東地方整備局 125 1,527,470 14 70,710 448 6,362,190 587 7,960,370
中部地方整備局 268 725,490 314 732,870 205 836,860 787 2,295,220
近畿地方整備局 890 7,281,580 524 1,649,530 254 1,272,846 1,668 10,203,956
中国地方整備局 3 3,040 188 344,710 1 1,210 192 348,960
四国地方整備局 43 150,290 38 127,930 29 65,440 110 343,660
九州地方整備局 486 1,460,140 64 107,710 49 112,790 599 1,680,640
北海道開発局 1,066 2,462,380 187 313,430 54 117,140 1,307 2,892,950
北海道運輸局 5 13,480 4 4,780 1 1,640 10 19,900
関東運輸局 0 0 9 189,130 0 0 9 189,130
近畿運輸局 0 0 0 0 14 33,710 14 33,710
九州運輸局 0 0 4 31,210 0 0 4 31,210
大阪航空局 106 838,490 60 656,380 0 0 166 1,494,870
札幌航空交通管制部 0 0 43 110,460 0 0 43 110,460
東京航空交通管制部 0 0 41 193,750 9 26,120 50 219,870
福岡航空交通管制部 0 0 114 833,160 0 0 114 833,160
15,548 157,937,220 3,246 9,233,230 1,145 9,468,356 19,939 176,638,806

 本省においては14,279枚のうち12,556枚(87.9%)が、15整備局等においては5,660枚のうち2,992枚(52.9%)が深夜帰宅を使用目的としていた。また、帳票類への記入が適切に行われていないなどのため使用目的が不明なものが19,939枚のうち1,145枚(5.7%)見受けられたが、使用規程を定めていない整備局等の34.4%に比べて少ない状況であった。

(ウ) 使用済みタクシー乗車券と帳票類との照合

 使用済みタクシー乗車券が返却されている本省及び10整備局等(注8) の高額使用者それぞれについて使用したタクシー乗車券の中で最も高額な使用金額となっていた819枚を対象として、使用済みタクシー乗車券で保存されているものについて帳票類により使用年月日、乗車地及び降車地を照合した結果、表10のような状況であった。

表10  高額使用者の使用済みタクシー乗車券と帳票類の照合
区分
使用年月日が2日以上一致していないもの等
(枚)
乗車地が一致していないもの
(枚)
降車地が一致していないもの
(枚)
関東地方整備局 14 0 0
中部地方整備局 41 12 12
近畿地方整備局 1 8 10
九州地方整備局 50 12 12
関東運輸局 0 4 4
大阪航空局 1 0 1
福岡航空交通管制部 8 0 0
115 36 39

 このように、使用年月日、乗車地又は降車地が変更になったのに帳票類を訂正していなかったなどのため、使用済みタクシー乗車券の記入事項と帳票類の記入事項が一致していない状況が見受けられて、その中には、使用済みタクシー乗車券に記入されている使用日が帳票類に記入されている日より約2か月遅く使用されていたものも見受けられた。また、5整備局等(注9) においては、タクシー会社から使用済みタクシー乗車券が返却されていないために、照合できなかった。

 10整備局等  関東、中部、近畿、九州各地方整備局、関東、近畿、九州各運輸局、大阪航空局、東京、福岡両航空交通管制部

 5整備局等  中国、四国両地方整備局、北海道開発局、北海道運輸局、札幌航空交通管制部

(エ) 仮渡しの状況  本省及び15整備局等のうち、7整備局等の幹部職員には仮渡しして使用させていた。各整備局等の使用状況を示すと表11のとおりである。

表11  仮渡しによる使用状況
区分
使用人数
(人)
使用枚数
(枚)
使用金額
(円)
関東地方整備局 1 4 54,260
中部地方整備局 1 102 294,240
近畿地方整備局 7 506 1,295,100
中国地方整備局 9 198 258,980
四国地方整備局 6 63 180,890
九州地方整備局 9 665 1,151,430
北海道運輸局 1 10 13,270

