ページトップ
  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第12 国土交通省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • (3)補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

交付対象事業費の算定が適切でなかったため、交付金が過大に交付されていたもの[岩手県](294)


(1件 不当と認める国庫補助金 85,411,000円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(294) 岩手県 陸前高田市 東日本大震災復興交付金
(市街地復興効果促進)
26 4,823,152 
(4,823,152)
3,858,521 106,764 
(106,764)
85,411

この交付金事業は、陸前高田市が、東日本大震災により相当数の住宅、公共施設その他の施設の滅失又は損壊等の著しい被害を受けた地域の円滑かつ迅速な復興のために復興交付金事業計画に基づき実施する事業の一環として、都市再生区画整理事業(被災市街地復興土地区画整理事業等)等と一体となってその効果を増大させるために必要な復興まちづくりのための住民合意形成の促進等を行う事業(以下「市街地復興効果促進事業」という。)の事業費として国土交通省から交付金の交付を受け、基金を造成して実施するものである。

東日本大震災復興交付金制度要綱(平成24年府復第3号等)、東日本大震災復興交付金基金交付要綱(平成24年国官会第2412号国土交通事務次官通知)等(以下、これらを総称して「要綱等」という。)によれば、市町村が実施する市街地復興効果促進事業に係る交付金の交付額は、当該市町村が実施する都市再生区画整理事業(被災市街地復興土地区画整理事業等)等の基幹事業の交付対象事業費(以下「対象基幹事業費」という。)の合計額から、民間事業者等の負担額を減じた額に10分の2を乗ずるなどして得られる額(以下「効果促進事業費」という。)に10分の8を乗じて算定することとされている。

また、復興庁は、市町村から提出された復興交付金事業計画の内容を基に市街地復興効果促進事業を所管する国土交通省と協議した上で、復興交付金交付可能額(以下「交付可能額」という。)を決定して、市町村に通知することとなっている。そして、市町村は、通知で示された交付可能額の範囲内で、要綱等に基づく上記の算定方法により交付額を算定して、交付金の交付申請をすることとなっている。

しかし、同市は、交付申請書の作成に当たり、誤って算定の対象とならない岩手県が陸前高田市内で実施する事業に係る事業費533,822,000円を含めて対象基幹事業費の合計額を算定し、これにより効果促進事業費を4,823,152,000円と算定していた。

したがって、岩手県が陸前高田市内で実施する事業に係る事業費を含めずに対象基幹事業費の合計額を算定し、これを基に適正な効果促進事業費を算定すると4,716,388,000円となることから、上記の効果促進事業費4,823,152,000円はこれに比べて106,764,000円過大となっており、これに係る交付額85,411,000円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、復興庁が通知した交付可能額に、岩手県が陸前高田市内で実施する事業に係る分が含まれていたことにもよるが、同市において交付可能額の範囲内で交付申請額を適切に算定することについての理解が十分でなかったこと、岩手県において交付申請書の審査が十分でなかったことなどによると認められる。