ページトップ
  • 平成19年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第14 防衛省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

(3) 専用サービス契約において、すべての専用回線を共通の回線群に指定して高額利用割引の適用を適切にするよう是正改善の処置を求めたもの


(3) 専用サービス契約において、すべての専用回線を共通の回線群に指定して高額利用割引の適用を適切にするよう是正改善の処置を求めたもの

会計名及び科目
一般会計 (組織)防衛本省 (項)防衛本省
平成18年度は、
一般会計 (組織)防衛本省 (項)防衛本省
部局等
内部部局(通信役務の調達の基本事項所掌部局)
24部隊等(専用サービスの契約締結、使用料支払部局)
契約の概要
全国に所在する部隊等の間でデータ及び音声通信を行うために、専用サービスを利用するもの
契約の相手方
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社
使用料の支払額
123億8470万円
(平成18、19両年度)
節減できた使用料の額
5780万円
(平成18、19両年度)

【是正改善の処置を求めたものの全文】

専用サービス契約における高額利用割引の適用について

(平成20年9月29日付け 防衛大臣あて)

 標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正改善の処置を求める。

1 専用サービス契約の概要

 貴省は、全国に所在する部隊等の間でデータ及び音声通信を行うため、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(以下、これらの各会社を「NTT各社」という。)が契約約款に基づき提供する専用の電気通信回線(以下「専用回線」という。)を使用するサービス(以下「専用サービス」という。)を利用している。専用サービスには、主に音声通信に利用される一般専用サービス、主にデータ通信に利用される高速ディジタル伝送サービスなどがある。専用サービスの使用料(以下「使用料」という。)は、専用料、工事費等からなっており、専用料のうち基本額は、通信速度、回線距離等によって定まる定額の料金である。
 貴省の内部部局は通信役務の調達の基本に関する事項を所掌しており、統合幕僚監部及び陸上、海上、航空各自衛隊等の各部隊等はそれぞれ専用サービス契約の締結、使用料の支払を行っている。そして、貴省における(目)通信専用料の予算額は、平成18年度101億7706万余円、19年度68億0101万余円、計169億7807万余円となっている。
 専用サービス契約には、各種の割引制度が設けられている。このうち専用料に適用される高額利用割引は、一つの専用回線の基本額又は利用者が指定する二つ以上の専用回線(以下「回線群」という。)の基本額の合計額が100万円を超える場合に、その利用者からの申出に基づき適用されるものである。NTT各社の高額利用割引の割引率は、表1及び表2のとおり3%から7%までとなっており、高額利用割引の対象となる基本額(以下「割引対象基本額」という。)のうち高額の部分ほど高い割引率が適用されるものとなっている。

表1 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社の高額利用割引の割引率
割引対象基本額(月額)
高速ディジタル伝送サービスほか
一般専用サービス
100万円を超え500万円までの部分
3%
3%
500万円を超え3000万円までの部分
5%
4%
3000万円を超える部分
7%
表2 東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の高額利用割引の割引率
割引対象基本額(月額)
一般専用サービス、高速ディジタル伝送サービスほか
100万円を超え200万円までの部分
3%
200万円を超え500万円までの部分
4%
500万円を超え1000万円までの部分
5%
1000万円を超え3000万円までの部分
6%
3000万円を超える部分
7%

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 貴省は、部隊等が全国に所在している特性から多数の専用サービスを利用しており、その使用料も多額に上っている。
 そこで、本院は、経済性等の観点から、内部部局、統合幕僚監部、陸上、海上、航空各自衛隊等において、専用サービス契約の締結に当たり割引制度を十分に利用しているかに着眼して会計実地検査を行った。そして、NTT各社への年間の使用料の合計が5000万円以上となっている統合幕僚監部及び3自衛隊(以下「各自衛隊」という。)における24部隊等(注) が、専用サービス契約に基づいて18、19両年度に支払った使用料123億8470万余円を対象として、NTT各社からの請求書等の内容を確認するなどの方法により検査した。

 24部隊等  統合幕僚監部、陸上自衛隊中央会計隊、北部、東北、東部、中部、西部各方面会計隊、海上自衛隊東京業務隊、航空補給処、大湊、横須賀、呉、佐世保、舞鶴各地方総監部、函館、下関、沖縄各基地隊、対馬防備隊、鹿屋、那覇、大村、小月各航空基地隊、奄美基地分遣隊、航空自衛隊中央業務隊

(検査の結果)

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。  各自衛隊は、専用サービス契約において、各自衛隊内の専用回線を回線群に指定して、各自衛隊ごとにNTT各社から高額利用割引の適用を受けていた。そして、前記24部隊等の使用料に係る18、19両年度の割引対象基本額計85億7091万余円に対し計4億6739万余円の割引を受けていた。
 しかし、各自衛隊が利用している専用サービスはNTT各社ごとに同一の契約約款に基づくものであり、高額利用割引は、前記のとおり割引対象基本額のうち高額の部分ほど高い割引率が適用されるのであるから、各自衛隊ごとに割引の適用を受けるよりも貴省全体で割引の適用を受けることとすれば、使用料のうち専用料をより節減することが可能であると認められる。
 したがって、上記により、各自衛隊の専用回線を共通の回線群に指定して高額利用割引の適用を受けることとすれば、割引額は計5億2244万余円となり、使用料は123億2689万余円となることから、差引き5780万余円節減できたと認められる。

(是正改善を必要とする事態)

 上記のように、専用サービスの利用に当たり、各自衛隊ごとに高額利用割引の適用を受けており、貴省全体で高額利用割引の適用を受けていない事態は適切ではなく、是正改善を図る要があると認められる。

(発生原因)

 このような事態が生じているのは、貴省において、専用サービス契約の締結に当たり割引制度を十分に利用することについての検討が十分でなかったことなどによると認められる。

3 本院が求める是正改善の処置

 貴省は、今後とも全国に所在する部隊等の間でデータ及び音声通信を行うため、NTT各社が提供する専用サービスを利用していくこととしている。
 ついては、前記の事態にかんがみ、貴省において、NTT各社ごとに貴省全体で高額利用割引の適用を受けることとするよう、是正改善の処置を求める。