 上記の7整備局等の幹部職員に対する仮渡しについては、使用後に報告をさせており、使用規程を定めていない整備局等のようにその実態を確認できないものはなかった。

(3) 関東地方整備局(道路整備特別会計)、本省河川局における使用状況

 国会で道路整備特別会計より19年4月から20年2月までの間に支出したタクシーの使用状況及び19年度に支出した本省河川局におけるタクシーの使用状況について取り上げられた。そこで、関東地方整備局及び本省河川局においてタクシーの使用金額が多い上位それぞれ7人、10人のタクシー乗車券の使用状況について、検査したところ以下のような状況であった。

ア 関東地方整備局における上位7人の使用状況

 関東地方整備局における上位7人の19年4月から20年2月までの間の使用枚数、使用金額等は表12のとおりである。

表12  関東地方整備局の上位7人の使用状況(平成19年4月〜20年2月)
順位
使用枚数
(枚)
使用金額
(円)
深夜帰宅を使用目的とした使用枚数(枚) 左記以外を使用目的とした使用枚数(枚)
1 190 4,900,940 190 0
2 164 4,500,510 163 1
3 171 3,779,050 171 0
4 107 2,482,860 105 2
5 183 2,240,820 181 2
6 159 2,119,690 159 0
7 160 1,909,090 156 4
1,134 21,932,960 1,125 9

 上記の7人のタクシー乗車券1枚当たりの平均使用金額は19,341円となっていて、全員が使用枚数100枚、使用金額100万円を超えてタクシー乗車券を使用していた。そして、7人が使用したタクシー乗車券1,134枚(使用金額21,932,960円)については、ほとんど深夜帰宅を使用目的としているが、使用済みタクシー乗車券には使用時間の記入欄がないために、使用時間を確認できなかった。
 さらに、帳票類で確認したところ、タクシーを使用した時間が記入されていなかったりして、使用枚数1,134枚のうち902枚(79.5%、使用金額17,698,590円)の使用時間を確認できなかった。
 深夜帰宅を使用目的としていた個人別の最高使用金額及び最低使用金額を示すと表13のとおりである。

表13  関東地方整備局の上位7人の最高、最低、平均使用金額
順位
最高使用金額
(円)
最低使用金額
(円)
平均使用金額
(円)
1 40,910 20,120 25,794
2 35,740 19,960 27,540
3 28,860 17,400 22,099
4 31,880 17,600 23,281
5 28,930 8,900 12,264
6 15,120 11,760 13,331
7 19,980 9,280 11,870

 関東地方整備局は使用金額に開差が生じた理由を、〔1〕 渋滞により通常と異なる経路を使用した、〔2〕 帰宅方面が同じ職員と相乗りしたなどとしているが、使用済みタクシー乗車券に詳細な使用経路や同乗者が記入されていないものが見受けられて、その実態を確認できなかった。

イ 本省河川局における上位10人の使用状況

 本省河川局における上位10人の19年度の使用枚数、使用金額等は表14のとおりである。

表14  本省河川局の上位10人の使用状況
順位
年間使用枚数
(枚)
年間使用金額
(円)
深夜帰宅を使用目的とした使用枚数(枚) 左記以外を使用目的とした使用枚数(枚)
1 167 1,800,730 164 3
2 112 1,787,110 112 0
3 148 1,718,630 148 0
4 202 1,552,680 202 0
5 134 1,295,680 134 0
6 119 1,286,460 119 0
7 94 1,281,200 94 0
8 89 1,264,230 89 0
9 116 1,212,930 116 0
10 119 1,183,660 119 0
1,300 14,383,310 1,297 3

 上記の10人のタクシー乗車券1枚当たりの平均使用金額は11,064円となっていて、全員が使用枚数80枚、使用金額100万円を超えてタクシー乗車券を使用していた。そして、10人が使用したタクシー乗車券1,300枚(使用金額14,383,310円)については、ほとんど深夜帰宅(1,297枚)を使用目的としているが、このうち使用済みタクシー乗車券の使用時間の記入欄に記入されていないものが66.8%と高い割合であった。
 さらに、帳票類でも、タクシーを使用した時間が記入されていなかったりして、タクシー乗車券の使用時間を確認できなかった。
 深夜帰宅を使用目的としていた個人別の最高使用金額及び最低使用金額を示すと表15のとおりである。

