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  • 平成19年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第28 独立行政法人日本貿易振興機構|
  • 不当事項|
  • 予算経理

(851) 物品の購入等に当たり、虚偽の納品書等を納入業者に提出させたり、所定の検収を行わないまま物品が納入されていないのに納入されたこととしたりするなどの適正でない会計経理を行い、経費を支払っていたもの


(851) 物品の購入等に当たり、虚偽の納品書等を納入業者に提出させたり、所定の検収を行わないまま物品が納入されていないのに納入されたこととしたりするなどの適正でない会計経理を行い、経費を支払っていたもの

科目
資料収集
 
 
平成12、13両年度は、統計・研究資料整備費
 
 
14年度、15年度上期は、研究基盤整備事業費
部局等
独立行政法人日本貿易振興機構(平成15年9月30日以前は日本貿易振興会)アジア経済研究所
契約の概要
マイクロフィルム関係物品の購入等
契約の相手方
株式会社ニチマイ
上記の株式会社に対する支払額
190,730,417円
(平成10年度〜18年度)
不適正な会計経理により支払われた額
26,549,565円
(平成12年度〜18年度)

1 物品購入等に係る会計経理の概要

 独立行政法人日本貿易振興機構(平成15年9月30日以前は日本貿易振興会。以下「機構」という。)は、機構のアジア経済研究所(以下「研究所」という。)において、アジア地域その他の地域等の諸事情に関する新聞等の資料を収集してマイクロフィルム化して保存する業務等を行っている。そして、研究所は、10年度から18年度までの間に、当該業務等を実施するために必要なマイクロフィルム等の物品(以下「マイクロフィルム関係物品」という。)を購入するなどのために、主に単価契約により451,551,187円を支払っている。
 機構における物品の購入等に係る会計事務手続については、会計規程(平成15年独立行政法人日本貿易振興機構規程第6号)、物品等管理規程(平成15年独立行政法人日本貿易振興機構規程第38号)等に定められており、研究所におけるマイクロフィルム関係物品の購入等に係る検収、支払等の手続は次のとおり行うこととなっている。
〔1〕  検収を行う者は、指定の受渡場所において発注書又は契約書及び納品書と現品とを照合の上、納入された物品等の品名、規格、数量、納品時期等が上記の関係書類と合致して、かつ、適正であるか否かを検査する。
〔2〕  検収を行った者は、検収完了後、直ちに納品書等に検収印を押印するなどして、関係書類を整備確認の上、出金伝票を起票する。そして、これに基づき支払が行われる。

2 検査の結果

 本院は、機構において、合規性等の観点から、会計事務手続が会計規程等に基づき適正に行われているかなどに着眼して、関係書類が保存されていた10年度から18年度までの間に研究所がマイクロフィルム関係物品の購入等で株式会社ニチマイ(以下「ニチマイ」という。)に支払った190,730,417円について、契約書、納品書等の書類により会計実地検査を行った。また、ニチマイにおいても、総勘定元帳等の書類により会計実地検査を行った。
 検査したところ、上記のニチマイに対する支払額190,730,417円の中には、次のとおり適正ではない会計経理を行っている事態が見受けられた。
ア 研究所の図書館の資料サービス課の職員は、ニチマイに、同社が年度末にマイクロフィルム関係物品を大量に納入したとする虚偽の納品書等を提出させるなどしていた。
イ 研究所の図書館の資料企画課の職員等は、上記アの納品書等を受けて、物品が実際には納入されていないのに、所定の検収を行わないまま適正に納入されたこととして支払手続を行っていた。そして、この行為については、担当職員が交代した場合においても毎年度継続して行われていた。
ウ 上記アの資料サービス課の職員は、この支払手続に基づき研究所が支払った金額をニチマイに預け金として保有させて、その累計額は、次表のとおり計26,549,565円となっていた。そして、同職員は、当該預け金のうち24,613,155円を使用して新聞のマイクロフィルム撮影等の役務をニチマイに行わせるなどしており、20年2月の会計実地検査時点においても1,936,410円を預け金としてニチマイに保有させていた。

表 ニチマイへの預け金額の推移
(単位:円)
年度
新たに預け金として保有させた額
(A)
使用可能な預け金の額
(B)
((A)+前年度(D))
預け金の使用額
(C)
年度末残額
(D)
(B−C)
平成
10、11
12
2,493,750
2,493,750
2,493,750
13
14,386,260
16,880,010
7,429,958
9,450,052
14
2,945,775
12,395,827
12,315,370
80,457
15
499,380
579,837
513,687
66,150
16
2,499,000
2,565,150
986,370
1,578,780
17
157,500
1,736,280
1,727,271
9,009
18
3,567,900
3,576,909
1,622,649
1,954,260
1,954,260
17,850
1,936,410
26,549,565
 
24,613,155
 
 平成19年度は20年2月の会計実地検査時点での金額である。

 上記の適正でない会計経理について18年度の状況を事例として示すと、次のとおりである。

<事例>

 研究所は、平成18年度にニチマイからマイクロフィルム関係物品を購入したとして代金計3,567,900円を支払っていた。このうちマイクロフィルム500本については、19年3月27日に代金1,701,000円で購入したこととしていた。しかし、実際には研究所の図書館の資料サービス課の職員が虚偽の納品書、請求書等の関係書類をニチマイに提出させて購入したこととしていたもので、500本は全く納入されていなかった。また、研究所の図書館の資料企画課の職員は、現物確認等を行わないまま上記の納品書に同日付の検収印を押印して検収したこととして、この納品書に請求書を添付するなどして同日付の出金伝票を起票していた。研究所は、この出金伝票に基づき同月30日に当該代金1,701,000円をニチマイに支払い、上記の資料サービス課の職員がこの金額をニチマイに預け金として保有させていた。

 このような事態が生じていたのは、機構において、職員に会計規程等を遵守することの認識が著しく欠如していたこと、このような適正でない会計経理を組織的に点検できなかったこと、内部監査が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、長期間にわたり、偽造の納品書等を納入業者に提出させたり、所定の検収を行わないまま物品が納入されていないのに納入されたこととしたりするなどの適正でない会計経理を行い、経費を支払った金額26,549,565円が不当と認められる。