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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第2 株式会社日本政策金融公庫|
  • 平成25年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

東日本大震災復興特別貸付における低利貸付の実施について


(平成25年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置

株式会社日本政策金融公庫(以下「公庫」という。)は、国民一般向けの業務である国民生活事業及び中小企業者向けの業務である中小企業事業における貸付けの一環として、東日本大震災により被害を受けた者に対して東日本大震災復興特別貸付を実施している。このうち、事業所等が全壊したり流失したりするなどの直接被害を受けた者等に対する貸付利率を基準利率から一定利率引き下げるなどする貸付けにおいては、貸付利率を引き下げることができる貸付金額に、より多くの借受者が限りある復興予算を効果的に利用できるようにするために限度額(以下「低利適用限度額」といい、低利適用限度額が設けられている貸付けを「低利貸付」という。)が設けられている。そして、低利貸付と同様の貸付けは、株式会社商工組合中央金庫、沖縄振興開発金融公庫及び株式会社日本政策投資銀行(以下、これらを合わせて「他の融資機関」という。)においても行われており、公庫及び他の融資機関が同一の借受者に併せて低利貸付を行おうとする場合の低利適用限度額は、公庫及び他の融資機関における低利貸付の貸付金元高の合計金額により判断することとなっている。しかし、借受者が低利適用限度額を超えて低利貸付を受けていないかについて実効性のある確認を行うような仕組みとなっていなかったり、低利適用限度額を超えて低利貸付が行われていたりしている事態が見受けられた。

したがって、公庫において、低利適用限度額を超えて低利貸付が行われている貸付けについて、低利貸付に適用される利率と低利適用限度額を超えた金額の貸付けに適用される利率との差により算出した利息相当額(以下「差額利息」という。)のうち、まだ徴求していないものを徴求するとともに、公庫と他の融資機関との間で、低利貸付の貸付金元高の合計金額を把握するための協力体制が執られるよう協定等を締結したり、内規において、当該協定等に基づくなどして、他の融資機関や公庫の他の事業から貸付金元高に係る証ひょうの提供を受けることなどにより低利適用限度額の確認を行い、その内容を記録するなどのための具体的な方法を財務省及び中小企業庁と協議した上で定めて、各支店に周知したりするよう、株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁に対して平成26年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。

2 当局が講じた処置

本院は、公庫本店において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、公庫は、本院指摘の趣旨に沿い、差額利息について借受者に対し徴求して、27年4月までに全額を受領するとともに、次のような処置を講じていた。

ア 公庫と他の融資機関との間で、27年3月に、低利貸付の貸付金元高の合計金額を適切に把握するための覚書を締結した。

イ 他の融資機関や公庫の他の事業から貸付金元高に係る証ひょうの提供を受けるなどして低利適用限度額の確認を行いその内容を記録することとするよう、財務省及び中小企業庁と協議した上で27年3月に公庫の東日本大震災復興特別貸付の事務取扱いに係る規程を改正し、同年4月から実施する旨を各支店に周知した。