表15  本省河川局の上位10人の最高、最低、平均使用金額
順位
最高使用金額
(円)
最低使用金額
(円)
平均使用金額
(円)
1 16,680 5,710 10,712
2 19,960 13,140 15,956
3 12,850 10,100 11,612
4 11,900 3,130 7,686
5 22,060 7,450 9,669
6 11,830 9,410 10,810
7 15,700 11,480 13,629
8 16,970 11,920 14,204
9 13,470 8,450 10,456
10 12,050 7,770 9,946

 本省河川局は使用金額に開差が生じた理由を、〔1〕 渋滞により通常と異なる経路を使用した、〔2〕 帰宅方面が同じ職員と相乗りしたなどとしているが、使用済みタクシー乗車券に詳細な使用経路や同乗者が記入されていないために、実態を確認できなかった。そのため、上位10人の使用金額が高額な10枚について、当局に依頼してタクシー会社の運転日報を取り寄せたところ、使用金額、乗車地、降車地、乗者人数、降車時間等が記入されていた。このうち、使用経路が記入されていたものが2枚、2名以上の乗車人数が記入されていたものが4枚あった。

(4) タクシー使用金額の支払の確認について

 タクシー利用契約は、契約期間を定めて毎月のタクシー使用金額をタクシー会社の請求により翌月以降に支払うことになっている。そして、本省及び13整備局等(注10) は、支払に当たっては、請求書、使用済みタクシー乗車券と使用年月日、使用者名、使用経路、使用金額を記入した帳票類との照合を行うなどして、履行の確認を行っていた。しかし、タクシー会社から使用済みタクシー乗車券が返却されていない6整備局等(注11) のうち北陸地方整備局は、使用した職員が、タクシー乗車券の管理者に対して、使用後に使用年月日、使用者名、使用経路、使用金額を報告していないことから、照合しないままタクシー会社からの請求どおり支払っていた。

 13整備局等  東北、関東、中部、近畿、九州各地方整備局、関東、近畿、九州各運輸局、東京、大阪両航空局、東京、福岡、那覇各航空交通管制部

 6整備局等  北陸、中国、四国各地方整備局、北海道開発局、北海道運輸局、札幌航空交通管制部

(5) 使用済みタクシー乗車券の保存状況

 本省及び13整備局等は、支払に当たっては、請求書、使用済みタクシー乗車券と帳票類により履行の確認を行うなどとしている。しかし、使用規程に使用済みタクシー乗車券の保存期限の定めがないことから、本省は、19年度に使用済みタクシー乗車券142,439枚のうち111,914枚(78.6%)を履行の確認後に廃棄するなどしていた。

(6) タクシー乗車券への記入状況

 タクシー会社は、その様式を定めて使用金額を適切に利用者に請求するためにタクシー乗車券ごとに個別番号を付けたり、偽造防止のための対策を執ったりなどしている。そして、タクシー乗車券に記入された事項は、使用年月日、使用金額の内容を請求時に把握するために必要である。一方、タクシー乗車券の様式についてみると、19年度に使用されたタクシー乗車券に使用時間の記入欄が設けられていないものがあった。そこで、保存されていた19年度の使用済みタクシー乗車券71,704枚の記入状況を検査したところ、表16のような状況であった。

表16  タクシー乗車券への記入状況
区分 使用金額 使用者名 使用年月日 使用時間 乗車地 降車地 計(枚)
記入有り(枚) 記入無し(枚) 記入有り(枚) 記入無し(枚) 記入有り(枚) 記入無し(枚) 記入有り(枚) 記入無し(枚) 記入欄無し(枚) 記入有り(枚) 記入無し(枚) 記入有り(枚) 記入無し(枚)
本省 30,524 1 30,057 468 28,608 1,917 18,532 11,325 668 30,403 122 30,096 429 30,525
整備局等計 41,168 11 32,315 8,864 40,567 612 9,590 2,543 29,046 32,788 8,391 32,438 8,741 41,179
東北地方整備局 6,569 10 1,452 5,127 6,428 151 0 0 6,579 1,292 5,287 1,315 5,264 6,579
関東地方整備局 3,666 0 3,598 68 3,662 4 948 144 2,574 3,472 194 3,476 190 3,666
中部地方整備局 7,142 0 7,138 4 7,126 16 5,134 870 1,138 6,806 336 6,803 339 7,142
近畿地方整備局 12,291 1 9,662 2,630 11,862 430 1,764 0 10,528 11,107 1,185 11,043 1,249 12,292
中国地方整備局 125 0 20 105 122 3 0 0 125 71 54 79 46 125
九州地方整備局 4,816 0 4,717 99 4,812 4 0 0 4,816 4,741 75 4,761 55 4,816
関東運輸局 41 0 41 0 39 2 9 32 0 26 15 26 15 41
九州運輸局 12 0 0 12 12 0 5 7 0 10 2 10 2 12
東京航空局 2,768 0 2,743 25 2,766 2 1,431 1,337 0 2,768 0 2,754 14 2,768
大阪航空局 1,667 0 1,356 311 1,667 0 19 8 1,640 762 905 462 1,205 1,667
東京航空交通管制部 301 0 238 63 301 0 256 45 0 280 21 280 21 301
福岡航空交通管制部 973 0 561 412 973 0 24 100 849 753 220 768 205 973
那覇航空交通管制部 797 0 789 8 797 0 0 0 797 700 97 661 136 797
71,692
(100%)
12
(0%)
62,372
(87.0%)
9,332
(13.0%)
69,175
(96.5%)
2,529
(3.5%)
28,122
(39.2%)
13,868
(19.3%)
29,714
(41.4%)
63,191
(88.1%)
8,513
(11.9%)
62,534
(87.2%)
9,170
(12.8%)
71,704
(注)
 使用金額の記入無し12枚については、乗務員が鉛筆で記入等しており使用金額は把握できている。

 表16のとおり、使用者名及び使用年月日の記入が漏れていたりなどしているものが9,332枚及び2,529枚見受けられて、使用年月日については、乗務員が裏面に記入していたものもあった。また、使用時間については、記入欄がないものが29,714枚(41.4%)あるが、その中には、乗務員が裏面に記入していたものもあった。使用経路については、記入漏れや、記入欄に具体的な地名がなく「市内」や「自宅」と記入されていて実際の乗車地が確認できないものが8,513枚、降車地が確認できないものが9,170枚見受けられた。

(7) 貴省が20年3月に執った措置

 貴省において、20年3月に前記のとおり「タクシー使用基準の制定について」の通知を発して、タクシー乗車券の適正な使用に努めているところである。同通知によれば、帳票類の様式を定めて、複数の帳票類に使用目的を記載すること、用務先を変更したときはその理由をタクシー乗車券の取扱主任者に報告すること、タクシー乗車券に使用者名、使用日時等を使用者自ら記入すること、使用済みタクシー乗車券等の保存期間を定めることなどとしていた。

(改善を必要とする事態)

 貴省において、19年度のタクシーの使用に関して、タクシー乗車券に使用時間等の記入欄がない場合やタクシー会社から使用済みタクシー乗車券が返却されない場合が見受けられて、20年度以降においてもタクシー乗車券の管理及び使用の確認が十分に行えないおそれがあり、より適切な管理等を行う上で改善の要があると認められる。

(発生原因)

 このような事態が生じているのは、貴省において、19年度に契約していたタクシー会社の状況に必ずしも対応していなかったことなどによる。

3 本院が表示する意見

 貴省において、タクシー乗車券の管理及び使用の確認を十分に行うためには、通知等の遵守に引き続き努めて、使用状況が明確となるよう検討して、適切な管理等を行うよう次のとおり意見を表示する。
ア タクシー会社から前もって提供されるタクシー乗車券の記入欄が、貴省が例示している記入事項に対応していないものも見受けられることから、その場合の記入方法等を協議の上明記すること
イ タクシー会社が使用済みタクシー乗車券を返却しない場合、使用年月日、使用金額、使用経路等の確認が確実にできる方策を検討すること

 本院は、20年次の検査を踏まえつつ、国会からの検査要請について引き続き検査を実施して、取りまとめが出来次第報告することとする。